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都市部で急増コインパーキング。競争激化で料金はどうやって決まる?

 高額な駐車料金を請求されたことがたびたび話題になるコインパーキング。コロナ禍で相対的にクルマの利用が増えた結果、全体的に値上がり傾向にあるという。さまざまな料金体系があるコインパーキングの料金はどうやって決まるのでしょうか?

 ここでは、運営のスタイルによって異なるコインパーキングの料金設定について解説していく。さらに、変化するコインパーキングの設備事情や、割安なコインパーキングの見つけ方についてもご紹介する。

文/高根英幸
アイキャッチ写真/TAKEI Yoshiharu – stock.adobe.com
写真/Adobe Stock

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都市部で急増コインパーキング。競争激化で料金はどうやって決まる?

 都心のコインパーキングに数時間止めただけで、法外とも思える駐車料金を請求されたことが芸人のSNS発信で話題になった。10分単位で500~600円というところもある。そもそもこの単価は、どうやって決まったのだろう? 

 都市部はコロナ禍の影響もあって従来飲食店やオフィスとして利用されてきた建物が取り壊され、コインパーキングとなっているケースが増えている。それに伴い、コインパーキングの料金体系にもさまざまなタイプが現れているようだ。

 何分単位での課金か、上限の打ちきり料金の有無とその時間幅、平日と土日の価格差などの要素がそれぞれのコインパーキングでさまざまに組み合わされている。それくらい、コインパーキングの料金はバラエティに富んでいる。

 そんなことないだろう、大体は地域によって相場が決まっているハズだ、と思われる方は駐車場アプリをインストールして、自宅周辺やなじみのある都市部の各コインパーキングの価格を確認してみて欲しい。

 確かに地域によってある程度の単価は見えてくる部分はある。けれども、そんななかにも単価(単位時間あたりの料金)や上限の有無など、料金体系にはバラつきがかなり存在するのだ。

 当然のことながら、同じエリアなら単価の安い駐車場から満車になっていくのが一般的だ。それは価格と利便性のバランスが絶妙に取られている証でもある。コインパーキングを利用するユーザーに選ばれるよう、運営する管理者が熟考の上で価格設定が成されているのだ。

 周囲の同業者より割高だと思われれば稼働率は低下するので、1カ月の収益として考えれば料金を下げて稼動率を高めた方がもうかることになる。こうしてコインパーキングの価格は短期間に変動していくのだ。

土地の価格や管理方法によって料金が決まる?

需要と供給で決まるコインパーキングの料金。料金設定に関しては、コインパーキングの運営の仕方によって変わってくる(akiyoko – stock.adobe.com)

 コインパーキングの運営はさまざまなスタイルが存在する。まず土地がなければ駐車場自体が作れないから、土地の所有者が駐車場をコインパーキングとして運用することを決めるのだが、実際の運営をどうするかで料金設定も変わってくる。

 これはコインパーキングとしての設備の設置や料金の回収、メンテナンスなどを管理会社に委託するケースと、コインパーキングの運営会社に駐車場を賃貸で一時的に貸して家賃収入を得るケースに大別できるようだ。

 つまり地主が経営をハンドリングしているか、管理会社に一括して任せているかだ。地主が運営自体は管理会社に任せていても、売り上げから収益を得るのなら、料金体系の設定は地主に決定権がある。それでも管理会社は周辺相場から料金体系の設定にアドバイスは行なう(それも含めたコンサルを請負う場合が多い)のだ。

 いっぽう、駐車場として毎月の賃料が安定して入ってくればいいと思っている地主は、管理会社に貸すだけで料金の決定権は管理会社側にある。こちらの方が、料金体系は需要の変化に合わせてスピーディに対応していくようだ。

 地主が料金体系の決定権者である場合は、スピーディな対応は難しいのが普通だ。であれば、周辺の価格競争に取り残されて割高になっているケースが多いと思われるが、実際には独自に格安な料金を設定する地主のコインパーキングも存在するから、一概には言い切れない。

コインパーキングの設備投資にも変化が

最近は、初期費用やメンテナンスコストを抑えることができる、ロック板の設置を不要にしたコインパーキングが増えている(moonrise – stock.adobe.com)

 従来はコインパーキングといえば、駐車スペースの1つ1つにロック機構が備わり、駐車するとロック板が立ち上がって、料金を精算しなければロック板が下がらずにクルマが出せないようになっていた。

 しかしSUVが普及したこともあったのか、ロック板を踏み越えて料金を踏み倒す不届き者も出現したことで、ロック板ではなく、赤外線センサーでクルマの有無を感知して料金計算を行なうタイプや、最初に一日料金を支払って停めるだけのタイプなどロック板の設置を不要にしたコインパーキングも増えてきた。

 さらに最近は冷凍餃子などの無人販売が話題になったように、自己申告でクルマのナンバーと駐車時間を記入した紙を料金(一日固定料金?)と封筒に同封して、設置された料金箱に投入するというアナログなタイプも登場している。

 そもそもコインパーキング自体、無人経営だが料金精算機やロック板の設置も不要となれば、さらに初期費用やメンテナンスコストは下げられるので、防犯カメラで監視しているだけのこのシステムは非常に低コストだが、複雑な料金体系には対応するのは難しそう(ユーザーが理解できない?)だ。

 ともあれ短期間だけ、あるいは利用期間の終了時期が分からないコインパーキングとして運営するのであれば、初期投資やメンテナンスコストがかからないほどいいのだから、今後は設備が簡素化されていく可能性は高い。

割安なコインパーキングを見つけるためには?

 結局のところ、コインパーキングの料金は需要と供給で決まると言っても過言ではない。安くなるところは需要が少なく、需要が多いところは料金が上昇していくのだ。コロナ禍で相対的にクルマの利用が増えた結果、需要の高いところはコインパーキングの単価が高騰しており、全体的に値上がりしている傾向にあることから、冒頭のような高額ぶりが話題になるのだろう。

 最後に同じエリア内で割安なコインパーキングを見つける方法を考えてみよう。まずは駐車場検索アプリを活用することだ。

 繁華街から少し離れたところ、道路が狭く場所が分かりにくいところは、需要が少ないので単価を下げている場合が多い。筆者は取材や行楽などでコインパーキングを利用する場合、利便性と価格を天秤にかけて、利便性が低くても圧倒的に価格が安いところがあれば、折畳み自転車をクルマに積み込んで、目的地と駐車場の間を自転車で往復するような節約法を使うこともある。

 最近は月極駐車場との併設で、需要によりその割合を変化させることもあるなど、料金以外にも柔軟に運用方法を変化させているところもある。

 また設備の簡素化もあって、短期間に設営されてオープンしていることもある。オープンキャンペーンで破格の料金を設定していることもある。

 いつも利用しているコインパーキングが周辺で一番安いと決めつけずに、時間に余裕がある場合はアプリだけでなく、クルマで周辺を少し回って、アプリに乗っていないローカルなコインパーキングなど安いところがないか探してみることもお勧めしたい。

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