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毎日新聞と社会調査研究センターが18日、全国世論調査を実施した。岸田内閣の支持率は48%で、前回調査時(5月21日)から5ポイント下落した。不支持率は前回調査時の37%から7ポイント増加した44%だった。

7日、茨城県潮来市の「あやめ娘」の表敬訪問を受け、ニンマリ顔の岸田首相だったが…(官邸サイト)

内閣支持率の下落傾向は、他社の世論調査でも同様だった。共同通信が今月11日から13日に行った世論調査では、岸田内閣の支持率は5月の前回調査と比べて4.6ポイント下落の56.9%だった。不支持率は、5.1ポイント増の26.9%だった。

テレビ朝日が18日と19日に実施した世論調査では、岸田内閣の支持率は前月比2.0ポイント下落の49.0%と3カ月ぶりに50%を割り込んだ。不支持率は4.7ポイント増の26.7%だった。

高齢者に高支持率の岸田内閣

ネット上では、「やっと内閣支持率が落ちだしたか」といった反応が目立った。また、「まだ高すぎる」といった声も少なくなかった。

ネット民が「岸田内閣の支持率がまだ高すぎる」と見えることは、新聞を購読している層とツイッターなどのSNSを使っている層が分かれていることに理由があるだろう。総務省の「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、ツイッターを一番使っている年齢層は、20代で79.8%、次いで10代の67.6%、30代の48.4%といった順だった。60代でツイッターを使っている人は、13.5%にとどまる。Twitterの平均年齢は、20~30代と言われている。

対して、新聞購読者層は60代以上が多い。新聞通信調査会の「第 13 回メディアに関する全国世論調査(2020年)」によると、月ぎめで新聞を購読している人が最も多かったのは、70代以上で82.9%だった。次いで、60代が77.7%、50代66.6%といった順だった。

新聞購読者層は、60代、70代が圧倒的に多いが、この層がこれまで岸田内閣を支持していた。社会調査研究センターが5月に行った世論調査で、岸田内閣の支持率が最も高かったのは70歳以上で、65%の人が支持していた。60代も55%の支持率があった。一方で、若年層では支持率は低く、18歳から29歳の岸田内閣の支持率は38%だった。

これが、ツイッターをよく使っている20代~30代が、「なんでこんなに内閣支持率が高いんだ」と思う主な理由だ。

ネット世代とシニア世代で認識の差が…(xavierarnau /iStock)

電話調査は47.9%、ネット調査は24.9%

さらに、調査方法によっても、内閣支持率は大きく異なる。選挙・政治家データベースサイト「選挙ドットコム」は、11日、12日にJX通信社と共同で内閣支持率などの世論調査を行っている。この世論調査が他社と違うのは、電話調査とネット調査に分けて調査結果を発表している点だ。

電話調査での内閣支持率は47.9%で、不支持率は22.6%だった。一方、ネット調査での内閣支持率は24.9%で、不支持率は33.2%に上る。ネットユーザーの多くは、新聞社の内閣支持率より、この調査での内閣支持率に納得感が強いのではないだろうか。

岸田内閣は、ネットを使わず、新聞やテレビを主な情報源としている高齢層の高支持率に支えられてきた。この層は人口も多く、投票率も高い。そのため、参院選前にこの層に受けが悪いと思われる、たとえば原発再稼働のような思い切った政策は取りづらい。政権発足後、終始、安全運転に徹してきたことで高い支持率をキープさせてきた岸田政権。

しかし、最近になって、物価高に加えて年金受給額も減額となるなど、高齢層の財布に直結する事態になり、頼みの高齢層の支持率も下落基調に入ってきたというわけだ。

冒頭の毎日新聞と社会調査研究センターが行った世論調査の「参院選で与党と野党どちらに議席を伸ばしてほしいか」という質問では、与党が37%だったのに対して、野党は42%だった。つい先日までは、無風で自民党が圧勝するのではと見られていた参院選。ここにきてようやく、混沌としてきたようだ。