5月27日に発売された新型ステップワゴンは6代目だ。初代ステップワゴンが登場したのは今から26年前、1996年のこと。その初代は大ヒットとなったが、その理由のひとつがCMにあったという。
キャッチコピーは今では有名な「こどもといっしょにどこいこう。」だ。
これを手がけたのが佐藤可士和氏。氏は、自身が描いたイラストレーションを用い、絵本のなかにクルマが飛びこむという斬新なビジュアルを採用した。初代ステップワゴンのCMは、「そのクルマによって作られるライフスタイル」をアピールするという、それまでになかった手法を採用していた。
以来、クルマの性能や機能表現が重視されていた自動車広告は価値観が一変したともいわれている。そんな自動車のCMだが、ステップワゴン以外にも印象に残るようなCMやキャッチがあった。今回筆者には8選選出し、語ってもらった。
文/清水草一
写真/ホンダ、ベストカーweb編集部
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■プラスのイメージではないが、記憶に残っているものもある
第8位 2代目日産セレナ「モノより思い出。」(1999年~)
初代ステップワゴンの「こどもといっしょにどこいこう」とまったく同系統のコピーだが、なぜか反感を覚え、非常によく記憶している。言いたいことはわかるのだが、モノ(クルマ)のCMで「モノより思い出。」はないだろう! じゃクルマなんかいらんだろ! と、CMを見ながらつぶやいていたのは、今思えばオヤジ化の始まりだったのかもしれない。モノが思い出をつくります!
第7位 マツダ初代アテンザ「Zoom-Zoom」(2002年~)
とにかく、「なんて言ってるのかわからない」というのが、記憶に残っている最大の理由。カーマニア同士の間では、「ズンズンズンだろう?」「いや、ブンブンブンだ」といった、どうでもいい会話がかわされた。
あれが「ズームズーム」で、日本語の「ブーブー」に当たる英語の擬音だと聞いても、「そんな日本人になじみのないキャッチコピー使ってどうすんだよ!」と突っ込んでいた。そう思いつつ、しっかり記憶に刻まれているのだから、マツダさんの勝利なのでしょう。
■オジサン世代なら膝を打つ! ステキCMたち
第6位 初代ホンダシティ「ホンダホンダホンダホンダ」(1981年~)
マツダの「ズームズーム」と違って、これは間違いなく明瞭に「ホンダホンダホンダホンダ」だった。そして初代シティのトールボーイデザインとともに、明瞭に記憶に刻まれた。CMの基本は連呼して記憶に刻むことだと思い知らされます。
第5位 4代目日産スカイライン「ケンとメリーのスカイライン」(1972年~)
私はまだ10歳でしたが、オシャレでロマンチックな映像と、「ケンとメリーのスカイライン」というコピーに、なんだかウットリした覚えがある。ケンとメリーを演じた外人モデルさんたちは誰だったんだろう? それにしてもなぜケンとメリーだったんだろう?
よくもまぁ、「ケンとメリーの」などという、まったくもって茫洋としたコピーをつけたものだ。4代目スカイラインは、今でも「ケンメリ」と呼ばれ、完璧に定着している。これぞイメージ戦略の勝利。
第4位 2代目いすゞジェミニ「街の遊撃手。」(1984年~)
舞台はパリ。ダンスを踊るようにアクロバット走行を繰り広げるFFジェミニたち。しまいにゃメトロ(地下鉄)の階段を降り、駅を駆け回って階段から飛び出す! その映像にカーマニアなら心を奪われないはずがない!
そして最後に流れる「街の遊撃手。」のコピー。もう300%大納得! それにしても古いCMが多いなぁ。おっさんなもので、どうもすいません。
■筆者の考えるベスト3はこれだ!!
いよいよベスト3の発表です。
第3位 5代目クラウン「美しい日本のクラウン」(1974年~)
これまた私はまだ子供で、免許も持ってなかったのですが、そのどストレートなコピーが、脳裏に深く刻まれました。
美しい日本の風景のなかを駆け抜ける、超おっさんっぽい5代目クラウン。着物姿のウルトラ美人(吉永小百合)がポンと鼓を打ったりする隣には、金持ちそうなおっさん(山村聡)がどんと控える。うむむむむ。
バックの日本の風景がホントに美しかった。特に富士山! 富士山と吉永小百合とクラウンですから! もう「巨人・大鵬・卵焼き」だよ! そしてコピーは「美しい日本のクラウン」! なんというか、大谷翔平の164kmの直球! とでも言うべき、そのど真ん中さに圧倒された。子供ながらに。クラウンは美しくなかったけど。
第2位 初代日産セフィーロ「みなさんお元気ですか」「くうねるあそぶ。」(1988年~)
箱根ターンパイクみたいな道を走るセフィーロ(右側通行なので海外?)。そこを左側から抜きにかかるカメラカー。隣に並ぶと、助手席の窓が下がり、グラサンの井上陽水が顔を見せて「みなさんお元気ですか」と言う。最初に見た時は「えーっ!」と思った。あまりにも意表を突かれてしまった! そしてコピーは「くうねるあそぶ。」
食う、寝る、遊ぶ。人生それが一番大事という意味だよね。コピーとしては「モノより思い出。」の仲間だけど、当時のニッポンは「24時間働けますか」の働き中毒社会で、くうねるあそぶどころじゃなかっただけに、インパクトは超強力だった。
そして思ったのは、「こんなCMを作る側が、最強の勝ち組なんだろうな」ってこと。つまり、糸井重里さんですね!
第1位 初代マークX「男の真ん中でいたいじゃないか」(2004年~)
佐藤部長(取引先? にて)「申し訳ございませんでした」
(マークXの車内へ)
ナレーション「X for Men!」
美人秘書(部下?)「今日の部長、頭下げすぎでした。でもステキでした」
(ATをマニュアルモードに入れてシフトダウンし、橋の上でフル加速するマークX)
佐藤部長のナレーション「私の真ん中に、オレが帰ってくる。マークX」
キャッチコピーは「男の真ん中でいたいじゃないか」。うおおおお~! いたいですいたいです~! 俺も美人秘書に「ステキでした」とか言われる男になりたいです~!
初代マークXのこのコピーこそ、おっさんのど真ん中を付く史上最高傑作である。だからといってマークXを欲しいとはカケラも思わなかったが、佐藤部長みたいになりたい! とは真剣に思った(現代も継続中)。永遠の憧れ。
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投稿 どれも秀逸なものばかり! クルマCM、伝説のキャッチ8選 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。