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Image:The Image Party/Shutterstock.com

Googleマップのクチコミに星1(最悪評価)を付け、削除と引き換えに金銭を要求する悪徳業者の噂話は日本でもよく聞こえてくる。中小企業、特に地域密着型の店舗にとっては評判が生きるか死ぬかのカギを握っているため、標的となりやすいのである。

そうしたクチコミ詐欺に対して、ついにGoogleが取り組みを始めたと報じられている。米New York Timesによると、主に飲食店など地元企業を狙ったものが横行しているという。悪徳業者がGoogleマップや検索結果に現れる企業ページに否定的なクチコミを残し、削除して欲しければカネを払うよう強要しているとのことだ。

Googleは様々な業種につき、地域のユーザーからクチコミを募っている。これらはマップや検索結果ほか、同社のサービスを通じて表示されることになる。星1の評価は地元の店舗、特に飲食店にとっては、並々ならぬ悪影響を与えるおそれがあるようだ。

これらクチコミの多くはインドから投稿されており、悪徳業者は削除とひきかえに、75ドルのGoogle Playギフトカードを要求するとのこと。もし要求に応じなければ、さらに星1クチコミを書くと脅しているという。

それら脅迫メールは「私たちの行いを心から謝罪します」としつつ、「私たちはインドに住んでおり、他に生き残る道がないのです。このギフトカードを売ると約50ドルの収入を得られ、一世帯の3週間分の収入となります」などと書かれているという。高圧的に脅すのではなく、情に訴えかけているらしい。

なぜ詐欺師がギフトカードを要求しがちかといえば、足取りをたどるのが極めて難しいからだ。また全世界から投稿できるクチコミは、企業側で防いだり、削除したり、隠すこともままならない。悪質なクチコミを消すにはGoogleに協力してもらうか、詐欺師に金銭を払うかの二択だが、法執行機関(警察など)は後者を避けるよう勧めているとのことだ。

Googleは星1による詐欺行為が横行していると認め、これらはポリシーに違反していると述べている。さらに被害を受けた企業のクチコミ削除に取り組んでおり、悪質なクチコミにはフラグ(ポリシー違反の通報)を立てるようオーナーに求めているという。

そして対応策としては「こうした攻撃を阻止し、不正なクチコミを削除し、影響を受けた可能性のある企業プロフィールを保護するため、24時間体制で取り組んでいます」とのコメントが出されている。

しかし、デジタルマーケティング情報誌SearchEngineLandは、Googleでさえ苦戦を強いられていると伝えている。同社が米テキサス州ヒューストンのレストランに付けられた悪意ある星1のうち5件を削除したところ、その間に新たに7件の詐欺クチコミが投稿されていたというのだ。この手の詐欺はFacebookでもよくあるが、各社ともクチコミの削除にはかなり時間がかかるらしい。

ネットのクチコミ情報は地元密着の店舗と顧客をつなぐ大切な接点であり、星1クチコミに「汚染」されれば、双方ともに不幸な結果となる。Googleにとっても対策は困難と思われるが、そこは世界トップのAI技術などを投入して解決を望みたいところだ。