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建築家の経験とスキル、何よりセンスの見せ所! 狭小地を逆手に取り、楽しみながら、ライフスタイルを充実させた家

限られたスペースにおいて如何に無駄を省き、良いスタイリングで、使い勝手の良い空間にできるかは、建築家にとって腕の見せ所である。モダンなガラス張りの建物に収まる「ポルシェ911」と「スズキ・カタナ」は外からもショールームさながらに見ることができる。事務所、アトリエ、ガレージを兼ねた一級建築士 中村高淑氏の自邸に迫った。

今回伺った建築家・中村高淑氏の自邸は、約54平米の敷地に建てたガレージハウスであり、そこには自身の事務所、陶芸家である奥様のアトリエ、そして住居がすべて詰め込まれている。そのこだわりや工夫とはいったいどのようなものなのだろうか。

ガレージ、オフィス、アトリエ、居住スペースの機能
建築面積は約32平米で地上3階建て、延べ床面積は約95平米、短辺スパンはわずか2.77mとなる中村邸。これらの数値を見ただけでも、かなり入念な計算をしないと、ガレージ付きの住まいを建てるのは難しいことがわかる。間取りとしては、1階ガレージにどちらも1981年式のポルシェ911とスズキ・GSX1100Sカタナが収まっており、その奥には建築事務所スペースが置かれている。

らせん階段を使い2階へと昇ると狭さを感じさせない、むしろ広々としたダイニングキッチンが待ち構えていた。ガレージの上部にあたるこの場所は、ガラス窓が大きいために解放感がある。さらには陶芸のためのアトリエも用意されている。3階はベッドルームやバスルームなどの、プライベートスペースとなっている。

1階がRC造、2、3階は木造で薄肉ラーメン構造に
建築家の自邸らしく細部まで徹底的に計算されており、狭小ならではというポイントを数え上げればきりがないのだか、このガレージハウスの一番の見どころはその構造にある。1階部分がRC造、2,3階をLVL材(単板積層材)を使用した木造とし、どちらも”薄肉ラーメン構造”を用いている。これは耐力壁や柱型梁型を使わず、フレーム枠にした構造体により強度を持たせるもので、大空間を実現できる手法。

これにより、ガレージスペースも大きくとることができ、少ないスペースながらバイクも収納することができたのである。さらには、2階部分の外面に接する部分は大きなガラスを使った出窓とすることで、解放感を持たせているうえ、ちょっとした荷物などを置くほか、パーティやイベント時には腰かけることも可能だ。

キッチンやクローゼットは稼働式に
注目ポイントとしては、キッチンやクローゼットが可動式とされていること。家の中で一定の存在感があるキッチンは普通移動することなどできないが、中村邸は違っている。キッチン下にキャスターを設け、配管をフレキシブルタイプとすることで、例えばワークショップやハウスパーティを開催した際はキッチンを移動し、レイアウトを変更することができ、実際に20名ほどの客人を招いたこともあるそうだ。

それと同様にベッドルーム脇に置かれたクローゼットも、間仕切やウォークインクローゼットのように使うほか、部屋の隅に寄せてフロアを広くするなど、レイアウトを楽しめるようになっている。これらは総じて先述した薄肉ラーメン構造により、わけ隔てのないワンフロアを実現させていることによる部分が大きい。
狭小地であることを逆手に取り、楽しみながら、ライフスタイルを充実させる建築家の自邸。狭小ガレージハウスにはまだまだ可能性が隠されているのだ。
取材協力:中村高淑建築 設計事務所

投稿 ポルシェ911とスズキ・カタナ所有の建築家の自邸は、アイデアあふれるモダン狭小ガレージハウス【ガレージライフ】CARSMEET WEB に最初に表示されました。