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ヘアアイロンといえば自宅でお出かけ前に使用するのがこれまでの常識であった。だが、今やUSBから電源をとれる持ち運びも可能なタイプが人気を博しているのだ。そう、高速バスや新幹線といった移動シーンでも使用が可能なのだ。今回は手軽に使えるUSB式ヘアアイロンの使用レポートをお届けする!

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)


アイロンは大電力を消費する

 ヘアアイロンに限らず、普通のアイロンもブレードを熱するのでかなり大きな電力を消費する。家庭のAC100ボルトであればいくらでも電力を取り出すことができるが、携帯用となると小さいだけでやはりAC電源が必要なものがほとんどか、USB給電ができるものは基本的に5ボルト2アンペア程度しか取り出せないため、10ワット程度で出せる温度でしか動作しなかった。

付属の給電器はQC3.0対応

 それだけの大電力を消費するのであればバッテリー搭載の充電式では数分しか使用できないため実用性がない。しかし最近はスマホを急速充電する規格が普及し、これを利用することでヘアアイロンが動作する環境が整った。とはいえ、これらの規格であるQCやPD準拠の充電器は比較的高価だ。

給電アダプターは急速充電器!

 美容・健康・生活用品のKALOS BEAUTY TECHNOLOGYが販売する「Glister brush&iron」は、単品販売もあるがセットのものはブラシアイロンとヘアアイロンのセットで、耐熱ケースにQC規格のUSB給電器と対応USBケーブルがセットになっている。

 この給電器は要するにQC規格のスマホ充電器なので、非常に早くスマホを充電することが可能なので、ヘアアイロンが必携な女性では旅行中でも充電器を別途持つ必要がない。

グリスター ブラシ&アイロン

 スマホを急速充電する高電圧で電流を流すため、効率よく給電ができヘアアイロンのブレードは最高180度に達する(140度との切り替え式)。もちろんスマホを急速充電するのと同じ電力なので、鉄道やバス車内のACコンセントやUSBジャックでも利用可能だ。

ACコンセントが付いている高速バスは比較的多い

 若い女性に聞くと旅行でははアイロンは必ず持っていかなければならないアイテムらしく、たいていはホテルのAC電源で使用するそうだ。人によってはマイドライヤーまで持っていくようだ。

 記者のようなおっさんにはよく分からないが、高速バスや新幹線での到着前にさっと髪が整えられれば、プライベートな旅行に限らずビジネスシーンでも重宝するとのことだった。

そしてさらにヘアアイロンをアイロンに転用!?

 ヘアアイロンを使用したことがない記者が動作している本品をよく見てみると、あることに気がついた。ヘアアイロンのブレードで挟むのは確かに髪なのかもしれないが、もしかしたら布地を挟むと通常のアイロンのようにビシッとなるのではないか。

 そこで、本品を新幹線に持ち込んで試用してみた。記者の場合はヘアアイロンよりも、マイナスイオンが出るブラシアイロンでもちょっと撫でるだけで寝癖が直り、ボリューム感が出たのでそれで十分だった。

 そして洗濯したまま家でアイロンをかけ忘れて、ボタン部分がシワになってしまいみっともない状態でサッとヘアアイロンで挟んでブレードを下すだけでいわゆる「アイロンが掛かった」状態になった。高速バスで到着した先で、商談などが待つビジネスマンの身だしなみにもイイ。

右側がアイロンをかけていない状態で左が本品で挟んだ後

 これを機会に記者が意識の高い男になり、ヘアアイロンを愛用するかどうかは別として、寝癖直しくらいはブラシアイロンを掛けるだけで完結し、ちょっとしたアイロンがけもこなしてしまうのであれば、活用しない手はない。

女性にはありがたく男性には便利

 夜行バスの到着後に女性はたいていバスターミナルの化粧室でヘアアイロンを使用するらしいが、これがあれば車内で到着前に終了してしまうので時間の無駄も省けるそうだ。

 最近は着替えやメイクもできる広い化粧室を最後尾に備えた高速バスも存在するが、まだ数は少ないので自分の座席で完結することに意義がありそうだ。

 前述の通り、給電器と付属のケーブルをQC対応スマホに接続すると急速充電ができるので、ヘアアイロン使用前後は充電器として使用すると便利だ。

新幹線のACコンセントから給電

 男性には持ち運ぶまではないにしろ、毎日の寝癖直しや髪を整えるアイテムとして、そして急なスポットアイロンとしても活躍するだろう。

 実際の温度設定については記者にはわからなかったので、現役の美容師に聞いたところ、「できれば140度と180度の間の160度の設定があった方がいいですけど、バスの車中で髪を整えるとなると180度で短時間に済ませる方が実用的かもしれないですね」とのことだった。

クイックチャージ技術を応用

 本品の給電規格はQCだが、これは「クイックチャージ」のことで、従来5V2A程度しか取り出せなかった電力をスマホ側の要求により効率の良い高電圧での急速充電を可能にした技術だ。これにより本品はスマホと同様に給電器(充電器)に対してDC9V2Aを要求し18ワットの電力を得る。

QC出力対応モバイルバッテリーでも使用可能

 最近のスマホはたいていQCに対応しており、バッテリーに急速充電ができる。実際にはバッテリーの状況をスマホ自身がモニターしながら、要求する電圧と電流を細かく自動制御しているが、ヘアアイロンではその必要はなく9V2Aで18ワットの定電力を要求する仕組みだ。

 スマホの充電技術がまさかこんなところで活躍しているとはおどろきだが、高速バスでの旅行や出張の際に男女問わず使えそうなアイテムなので、試す価値はありそうだ。

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