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 すこし古い話題になるが、2021年12月2日~12月27日までの期間、横浜みなとみらいの日産グローバル本社ギャラリーにおいて、「NISSAN FUTURES」というイベントが開催された。

「日産の電動化の最前線」を伝えるという本イベント。その参考展示として、中国向けのe-POWERシルフィや欧州のキャシュカイなどの日本未導入モデルが展示されたのだ。

 日産に限ったことではないが、各自動車メーカーには、世界では売っているのに日本では売っていないモデルが多くある。特に日産は、なぜか海外モデルにいいモデルがあり、「なぜ日本で売らないのか…」といわれるモデルが多く、今回のe-POWERシルフィやキャッシュカイも、そのなかの一台だ。

 今回日本で展示されたということは、e-POWERシルフィ、キャッシュカイについて日本導入の可能性があるということなのか!? 「世界で売っていて日本で売れそうな日産車」5台をご紹介したい。

本稿は2021年12月のものに適宜修正を加えています
文/吉川賢一、写真/日産

【画像ギャラリー】海外向けの日産がカッコいい!! 日本導入すれば売れそうな日産車5台をギャラリーでチェック(22枚)画像ギャラリー


■日産 キャシュカイ(3代目 2021年~)

日産 キャシュカイ。全長4425×全幅1838×全高1635mm、ホイールベース2666mm、2代目キャシュカイ(日本未導入)に対し、ひと回りほど大型化している

 キャシュカイは、欧州を主戦場とするクロスオーバーSUVだ。

 北米では「ローグスポーツ」という名称で販売されており、現行型は3代目となる。初代モデルは日本でも「デュアリス」という名で販売されていた。

 2020年に登場した、兄弟車の北米新型ローグ(日本名エクストレイルだが、新型は日本未発表)が、直線やスクエアなかたちを意識したデザインに対し、新型キャシュカイは、アリアや新型ノートにも似た、カーブを意識したデザインで登場。このデザインは、日本でも大いに受け入れられると思う。

 ボディサイズは、全長4425×全幅1838×全高1635mm、ホイールベース2666mm。

 キックスe-POWER(全長4290×全幅1760×全高1610mm)に対し、ひと回り大きなサイズ感ではあるが、新型ローグ(=新型エクストレイル)よりも小さいことから、日本でも大きすぎるサイズ感ではない。

 この新型キャシュカイには、12Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせた1.3Lの直噴ターボエンジン仕様のほかに、排気量1.5Lの可変圧縮比エンジン「VCターボ」を発電専用エンジンとして搭載したe-POWER仕様がある。

 最高出力は187ps、最大トルクは330Nmだ。

 これだけの強いトルクがあれば、スピード嗜好の欧州ドライバーにとっても、まったく不足ないパフォーマンスとなっている。

 日本市場においても、エクストレイルでは大きすぎる、でもキックスでは小さくて……と感じる方にとっては、いい選択肢になるだろう。

■日産 ジューク(2代目 2019年~)

日産 ジューク。全長4210×全幅1800×全高1595mm、ホイールベース2636mm、車重1187kg。タイヤサイズは215/65 R16から225/45 R19まである

 日本でも販売されていた先代ジューク(初代)から受け継いだ全体のプロポーションに、サイドのキャラクターラインとVモーショングリル、シャープなテールランプなどを装備するなど、ブラッシュアップして登場した2代目ジューク。

 残念ながら、2代目は日本に導入されなかったが、どのSUVにも似ていないデザインは魅力で、実にカッコ良い。

 エンジンは1L、直3ターボ(最高出力114ps、最大トルク200Nm)のみ。

 トランスミッションは7速DCTもしくは6速MTだ。e-POWER搭載については、現時点発表はされていない。

 ボディサイズは、全長4210×全幅1800×全高1595mm、ホイールベース2636mm。キックスよりも幅が広くて全長が短い。

 現在のところ、2代目ジュークは欧州がメインの販売だが、生産工場のあるイギリスでは、右ハンドル仕様も販売されている。

 現地価格は1万8595~2万5095ポンド(約278万~376万円)だ。

 キックスと近しいサイズ感ではあるが、キックスよりもクーペルックであり、使用されるプラットフォームが最新のCMF-Bプラットフォーム(キックスはVプラットフォーム)。

 ジュークのキャラクタは維持しつつ、全方位で生まれ変わった「ジューク」の活躍を、また日本でも見てみたい。

■日産 シルフィ(4代目 2019年~)

日産 シルフィ。全長4641×全幅1815×全高1450mmと堂々としたサイズのB18シルフィ。先代シルフィ(B17)に対して全長+2mm、全幅+55mm、全高-45mmと、ワイド&ローなスタイルに進化

