新型SL、GLC、Aクラスのフェイスリフト。メルセデスとAMGが2024年までに発売するクルマはこれだ。2024年までに新型デビューするメルセデスとAMGモデル。SLの新型、SUVのメルセデスEQS、新型GLC、Aクラスのモデルチェンジなどなど、2024年までのメルセデスのイノベーションをすべて紹介。
メルセデスは、そのポートフォリオを徐々に完全な電気自動車に変えつつある。2025年以降、シュトゥットガルトからは新しい電動プラットフォームのみが発表され、同年には、3種類の新しいアーキテクチャーが発表される予定だ。
① 「MB.EA」は今後、中型から大型のモデルのベースになっていく。
② 「AMG.EA」はスポーツブランド専用で、特に高いパフォーマンスを発揮するために設計されている。
③ 「VAN.EA」は、次世代の電動バンや商用車の下支えとなるものだ。
しかし、他のメーカーと違って、メルセデスはいつ内燃機関を完全にやめるかについては明言していない。その代わり、シュトゥットガルトの自動車メーカーは、その日を市場の状況次第としている。「10年後、市場が完全に電気自動車に切り替わるのであれば、我々は万全に準備ができている」と、メルセデスのボス、オラ カレニウスは言う。
電池生産に8か所のギガファクトリーを計画
電気自動車が増えればバッテリーの需要も当然増えるので、メルセデスは標準化された新しいバッテリー世代を開発したいと考えている。この新世代バッテリーは、将来の自動車の90%に採用される予定だ。メルセデスは、十分な量の電池セルを生産できるようにするため、パートナー企業とともに、世界に8つのギガファクトリー(巨大工場)を建設する予定だ。
以下の3つのモデルは、これからの時代、特に重要な意味を持つようになるだろう。
1.メルセデスGLC: そのルックスに忠実であること
「VWティグアン」の対抗馬は、2022年に第2ラウンドを迎えるが、その外観は忠実に再現される予定だ。デザインはアレンジされているものの、SUVとして大きな飛躍はない。一方、インテリアはぐっとモダンになり、「Cクラス」と同様、独立した12.3インチのデジタルコックピットと、ドライバー側に傾けた11.9インチのセンターディスプレイを装備している。エンジン面では、電動4気筒エンジンと全輪駆動のみとなり、オートマチックトランスミッションは「9G-Tronic」が標準装備となった。
2.メルセデスEQG: 燃焼エンジンの恐竜が電気になる
エレクトロモビリティーへの発展は、古参の手も借りたいほどだ。ミュンヘンで開催された「IAA 2021国際モーターショー」で、メルセデスは電動「Gクラス」のスタディモデルを発表した。これまでほとんど変更されていないアイコンに近いデザインだ。オフロード性能は新時代のためにも残して置き、ロックやリダクションギアなどはそのままに、全輪駆動を実現している。内燃機関バージョンは当分の間、ポートフォリオに残り、並行して提供されるというのは良いニュースだ。
3.メルセデスAMG One: F1エンジン搭載のハイブリッドハイパーカー
数年の歳月を経て、「AMG One」の市販モデルが完成した。「ハイパーカー」の開発は予想以上に難航し、何度も延期されたためだ。このハイパーカーは、2015年のF1メルセデスから流用したV6ハイブリッドガソリンエンジンを搭載している。4基の電気モーターと組み合わせたハイブリッドパワーユニットは、システム出力1063馬力を発揮する。275台限定の「One」は、0から100km/hまでの加速が2.9秒、200km/hまでの到達が7秒だ。電子制御システムによって最高速度は352km/hで停止する。車両価格は275万(約3億8,200万円)ユーロ。もちろん、税抜き価格だ。
ニューメルセデスとAMG (2022、2023&2024)
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今後、メルセデスは「シタン」の職人仕様のみを提供し、一般のユーザー向けモデルは「Tクラス」と呼ばれることになる。商用車では、旅客輸送用の「ツアラー」と「パネルバン」の2種類があり、それぞれホイールベースの異なる2種類の車両が用意される。外観は技術的な兄弟である「ルノー カングー」とより距離を置き、新型車には「MBUX」の機能も搭載されている。
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新型「SL」は本物のAMGになる! なぜなら、メルセデスの最も古いモデルシリーズの8代目は、最初からアファルターバッハで開発されたものだからだ。市場導入時には、「SL 63」に全輪駆動で585馬力のV8が、その後エントリーモデルとして、「A 45」でおなじみの381馬力の4気筒エンジンと後輪駆動の「SL 43」が用意される予定だ。
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見た目には、ほんの少しデザインが変わっただけだが、技術的には多くのことが起きている。ボンネットの下で働くのは4気筒エンジンのみで、すべてのエンジンが電動化されている。発売時には、2種類のガソリンエンジンと1種類のディーゼルエンジン、そして4種類のプラグインハイブリッドが用意される。最もパワフルなバリエーションは、当初はシステム出力381馬力の「GLC 400 e」だ。GLCのベース価格は、標準装備の充実により、5万ユーロ(約700万円)を超えるはずだ。
