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 国土交通省関東地方整備局は、横浜港・本牧ふ頭D1コンテナターミナルで、情報通信技術を活用した新・港湾情報システム「CONPAS(コンパス)」の試験運用を開始した。

 目的は「トレーラの特定時間帯への集中を分散・平準化させることを実現するための運用方法の確立」で、深刻化するターミナルゲート前の混雑解消に期待。期間は2022年7月13日〜27日まで(土日祝除く)となっている。

 国土交通省関東地方整備局では、横浜港での運用結果を踏まえて、今後他港への拡大も予定しているとのことで注目だ。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部 写真/海コンドライバー ヒロさん、トラックマガジン「フルロード」編集部


ゲート前混雑が深刻化するコンテナターミナル

ゲート前に並ぶ海コントレーラ

 コンテナターミナルでは、コンテナ船の大型化に伴って1回の寄港あたりの積み降ろしコンテナ数が増加。大型コンテナ船の寄港前後のトレーラ到着台数増加に伴い、ゲート前混雑が深刻化している。

 また、ヤード内に滞留するコンテナ数の増加は、荷操り回数の増加につながる。これによるヤード内の荷役効率性の低下もまた、ゲート前混雑の一因となっている。

 こうした状況を改善するには、ゲート処理能力やヤード内荷役能力を向上させ、ゲート前待機時間の削減を図る必要がある。

 これを踏まえ、コンテナターミナルの生産性を大幅に向上させる「ヒトを支援するAIターミナル」の実現に向けた取り組みの一環として、国土交通省が開発したのが新・港湾情報システム「CONPAS」だ。

 なおCONPASという名前は「Container Fast Pass」のイニシャルをとったものだ。

新・港湾情報システムCONPASとは?

 CONPASは、情報通信(IT)技術の活用により、ゲート手続きやヤード内荷役作業の効率化を実現するシステム。現在実装されている機能は、搬出入予約、IC付身分証(PSカード)活用、搬入情報の事前照合、車両接近情報・予約情報の活用など大きく4つだ。

 このうち搬出入予約は、搬出入予約制度を導入し、ゲートの処理能力に応じた予約枠を設定。陸運事業者が事前に空いている予約枠に予約を行なうことで、トレーラの到着の集中を抑制。到着時間の平準化を図り、総待機時間の短縮を図るもの。

 横浜港の試験運用では、搬入トレーラの14%がCONPASで予約を行なった場合、ゲート前総待機時間が約1割削減される効果があったという。

 このほか、搬出入票の提示等を省略し、PSカードのタッチのみで入場受付を行なうPSカード活用では、入場受付にかかる時間を約2割削減、車両接近情報・予約情報の活用では、15分程度の荷操り準備時間を確保できるなど、さまざまな効果が上がっている。

 なお、国交省のCONPASポータルサイトでは、CONPAS導入前の搬出時間平均10分、搬入時間平均30分が、CONPAS導入後は搬出入とも0分になり、こうした待機時間解消で年間約10億円の効果が見込まれるとの試算データも掲載されている。

横浜港のCONPAS活用の取り組み

 いっぽう、国土交通省関東地方整備局では、国際コンテナ戦略港湾・京浜港(東京港、川崎港、横浜港)の国際競争力強化を図るため、コンテナ輸送の効率化、生産性向上に向けた取り組みを推進している。

 横浜港では、2017年度より港湾関係者で構成する「ICTを活用した横浜港コンテナ輸送効率化検討会」を定期的に開催。2020年度までのCONPASの本格運用開始を目指して試験運用を実施してきた。

 試験運用は2017年度より南本牧地区と本牧地区で始まり、これまでにCONPASを活用したコンテナ輸送効率化の試験運用を8回実施。2021年4月には、ついに南本牧ふ頭コンテナターミナルでCONPASの本格運用をスタートしている。

 今回の本牧ふ頭D1コンテナターミナルでの試験運用は、南本牧ふ頭コンテナターミナルに続くもので、トレーラの特定時間帯への集中を分散・平準化させることを実現するための運用方法を確立するのが目的。

 国土交通省では、横浜港での運用結果を踏まえて他港にもCONPASの導入を拡大予定としており、今後の動向にも注目だ。

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