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東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県で6月に発売された、新築マンションの1戸当たりの平均価格は6450万円で、去年の同じ月より239万円、3.8%の上昇率だった。「不動産経済研究所」が20日、調査結果を明らかにした。新築マンションの平均価格が、前年同月より上昇したのは2カ月連続。

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要因としては東京都内の利便性が高い地域で需要が堅調なことや、さいたま市で価格の高いタワーマンションが発売されたことなどが挙げられる。地域別では東京23区が8103万円で5.2%、埼玉県は6705万円で24.7%、去年の同じ月をそれぞれ上回った。一方、大型物件の発売が少なかったことから神奈川県は5214万円で2.2%、千葉県は4358万円で4.2%、去年の同じ月をいずれも下回った。

前年同月比だけでなく、今年に入ってからも2月に平均価格が7418万円を記録して以来、3月6518万円、4月6291万円、5月6088万円と下落が続いていたが上昇に転じ、いよいよマンション価格の高騰が本格化しそうだ。

こうした高額物件をポンと買うのは、主に富裕層と外国人だ。都心の億を超えるようなマンションでも、東京の不動産は海外の主要都市に比べれば安価だけに、彼らの目には投資対象として魅力的に映るのだ。従ってセカンドハウスとして利用するケースもないわけではないが、基本的には誰も住まない。売却益を得るために、値上がりすればすぐに売れるようにしておきたいからだ。

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夫婦ともに1000万円以上の所得がある「スーパーパワーカップル」も購入層で、仕事と家庭と子育てなどのプライベートを両立するために、職住が接近する都心の高額マンションに住むことが多いという。また、相続税の節税目的で、都心のマンションを購入する高齢者も増えている。現金で相続すれば金額がそのまま相続税評価額となってしまうが、不動産だと相続税評価額は時価よりもかなり低く算出されるからだ。

さらに同じ床面積なら階が違っても相続税評価額は同じなので、タワーマンションの高層階は実際の購入価格と相続税評価額の差が大きいため、より節税効果が見込める。これなら価格が高騰しても、当分は首都圏の高額物件の人気が衰えることはなさそう。

同研究所では円安による資材価格の高騰や住宅設備の不足などで、新築マンションの供給が少ない状況となっているため、今後も平均価格の上昇傾向は続くとしている。首都圏マンションの価格は、もはや庶民には手が届かない水準にまで到達したと言えるかもしれない。