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「カーライフ」というと、どんなクルマを買うか、そのクルマに乗ってどこへ行くか、などを想像しがちですが、「愛車を手放すとき」もしっかりとカーライフの一部であります。人生の一部を共に過ごした愛車を手放すのであれば、少しでも高く評価してほしいもの。では具体的に、愛車を売りに出す際に、少しでも高く評価してもらう方法ってあるのでしょうか。あるようです。ぜひ皆さま、愛車を手放す際に参考にしてください。

文/松崎隆司、写真/AdobeStock(アイキャッチ写真は@SERSOLL)

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下取りと買取の違い

 今、中古市場が急騰し、自分の持っているクルマを売ってみようかと考えている人、結構いるんじゃないですか。そこで今回は、中古車を高く売るための秘訣を業界の事情に詳しい中古車関連会社の担当者に聞いてみました。

 まずクルマの売却といっても実は「下取り」と「買取り」の2種類があります。どちらもクルマを売却するという意味では同じですが、似て非なるもの、大きな違いがあります。

「下取り」とは新車を購入する際に所有しているクルマを新車のディーラーに買い取ってもらうことです。新車を購入するディーラーで行うわけですから手間がかかりません。

愛車を手放すときも、手間をかければより高額査定が見込める。数万円変わることはザラなので、時給や日給で考えるとやらなきゃ損!!(AdobeStock@xiaosan)

「ただ、”買取り”に比べると、高値が付きにくく、車種やグレード、オプションなど買取りならプラスに査定される要素が考慮されずに、買取りよりも売却価格が安くなってしまう傾向があるようです。お店によっては新しいクルマの値引き価格と下取り価格を合算して提示することがあり、いったいいくらで下取りしてくれているのかわからないようなケースもありますから、要注意です」(中古車業界に詳しい事情通)

 一方で「買取り」は査定基準が下取りよりもはるかに細かく、人気の車種やオプションを備えているクルマは高額査定が期待できます。ただ査定を複数の業者にお願いした場合などは下取りよりも手間がかかることは間違いありません。

「ただ手間暇かけ多分、高く売れると思います」

 新車販売店で新車に買い替えるのか。中古車販売店で中古車を買うのか、それによっても売却の戦略はかわってくるという。

「新車を買うのであれば、下取りに出してしまったら高くは買ってもらえませんから、労を惜しまなければ複数の中古車買取り専門店に査定を出してもらって、もっとも高い査定をしてくれたところに買ってもらうのが一番高く買い取ってもらう方法です。中古車を買い替える場合は、同じように査定を出してもらって、それを元に中古車を買おうとしているお店と交渉し、買おうとしてる中古車をどこまで値引きしてくれるのかを確認してから買うという方法をお勧めします」

売るタイミングはなるべく早く

 クルマを少しでも高く売りたいなら、売却前のリサーチと準備は欠かせません。自分のクルマがどのくらいの価格で売却されているのかを調べてみることが最初の第一歩です。

 実は新型コロナで生活環境が一変するまでは一日で数千円、一ヵ月で数万円値下がりすることもあったそうですが、最近では事情がちょっと変わっているようです。

「中古車はナマモノなので、これまでは日を追うごとに価格が落ちていきました。ところが新型コロナ以降はそうともいえなくなりました。円安で海外での中古車人気に火が付き、品薄状態ですから価格が下がりにくくなっています。車種によっては上がっているものもあります。もちろん一時的なことだとは思います」

 クルマの査定額は年式、走行距離などによって大きく変わります。最初にその相場を調べておけば、交渉するための目安にもなります。

 ネット検索を使えば自分の車の相場がどのくらいであるのか大体わかるが、年式、走行距離、グレード、次回の車検時期など細かな情報が必要ですから、事前にチェックしておいたほうがいいでしょう。

「そしてまず第一に覚えておかなければならないことはクルマは走行距離が長く、年式が古くなるほど、査定価格が安くなる傾向があります。しかもある程度切りのいい数字のところで価格が落ちてしまうんです。走行距離なら3万km、5万km、年式では車検の時期が一つの目安です」(同)