「シルフィ」としては、3代目となるB17型が日本で生産終了となったのが、2020年9月のこと。現在のところ、新型であるB18型は日本では登場していない。

 B18型シルフィは、2019年4月の上海モーターショーで世界初登場。

 先代までのオーソドックスなスタイルから一変、スタイリッシュなセダンに進化した新型シルフィは当時、日本でもかなり話題となった。

 中国市場では、同年7月より販売開始され、その後、2020年11月には、米国市場でも、新型「セントラ」として発売された。このシルフィに、2021年9月、e-POWERが搭載し発表となったのが、「e-POWERシルフィ」だ。

 最大トルクは300Nm、5種類のドライビングモードをもち、走行シーンや走行環境に合わせて、最適な走行性能が可能。

 100km走行あたりのガソリン消費量は3.9L、およそ25.6km/Lに相当する、相当な低燃費車だ。

 シルフィe-POWERの日本導入に関して、今のところ、日産による明言は一切ない。

 だが、2年前の5月、日産は事業構造改革計画のなかで「日本市場へはe-POWER車を6車種、ICE車(ガソリン車)を3車種、EVを3車種導入する」としており、このe-POWERシルフィは、このなかの一台であると筆者は考えている。

 日産の海外専売モデルのなかでも、日本導入がもっとも熱望されているe-POWERシルフィ。

 スカイラインよりも下のエントリーセダンとして、これほどスタイリッシュなシルフィが導入されれば、国内セダン市場も活気づくだろう。

■日産 タウンスター(2021年~)

NV250、e-NV200の後継車にあたる新型「タウンスター」の乗用ワゴン。新型カングーとプラットフォームを共用しており、広大な室内が最大の魅力だ

 タウンスターは、2021年9月27日に発表となった、欧州専売の小型商用車ベースの乗用ワゴンだ。

 NV250、e-NV200の後継モデルであるタウンスターは、CMF-Cプラットフォームをベースとしており、ルノーカングー(3代目)の日産版、という位置づけとなる。

 EVとガソリンの2種類のパワートレインを持ち、商用バンと乗用ワゴンが用意されている。

 EV仕様は、44kWhのバッテリー容量で、フル充電での航続距離は285km(WLTP複合サイクルを前提とした社内測定値)、モーターの最大トルクは245Nm。

 一方のガソリン仕様は1.3Lターボエンジンを搭載、最高出力130ps、最大トルク240Nmを発生する。

 タウンスターは、スタイリッシュなデザインと、抜群の使い勝手で、日本市場でもトランスポーターとして、人気が出る可能性は大きい。

 日本には現在、NV200バネットバンがあるが、2009年の登場と、既に12年目へ突入している。タウンスターには、「次期型バネットバン」として、活躍してくれることを期待したい。

■日産 マグナイト(初代 2021年~)

日産 マグナイト。全長3994×全幅1758×全高1572mm、ホイールベース2500mm。車重1039kg、タイヤサイズ195/60R16。全長は4メートルを下回っており、車幅が60ミリ広いが、ライズ/ロッキーとほぼ同サイズ

 インド市場向けのコンパクトSUVである「マグナイト」。

 全長4000mm以下と非常にコンパクトなマグナイトは、キックスよりも全長は短く、ロッキー/ライズに近いサイズ感だ。

 角型LEDヘッドライトや、ダットサンブランドの名残である6角形大型グリル、ヘッドライトから下に伸びる縦型のLEDデイライト、さらには、アルミ加飾を多用したスタイリッシュな内装や大型ナビゲーションモニターなど、実にスタイリッシュ。

 ちなみに、2019年にデビューしているルノーのインド市場向けコンパクトSUV「Triber」と兄弟車でもある。

 1.0L直3ターボは、最高出力100ps、最大トルク160Nmを発揮。エクストロニックCVTもしくは5速MT仕様となる。

 インド市場向けなので右ハンドル仕様と、その気になれば、日本に持ってくることができるモデルだ。インド価格は54.9~98.9万ラーク(約82~146万円に相当)、日本の水準で考えれば破格の値段で販売されている。

 このマグナイトにe-POWERを搭載したうえで日本でも販売すれば、日産の国内販売に大いに貢献してくれる、と思うのだが…。

■まとめ

 展示イベントでの反響は、もちろん日産としても注視していたことだろう。

 現時点では、日本導入のシナリオがなかったとしても、ニュースやSNSに取り上げられた様子をみて、将来戦略を変更する可能性はなくはない。日産ファンからの導入を望む声は、自動車メーカーに強いメッセージを与えることができる。

 今回展示されている3車種(シルフィ、キャシュカイ、エクストレイル)は、どれもe-POWER化が切望されていた(されている)モデルだ。

 エクストレイルe-POWERについては、日本導入は間違いないが、e-POWERシルフィも同時に日本投入、ということも、可能性としては十分あり得る。そしてぜひ、キャッシュカイも「デュアリス」として日本復活を果たしてほしい。

「ノート」の派生車攻勢で、日産のラインナップが多少活気づいた2021年。2022年も、我々ファンを驚かせてくれることを期待している。

日産の電動化計画

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