息の長い人気ゲーム「Minecraft」の開発元であるMojangは、ゲーム内コンテンツにNFTを紐付けることをサポートまたは許可しないとの見解を、7月20日のブログ記事で示した。
NFTはNon-Fungible Token(非代替性トークン)の略語で、ブロックチェーン上に記録される、一意で代替性のないデータ単位のこと。これをデジタルアートなど容易に複製できるものや物理的な資産と紐付けることで、ある種の証明書のように利用できる。
しかしMojangは、そのようなNFTを利用したスキンやワールドデータの売買・取引は、持つものと持たざるものというシナリオを作り出すことになり、「誰もが対等な関係で関わり合い、ともにプレイするというマインクラフトの価値観に見合わない」と主張する。
「ブロックチェーン技術を、Minecraftのクライアントおよびサーバーアプリケーションに統合することは許可されていない」と述べ、NFTやブロックチェーン関連技術をワールド、スキン、各種アイテム、MODなどのゲーム内コンテンツに紐付けることを支持しない考えを示した。
さらに「NFTにまつわる投機的な価格設定や投資の考え方は、ゲームをプレイするという基本から意識を遠ざけ、利益追求を助長するものであり、プレイヤーの長期的な喜びや成功とは矛盾する」としている。
これは先日、NFTが「誰かが私よりも高く買ってくれるという『大バカ理論(greater fool theory)』に100%基づいている」と発言した、マイクロソフト共同創業者ビル・ゲイツ氏の意見にも通じる考え方と言えるかもしれない。
ゲーム業界では、NFTやブロックチェーンに対して、厳しい姿勢が多いように思える。たとえばゲーム配信プラットフォームのSteamを運営するValveは、こうした技術に否定的だ。またUbisoftは一時、『ゴーストリコン ブレイクポイント』関連のNFTを用意する考えを示したものの、その後しばらくして撤回している。
一方、Epic Gamesが運営するゲーム配信プラットフォームのEpic Games Storeでは、ブロックチェーンゲームに対してオープンな姿勢を示しており、最初のブロックチェーンゲーム「GRIT」が近日発売予定だ。
Mojangは未来永劫にブロックチェーンを拒絶するとはしていないものの、「いまこの時点でMinecraftにブロックチェーンを導入する予定はない」と述べている。このゲームはアクセシビリティや、子どものいる家庭でも安心して遊べることを重視しているため、プレイを楽しむのでなく、金銭面にフォーカスした活動がゲームに紛れ込むのは具合が悪いのかもしれない。