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あぁどうしよう!?? 車の中に水が!? 冠水した道路に入るべからず!! 知っておきたい水害の危険

 日本列島では沖縄から東北南部までの梅雨明けが、6月中に宣言されるほど短い梅雨を終え、季節は夏に移り変わった。暑さに気を付ける夏だが、台風やゲリラ豪雨といった雨にも注意しなければならない。

 つい先日も、埼玉や宮城、そして九州で大雨となり、土砂災害や道路の冠水、クルマの水没といった被害があったばかりだ。万が一、豪雨災害などに遭ってしまい、道路が冠水、クルマが水没してしまったらどうすればいいのだろうか。

 冠水や水没時に使えるカー用品や、被害発生後の対応について解説していく。

文/佐々木亘
アイキャッチ写真/Shcherbyna – stock.adobe.com
写真/Adobe Stock

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大雨、冠水、洪水時クルマはどうすればいいのか

大雨で冠水した道路には可能な限り走行しないようにしよう。冠水した道路の中を走行することで危険度が増す。アンダーパスなど冠水しやすい道路を前もって確認しておこう(写真:Aleksandr Lesik– stock.adobe.com)

 まずは冠水している道路には、クルマで入らないのが大原則だ。ニュースなどでよく見るような、クルマが波しぶきを上げながら走行している状況は、可能な限り避けたほうが良い。

 実際にクルマが動いている映像のとおり、水深5cm程度までの冠水であれば、クルマが走行することはできる。しかし、水の影響でブレーキが効きにくくなり、電気系統に影響が出る可能性があるなど、安全に走行できる保証は何もない。どんなに浅くとも、水が溜まっているところには極力侵入しないことが大切だ。

 また、クルマに乗っていると、周囲の状況変化に気づきにくくなる。洪水の水位は、瞬く間に上がり、水深が30cmを超えるとエンジンが止まる可能性あるのだ。50cmを超える頃にはクルマが水の影響で浮いてしまう。

 冠水するほどの大雨の場合には、クルマを出来るだけ使用せずに、移動・避難する方法を考えて欲しい。

もしも水没してしまったら脱出方法を考えよう

 運転中に段々と水かさが増していき、エンジン停止、電気系統の故障に追い込まれると、クルマの中に閉じ込められてしまう。

 実際に、普通乗用車のタイヤが水没するくらいの水深(60cm程度)になると、ドアの一部にも水圧がかかってくる。水深60cmになると、ドアを開閉するのに必要な力は、50kgの物体を移動させるのと同じくらいだ。一般男性がシートに座りながら、思いっきりドアに体重をかけても、びくともしないほどドアは重くなる。この状況では、ドアを開閉しての脱出は困難だ。

 唯一の脱出方法は、ウィンドウガラスを割って外に出ることとなる。そのために必要なのが、脱出用ハンマー(レスキューハンマーとも呼ばれる)だ。シートベルトカッターと緊急脱出用ハンマーがセットになっている商品が多い。こうしたグッズは、運転席から手が届くところに備え付けておきたい。

 ちなみに、クルマのガラスには粉々に割れるものと割れてもヒビしか入らないものがある。クルマのフロントガラスは粉々に割れない加工がされているガラスだ。脱出の際には、必ず粉々に割れるドアガラスをハンマーで叩いて欲しい。

 最近では、駐車中のクルマを浸水被害から守るグッズも登場している。クルマを丸ごと袋の中に入れて包み込んでしまうというものだ。災害対策グッズの進化は止まらない。


緊急脱出・救出ツール レスキューマンIII
緊急脱出・救出ツール レスキューマンIII

確認すべし!! 水害で自動車保険の車両保険は利用できるのか

 愛車が浸水の被害に遭ったときには、自動車保険の車両保険を利用できる。車両保険には一般条件、クルマ同士の事故を補償する車対車+A(エコノミー型)など、さまざまな条件があるが、洪水による被害は多くの車両保険で補償対象にされているはずだ。

 水害対策として、最低限の補償でもいいので、車両保険へ加入を勧めたい(ちなみに、同じ水害でも、津波による被害は車両保険の対象外とされることが多い)。

 水没の状況によって、修理を必要とする損害なのか、それとも修理が出来ないくらいの損害なのか(いわゆる全損)なのかを判定する。

 ディーラー営業マン時代に、何度か豪雨被害を目の当たりにしてきた筆者。実際の水没車を見ていくと、エンジンルームがすべて水没、もしくはシートの座面上5cm程度まで浸水するような状況になると、全損という判断が出ることが多かった(実際には被害の状況を、保険会社の判定員がチェックして、補償決定となるので、必ずしも全損扱いになる条件とはいけない点に注意してほしい)。

 修理する側からしても、クルマの半分が水没した車両を修理することは難しい。仮に直しても、水没による後々の影響が全て捨てきれるわけではないので、故障のリスクを抱えたまま、引き渡すのだ。

 修理は、水没が原因と考えられる不具合については、発生しても責任は負えないという書面を取り交わして行われる。ユーザーにも、ディーラーにとっても、苦しい修理となるのは想像のとおりだ。

 現在の日本では、どこでも水害は起こり得るだろう。エコノミー型でもいいから、車両保険を付帯することを、再三再四お願いしたい。

 また、普段から水が溜まりやすい道路は認識しておき、豪雨時には通行しないという準備も大切だ。都市部ではアンダーパスでの冠水が目立ち、立ち往生する車も多い。防災グッズの準備と対処法は、そして地形の特性を普段から頭に入れて、運転しなければならないだろう。

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