<p>刑務作業が生み出す約1兆5000億円のほとんどが受刑者の手元に入らず搾取されているという報告</p><p>刑務作業が生み出す約1兆5000億円のほとんどが受刑者の手元に入らず搾取されているという報告</p><p>日本の刑務所では「刑務作業」として受刑者にさまざまな仕事を割り振られますが、アメリカでは刑務所によって異なり、一部の刑務所でのみ刑務作業が課されます。それでもアメリカの刑務作業は毎年110億ドル(約1兆5000億円)の商品やサービスを生み出しているそうですが、そのほとんどが受刑者に還元されずに搾取されているという報告書を、アメリカ自由人権協会が発表しました。</p><p>アメリカ自由人権協会によると、アメリカでは120万人以上が州刑務所あるいは連邦刑務所に収監されており、そのうちおよそ3分の2が刑務作業として労働を課せられているとのこと。この刑務作業によって、年間20億ドル(約2700億円)の商品と90億ドル(約1兆2100億円)のサービスが生み出されているそうです。 しかし、アメリカの受刑者に支払われる時給は全国平均で13~52セント(約17~70円)に過ぎず、食事代や裁判費用、返還金、刑務所の維持費という名目でアメリカ政府が最大80%を徴収しているとのこと。さらに、アラバマ州・アーカンソー州・フロリダ州・ジョージア州・ミシシッピ州・サウスカロライナ州・テキサス州では、受刑者に対して賃金がまったく支払われていなかったとアメリカ自由人権協会は報告しています。 また、賃金控除で受刑者の手元には総支給額の半分以下しか残らないにもかかわらず、受刑者は自前で衛生用品や医療費をまかなう必要があるとのこと。そのため、刑務所の労働者のおよそ70%が刑務所の賃金だけでは生活必需品を購入することができないそうです。 さらに、刑務作業を受刑者が自由に選択することは基本的に不可能で、労働内容は基本的に刑務所の管理者側が選びます。刑務作業はほぼ強制的なもので、司法統計局の調査によれば、刑務作業を行う刑務所に収監された者の76%以上が「働かなければ独房へ収監されたり、減刑希望や家族との面会の機会を失ったりすることになる」と証言しているとのこと。 アメリカ自由人権協会は、刑務所の管理者による仕事の割り当ては恣意(しい)的、差別的、あるいは懲罰的な側面を持ちやすいと述べ、「犯罪者は奴隷制禁止の原則から除かれる」というアメリカ合衆国憲法第13条の修正を訴えました。 この記事のタイトルとURLをコピーする</p>