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この音が聞こえてきたら要注意!! 愛車の寿命は耳で伸ばせる「壊れかけの音」

 早期に不具合を発見できれば、致命傷にならずに済むのは、人もクルマも同じ。それには、定期的な点検が大切となってくるのはもちろんだが、クルマの場合、「音」で異変を察知することができる。

 クルマから普段はしない音がきこえてきたら、それは故障のサインである可能性が高い。クルマが故障したサインとなる音の例をいくつかご紹介しよう。

文:吉川賢一
アイキャッチ写真:Adobe Stock_bymandesigns
写真:Adobe Stock、写真AC

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エンジン始動時に「キュルキュル」

 エンジン起動時に、エンジン付近から「キュルキュル」という異音がした場合、ファンベルトの不具合の可能性が考えられる。ベルトに溝があるタイミングベルトとは違い、エアコンコンプレッサーなどの補器へ動力を伝えるファンベルトは、プーリーにテンションをかけてひっかけているだけなので、劣化が進むとプーリーの上を滑るようになる。その際、ゴムが擦れてキュルキュルという音が鳴るのだ。

 また補器側が故障して動かない(ロックした)場合にもファンベルトが滑り、「ギャー」といった悲鳴のような異音が鳴ることもある。エンジン始動を一度止めて、再び始動操作をすると、異音が消えることもあるが、頻発するようならば、早めに整備工場と相談をして交換するようにしてほしい。

エンジンから「カラカラ」「カタカタ」

 アイドリング中に、エンジン付近から「カラカラ」「カタカタ」といった異音がする場合、エンジンオイルの不足や劣化、冷却水不足によるエンジン本体の不調が考えられる。エンジンオイルや冷却水は、長く乗っていれば徐々に劣化、消耗していく。その状態で走り続ければ、オーバーヒートなどにつながりかねない。また、アクセルを踏んだ時にカラカラとなるのはノッキングが疑わしい。いずれも、早めに整備工場へクルマを持ち込むことをおすすめする。

走行中に足回りから「ゴロゴロ」「ゴー」

 走行中に、ロードノイズとは異なる音で、足周りから「ゴロゴロ」「ゴー」という異音がする場合、ハブベアリングのグリス切れや故障が考えられる。ブレーキ時にガタガタと振動が起きることもある。ベアリングの内部にある大小2つのガイドリングの間には、複数の金属製のボールがはさんであり、グリスを介して回転することで、タイヤがスムーズに回転するような構造となっている。タイヤを取り付けるハブと合体しているので、劣化が進んでしまうと、最悪タイヤが脱落する可能性もある。

 車検時には必ずチェックをしてくれる部位なのだが、異常な振動があった場合には、すぐに整備工場へ相談するようにしてほしい。

ブレーキを踏むと「キーキー」

 ブレーキを踏んだ際に、金属を引っかいたような「キーキー」といった音がする場合、ブレーキパッドが限界にきている可能性が高い。ブレーキパッドには、「パッドウェアインジケーター」という、ブレーキパッドが摩耗したときに音で知らせてくれる構造が仕込まれており、「キーキー」はまさにその音だ。

 ちなみに、ブレーキパッドの使用限度はおおよそ残り1mmだが、パッドウェアインジケーターは残り2mmほどで鳴るようにつくられている。ディーラーや整備工場の定期点検だと、だいたい残り3mm程度が交換のタイミング。最重要装備であるブレーキ。整備士から「交換のタイミング」だといわれたら、必ず交換するようにしてほしい。

ブレーキを踏んだ際に「キーキー」という音がきこえたら、ブレーキパッド交換のサイン。使用限界が近いので、すぐに整備工場へ連絡するようにしよう(Adobe Stock_ドンピエロ)

足周りから「ゴトゴト」「コトコト」

 でこぼこした道を走行中、足回りから「ゴトゴト」「コトコト」といった音が鳴る場合、ショックアブソーバーやアッパーマウントの劣化が疑わしい。ショックアブソーバーが劣化すると、路面を乗り越えたときの突き上げを吸収することができず、ボディ側(ストラットタワーの頂点)を叩き、それが音として現れるようになる。対応はショックアブソーバーの交換だが、劣化は徐々に進むことが多いので、なかなか気が付きにくい現象でもある。

マフラー周りから「カラカラ」

 アイドリング中や走行中に、後方から「カラカラ」といった異音が起きた場合、マフラーの配管やその内部で何らかの部品が干渉して音が出ている可能性がある。マフラーマウントが劣化して配管の振動量が増え、車体側と干渉していたり、飛び石によってフロア下の部品が変形してマフラーとぶつかったりなど、原因はいくつか考えられる。社外製のマフラーへ交換した場合などは、そもそも取り付けが適切だったのか、車体とのクリアランスが十分に確保できているのかも要注意だ。

 また、長年使用しているマフラーは、内部が劣化している可能性もある。そうなると、マフラーの消音効果も変わってくるはずなので、別の異音がする可能性もある。

異音が大きいほど、ダメージも大きい

 基本的には、異音が大きいほどダメージも大きく、劣化が進行している。放置しているあいだに音が消えたとしても、部品の劣化は間違いなく進んでいる。

 いつもと違う音に気が付いたら、まずはシチュエーションを把握してほしい。そして音の鳴る場所、音の大きさ、どんなとき(始動直後、走行中、加速時や減速時など)かなどの情報をもって整備工場などへ相談すると、スムーズだ。

 異音がしても、重大な修理とはならない場合もあるが、重大な不具合が見つかる可能性もある。クルマからの「悲鳴」である異音を聞き逃がすことなく、早め早めの対応を心がけることで、愛車の寿命は伸ばせる。ぜひ参考にしてほしい。

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