 さらにモデルチェンジが発表されたあとは、現行のモデルの売値が下がる傾向があるため、少しでも早い時期の売却した方がいいようです。

 ただ中古車は年度末の2月、3月と秋口の9月はクルマの需要が大きく伸び、買取価格も上昇するようです。

「2月、3月と9月の取り扱い高は他の月に比べて圧倒的に多くなります。2月、3月というのは会社に就職したり大学生になったりし、年度初めの4月から生活が大きく変わる人が多いので、それに合わせてクルマを購入する人が増えるのではないかと思いますし、8月のボーナス後にクルマを買い替えることを検討する人が増える傾向がありますから、9月の取扱量も増えます。こうした時期はディーラーもクルマの在庫を抱えておく必要がありますから、通常よりも高めに買取りを行います」

 買い替えを急いでないようであれば、2月、3月、9月を待ってみるのもよいかもしれません。

クルマを高く売るための交渉術

 クルマを高く売りたいならスタッフとのコミュニケーションも重要です。しかしまずは複数の買取店で査定をしてもらうことが重要です。複数の店舗で査定してもらえれば相場というものがよくわかるからです。

 査定をしてくれる査定士も同じ人間です。誠実なやり取りをすればサービスしてもらえる可能性があります。

 しかし一方でいい人ばかりとは限りません。

「査定の際に『いつもはこんなに高く買い取りしないんですが、今は特別●●円で買取します』というセールストークには要注意です。相場がわからない中で提示された価格が適切であるかどうかは判断できないからです。しっかりと相場を踏まえて交渉することが大切です」

いまはオークション相場で買い取り査定額はある程度の業界基準があるが、それでも日取りや相場状況、モノ、査定担当者、在庫状況によって数万円動くことはある

「キズやへこみは無理に直すべきなのか」

 ではどのような状態でクルマを売却すればいいのでしょうか。

「ディーラーの印象をよくするためには、洗車や車内洗浄をしてから査定を受けたほうがいいでしょう。査定に大きな影響はないと思いますが、たばこ嫌いのユーザーは多いので、たばこの匂いも消臭したうえで査定に出したほうがディーラーの心証はいいようです」

 クルマのオーナーは自分好みのクルマにしたいという思いから社外パーツを使ってカスタム仕様にすることがありますが、売却する時には純正のパーツに戻したほうがいいようです。

「スポーツカーをスポーツ専門店で売却するような場合は、カスタマイズを高く評価してくれるようなところもありますが、ディーラーはなるべく純正のパーツであることを好みます。中古車としてこのクルマを購入する人たちがそのオーナーの趣向にあっているとはかぎらないからです。カスタマイズされたパーツは純正パーツに戻したほうがいいと思います」

 ただ、人気ブランドのパーツや新しく高性能なオーディオ、ナビであれば査定がプラスされる可能性はあります。

 ここでもっとも気になるのがクルマのボディーについた小さなキズやへこみです。自分で直したほうがいいのか、直さないほうがいいのか、あるいは修理に出したほうがいいのか、迷ってしまいますよね。

「下手に直すんだったら直さないほうがいいと思います。タッチペンは論外です。ちゃんと直すんだったら直したほうがいいですが、修理の費用以上に買取価格があがることはありません。ただコンパウンドや消しゴムなどで消せる程度のものであればやっても構わないと思います」

 勝手に直したことが原因で査定額が下がるケースもあるので、中途半端にキズを隠すのではなく素直にさらけ出したほうが査定には好印象だと理解したほうがいいようです。

 そしてもう一つ気になるのが車検です。クルマは2年に1度車検を受けることが義務付けられてます。新車を購入してから3年目に最初の車検がやってきて、さらに2年後に2度目の車検がやってきます。車検には10万円ぐらいかかりますが、車検後であっても査定には大きく上乗せされることはありません。車検ギリギリで売却されるのであれば車検を通さずに売却したほうがいいでしょう。

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