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「AMG One」は275台のみ製造される。2015年のF1世界チャンピオンマシンに搭載された1.6リッターターボは、「One」で574馬力/11,000rpmを発揮する。このターボ6気筒を4期の電動モーターが支え、合計611馬力を発揮する。併せて、1063馬力というシステム出力である。「One」は7秒で0から200km/hにまで到達し、352km/hに達すると電子制御される。
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電気自動車は通常の「Eクラス」と同じ長さだが、室内空間は「Eクラス」のロングバージョンと同じ広さを確保している。「EQS」のオプション画面は、ダッシュボード全体に広がっている。今のところ、292馬力のベーシックバージョンと476馬力のAMGバージョンがある。90.6kWhのバッテリーにより、「EQE」は最長654kmの走行が可能だ。
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プラグインハイブリッドである「GT 4ドア」は、メルセデスAMGの市販モデルとしてこれまでで最もパワフルなモデルだ。4リッターV8ツインターボと電動モーターの組み合わせは、最高出力843馬力、最大システムトルク1470Nmを発揮し、0から100km/hまで2.9秒で加速、316km/hの最高速度を有する。
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メルセデスAMGは、「W/S213」シリーズに別れを告げ、マットペイント仕上げや新しいホイールなどの視覚的なニューディテールを備えた特別なモデルを発表した。また、ファイナルエディションは、612馬力のV8ツインターボを搭載した最後の「Eクラス」となる。将来の世代では、より小型のエンジンやハイブリッドパワートレインが採用される可能性がある。「E 63 S 4MATIC+ファイナルエディション」は、999台が限定生産される。
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今後、メルセデスは「S 65」を温存するため、「S 63」がSクラスのトップモデルとなる。4リッターV8エンジンによる612の燃焼馬力はおそらく「S 65」に残り、さらに電動モーターまたは統合されたスタータージェネレーターが搭載されるだろう。次期「C 63」は、4気筒をPHEVとして搭載する予定だ。大型ターボチャージャーのおかげで、おそらく450馬力を発揮し、電動モーターによってSモデルは558馬力程度にまで押し上げられるだろう。
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外観は通常の「EQS」に近く、Cd値0.2という驚異的な低さを実現したのはこのデザインによるものだ。メルセデスAMGの「EQS 53」は、1つのアクスルにつき1基の電動モーターを使用し、合計で658馬力を発揮する。「Dynamic+」パッケージでは、出力は761馬力、1000Nm以上に向上します。0から100km/hまでのスプリントは3.4秒で完了する。
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今後、「GLS」の代わりに電気自動車のSUVが登場する可能性が高い。重量増とCd値の悪さから、770kmの航続距離は達成できそうにない。
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将来的に、「シタン」は職人用のみ、乗用車は「Tクラス」と呼ばれ、さらに電気自動車の派生モデルである「EQT」が登場する予定だ。生産間近のスタディモデルでは、「EQT」がどのようなものになり得るかを示している。外観はスポーティフューチャリスティックなデザインだが、内装はアナログメーター、やや小さめのセンターディスプレイ、最大7人乗りのシートなど、オーソドックスなものである。
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コンセプト「EQS」スタディは、ラグジュアリーなSUVである「マイバッハEQS」の可能性を示している。通常の「EQS」の駆動では、524馬力、航続距離は600kmとなる。
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次世代型「Gクラス」は2024年から電動化された状態で提供される予定だ。生産間近のスタディモデル(写真)は、電気自動車の姿を示している。デザインの基本的な特徴は、「EQG」でも変わらない。「メルセデスEQG」のスペアホイールカバーは、充電ケーブルを収納するためなど、ロック可能なボックスになっている。メルセデスにとって重要なのは、リダクション、ロックなどのオフロード性能は残っていることだ。ドライブに関する情報はまだない。
Text: Elias Holdenried, Jan Götze and Michael Gebhardt
Photo: Mercedes Benz AG / autobild.de