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安倍晋三元首相に対する銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者の境遇に注目が集まっており、事件から10日余りが経過した後もネット上ではさまざまな議論が交わされている。

安倍晋三元首相銃撃の殺人容疑で送検される山上徹也容疑者(10日、奈良西署。写真:日刊現代/アフロ)

山上容疑者の境遇、ここまでの報道

報道によると山上容疑者の母親は財産のほぼすべてを宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」に寄付。そのせいで山上容疑者の家庭は困窮を極め、山上容疑者は奈良県有数の進学校に進学しながら、経済的事情で大学進学も諦めざるを得なかった。母親の統一教会への献金額は約1億円に上るという。

また、母親は統一教会にのめりこむあまり、幼い山上容疑者を日本に置いて渡韓を繰り返すなど、ネグレクト(育児放棄)されていたのではという報道もある。自衛官だった頃に山上容疑者が自殺未遂した時にも母親は宗教活動のため韓国におり、連絡が取れなかったという。

さらに、山上容疑者は現在41歳だが、この世代はバブル崩壊後の1990年から2000年代に就職活動を行った就職氷河期世代。特に山上容疑者が高校を卒業した前後の2000年から2003年頃は就職氷河期のピークだった。山上容疑者は海上自衛隊の任期制自衛官を退官後に一念発起し、測量士補、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(2級)、フォークリフトといった免許や資格を取得した。しかし、安定した正社員の職に就いていたという報道は未だない。

「毒親は、経験した人にしかわからない」

そうした中、ツイッターでは、「毒親」「就職氷河期」というキーワードで山上容疑者を論じるユーザーが少なくない。特に山上容疑者と同じ境遇にいるというユーザーを中心に同情の声も寄せられていた。

就職氷河期の人、毒親や難病やその他諸々で思い通りの人生にならない人って何十万人も居ると思う。その中で無差別テロやる人が数年に1人2人、っての逆に凄いよね。皆さんよく耐えてると思うよ。俺そんな人生だったらさっさとデカい事件起こして死刑待ちの人になるもん。

私も氷河期世代40代、毒親です。私たちの見て来た地獄は他の世代や親に恵まれた者には絶対に理解されません。自己責任で終わりです。

犯人の経歴みて、私もドキッとしたよ。似たようなもんだ。カルト宗教二世だし、氷河期世代で求人があるのはブラック企業や派遣ばかりだった。カルトにのめり込み、家庭や子供の人生を壊した母親への憎悪の気持ちも分かる。毒親は、経験した人にしかわからないと思う。だから、誰にも話せない。

親が『まともな親か毒親か』というのは思った以上に影響力でかいのかもしれませんね。あと彼は氷河期世代に引っ掛かってますね。要因はひとつではなく複数ありそうですね。でも日本社会は自己責任論で片づけちゃうんでしょうね。犯人ってことで、社会の歪みには目もくれず、彼ひとりに全責任押し付けて

2ちゃんねる創設者で実業家のひろゆき(西村博之)氏も山上容疑者に同情的な様子。事件直後に次のようにツイートしている。

安倍元首相を暗殺した山上容疑者。統一教会に母親がハマり、同志社大学の学費が払えずに中退した事(※編集部注・同志社大学中退は後に誤報と判明)で人生が狂った様子。
・カルト宗教を規制していたら
・大学が無償だったら
彼は普通に生活して、安倍さんも生きてたのではないかと。
SPを責めるよりやることがあるかと。

「第二、第三の山上容疑者」を指摘する声も

一方、就職氷河期や毒親は言い訳に過ぎないという意見も見られた。

毒親(親ガチャ)×超氷河期だからって擁護するやつの気持ちがわからんぞ。もう20年も前の話や。自立しろよ。国ガチャでは勝ってるんだから自立するチャンスはいくらでもあるやろうに。

氷河期ガーとか毒親ガーとかで政治のせいにするなら自分の惨めな状況を好転させるために努力しろやと。40歳でいい年なんだしさ。ほんとみっともない。

山上容疑者のやったことはもちろん一分の理もないことだが、その人となりが明らかになるにつれ、あまりの悲惨な半生に同情的な見方をする人が増えてきている。ツイッターでは、山上容疑者のような境遇の人を国が支援しなければ第二、第三の山上容疑者が出現してしまうといった意見も見られた。