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その実体は911ターボとは完全な別物

RUFは一般にはポルシェのチューナーとして認知されているが、厳密に言えばRUFの車両は、ドイツ自動車工業会に認可された自動車メーカーである“RUFオートモビル社”独自の製品であり、チューンド・ポルシェではない。極端な表現をすれば、タイヤはダンロップ、ホイールはスピードライン、シートはレカロ……そしてボディとエンジンはポルシェ製を使って一台の車を創出した、と言うことになるのだろう。

そんなRUFの名前を一躍有名にしたのが、1987年に同社が発表したRUF CTRだ。「CTR」の名は「カレラ・ターボ・ルーフ」の頭文字。930型911カレラをベースに、ボディパネルにはアルミを多用して軽量化、前後のデザインも変更され、特にリアは下部にスリットが設けられている。レインモールはオミットされ、ドアミラーも空力を考慮し小型のものに変更。リアフェンダーはオリジナル911ターボよりも逆にほんのすこしナローに仕上げられていた。


エンジンは排気量3.4Lにアップされツインターボを装着、最高出力は469psという数字であったが、これは控えめに公表されたもので、実際には510ps以上であったと言われる。911ターボではエンジンの上にインタークーラーが鎮座していたが、CTRではこれをセパレート式とし、エンジンの左右に振り分けている。このCTRを一躍有名にしたのは、当時、某自動車誌が行った最高速テストだった。288GTOやカウンタックといった当時のスーパースポーツを一堂に集めたこの場で、CTRは最高速度342km/hというブッチギリの数字を叩き出したのである。この時のCTRは鮮やかなイエローに塗られたプロトタイプだったが、その走りの鮮烈さから「イエローバード」のニックネームがつけられ、ひいてはこれがCTRの別名のようにもなっていった。






そんなわけで、ここでお見せしているのは、このイエローバードことCTRプロトタイプを1/24スケールで再現したプラモデルの完成品である。930型911のキットと言えば、現在まで長らく入手しやすい存在なのはフジミとタミヤだが、ここではよりボディプロポーションに優れるタミヤを使用、フジミのエンジンなどを適宜組み合わせて制作している。ただし、タミヤはタミヤでも、911ターボをベースにしてはいない。フェンダー幅の関係から、スピードスターのボディにクーペ(フラットノーズを使用)キャビンを移植しているのだ。


RUFらしいフェンダー幅のボディを3コイチで実現
まず、タミヤの911フラットノーズのボディからキャビン部分を切り離しておく。同じくタミヤのスピードスターから当該部を切除。このボディにフラットノーズのキャビンを接合、摺り合わせは主にボディ側を削った。ルーフの傾きなど違和感が残らないよう注意。次にフジミの「‘85年カレラ」からフェンダーを切り離し、タミヤボディに移植する。フラットノーズから切り出したリアウィングを仮留めして全体を確認、フラップもフラットノーズの部品を削りカレラウィングに改修した。写真の左側が加工済み状態。








フロントエプロンをエッチングソーで切り離し、プラ材を挟んで前および下へずらして接着。サイドの蛇腹部分も削除、この時点でフォグランプ位置も決めておくと作業が楽だ。輪郭が決まったら隙間にエポキシパテを詰め、丸っこく成形。彫刻刀の平刃でサイドマーカー部を彫り込む。RUFバンパーは上面が平らなので、このあとバンパーを一旦切り離し削って平面にした。センターダクトのルーバーは、フジミのリアウィング用パーツから切り出す。リアバンパーも平らに成形、プラ材でハシゴ状の部材を作ってバンパー下のスリットとする。リアフェンダーにはNACAダクトを開孔、ヘリはエバーグリーンのプラ帯で再現。しならせながら接着する。








ダクトの底部は、裏側からエポキシパテを当てて形状をトレースし、滑らかに成型して作っておいた。右ドア後ろにはリッドを追加、プラ板でテンプレートを作って彫り込む。レインモールは不要なので削除。エンジンを再現するので、エンジンフードを切り離す。




シャシーはエンジン底部を切り離し、フジミのエンスー版911ターボからエンジンベイを移植。エンジンもフジミから。エキマニは2mmのアルミ針金から自作、プラ棒やアルミパイプなどでウェイストゲートバルブをそれらしく構成した。デスビキャップの再現にはコトブキヤのガトリングがピッタリ、コードはモデラーズの0.45mm径。特徴的なインダクションボックスは自作。本体をアクリルパイプをタテに割り、切り口をプラ板で塞ぐ。吸入口は細切りプラ板を楕円形に丸めて作り、この2つを組み合わせボディカラーに塗装。








マフラーはプラ棒やプラ板で基本形を作り、パテ等で曲面を成形。RUFホイールは流用できるものがないため自作した。フジミF40LMのパーツ中央をパテで埋め、正確にアタリを付けてボルト孔を開ける。PCD130mmなので孔ピッチは広めに。ひとつだけ作って複製、ガイアのブライトシルバーとExシルバーの混色で塗装した。ロゴは自作デカール。RUF指定のタイヤであるダンロップD40はタミヤの959から流用。リアは959のフロント用がそのまま使えるが、フロントはさらに細身となるので、ナイフで切って幅詰めした。ジャンクホイールにはめた状態でナイフで転がすと綺麗に切れる。




重要なイエローのボディカラーは、クレオスのRLMイエローとキアライエローを2:1の割合で調色。上部に段差のないフラットなヘッドライトレンズ(実はここも911のままではない)は、フジミのメルセデスEクラスのものを加工し、サイズを合わせた。作者いわく「手彫りのレンズカットは表現が難しく、今後に課題が残る部分となった」とのこと。

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