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<p>健康なオスのハエを誘惑してメスの死体と交尾させるゾンビハエ真菌</p><p>健康なオスのハエを誘惑してメスの死体と交尾させるゾンビハエ真菌</p><p>コペンハーゲン大学の研究チームが、一般的なイエバエに致命的な胞子を感染させることで生き残る、病原性真菌の実態を調査しています。この真菌は、メスのイエバエの死体を使ってオスのイエバエを誘惑するのですが、メスバエが死体になってからの時間が長くなればなるほど、オスにとって死体はより魅力的に映るそうです。</p><p>Entomophthora muscaeについて研究したコペンハーゲン大学環境植物科学部のヘンリク・H・デファインリヒト氏は、「Entomophthora muscaeに感染したハエの死体が放出する化学物質は、オスのハエを魅了し、『メスバエの死体と交尾したい』という衝動を引き起こさせるフェロモンとして機能します」と述べました。なお、Entomophthora muscaeに感染したメスバエの死体とオスのハエが交尾した場合、オスバエも真菌の胞子にさらされ、最終的に死亡します。 以下は、Entomophthora muscaeに感染したメスのイエバエの死体と交尾するオスのイエバエの写真。以下の写真をクリックするとモザイクなしの写真が表示されますが、グロテスクなので閲覧は自己責任でお願いします。メスのイエバエのお腹部分が白色の胞子で膨れ上がっているのが、Entomophthora muscaeに感染していることを如実に示しています。 研究チームによると、Entomophthora muscaeに感染したメスのイエバエの死体は時間の経過と共に、オスのイエバエにとってより魅力的なものになっていくとのこと。具体的には、調査対象となったオスのイエバエのうち、真菌感染症で死亡してから3~8時間以内のメスのイエバエの死体と交尾したのはわずか15%ですが、死後25~30時間のメスの死体と交尾する割合はなんと73%にまで跳ね上がるそうです。 死後経過時間が長くなるほどオスをより引き付けられるようになる理由について、デファインリヒト氏は、「メスのハエの死後経過時間が長いほど、オスにとって魅力的になっていくことがわかります。これはEntomophthora muscaeの胞子の量が時間の経過と共に増加し、魅惑的な香り(フェロモン)が高まるためです」と説明しています。 デファインリヒト氏らの研究は、将来的にはより効果的なハエ忌避剤の開発にもつながる可能性があり、「ハエは非常に不衛生で、大腸菌やその他の病気を媒介することで、人間や動物を病気にする可能性があります。そのため、例えば食料を生産している地域では、イエバエの発生を抑制する必要があります。そこでEntomophthora muscaeが役立つ可能性があります。Entomophthora muscaeが生成する香りを生物学的な害虫駆除剤として利用することで、死体の代わりに健康なオスのハエを集めることができるかもしれません」と語っています。 この記事のタイトルとURLをコピーする</p>