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<p>34テラバイトのデータと格闘して「全国ハザードマップ」を公開した理由 – NHK</p><p>毎年犠牲者が出る洪水のリスクを多くの人に知ってほしいと、全国からデータを集めました。自治体から届けられた34テラバイトのデータと格闘した1年の記録です。</p><p>【NHK】NHKの「全国ハザードマップ」。川の氾濫による洪水リスクを中心に載せ、多くの方に活用頂いている一方で「市町村が出しているハザードマップがあれば十分だ」「リスクを網羅していない不完全なマップの公開は良くない」「NHKではなく国が取り組むべき仕事ではないか」といった意見も。なぜ、このような取り組みを行ったのか。どうデータを収集して地図を作ったのか。</p><p>最初に河川を管理する国や都道府県が、大雨で洪水が発生した時の浸水範囲や深さを示す「洪水浸水想定区域図」を作成。多くの場合、自治体から委託を受けたコンサルタント会社がシミュレーションを実施します。 完成した「浸水想定区域図」は、河川を管理する国や都道府県が公開し、流域の市区町村にも提供します。提供を受けた市区町村は、それをもとにハザードマップを作成して住民に配布します。 最終形がハザードマップになっているわけですから、まずはハザードマップに記載されている情報をデジタルデータで取得することを考えました。全国およそ1800の自治体に電話をかけて提供をお願いすることにしました。 例えば、過去の浸水実績を記載しているところもあれば、無いところもあります。仮に記載していても「範囲」を示す自治体や、「地点」を示す自治体など、記載の仕方は分かれます。 一方で、今後大雨が降った時にどれくらい浸水するリスクがあるかを示す「洪水浸水想定区域図」は、国土交通省や都道府県から提供されたデータをほぼそのまま使っていることも見えてきました。浸水範囲や深さを算出するシミュレーションには時間もコストもかかるので、市区町村が別途、独自に実施することは稀で、ほとんどは国や都道府県から提供された浸水想定区域図を使っていたのです。 そこで、今回はハザードマップのもととなる「浸水想定区域図」を収集することを決めました。また、洪水浸水想定区域図には、100年~200年に1度の大雨による洪水を想定した「計画規模」と、1000年に1度の大雨による洪水を想定した「想定最大規模」の2種類がありますが、 近年、各地で計画規模を上回る水害が起きている 今回は最終的に①洪水浸水想定区域図を地図に載せて多くの人に見てもらう、②他のデータと重ね合わせて分析に使う、ことを考えていたので、集めるのは 「GISソフトで扱えるシェープ形式(※)の洪水浸水想定区域図(想定最大規模)」 シェープ形式のデータは位置情報に加えて、シミュレーションに基づく「浸水深」の値を持っているため、どこでどのくらい浸水するかがわかるのです。 ———- (※)GISはGeographical Information Systemの略で「地理情報システム」を意味します。地図や地形データを扱うシステムです。シェープはGISで使われるファイル形式のひとつ。 集まったデータは34テラバイト! まずは、データの収集です。 国土交通省の全国にある地方整備局と、都道府県の河川部局に連絡。「公表している洪水浸水想定区域図(想定最大規模)のデジタルデータを全て下さい」と依頼しました。 「全て」としたのは、取材の中で、従来まで法律で作成が義務付けられていた「洪水予報河川」や「水位周知河川」以外でも、独自に浸水想定区域図を作っているケースがあることがわかったからです(名称は「水害リスク図」や「浸水予測図」など自治体によって異なる)。1つでも多くの情報を集めるために「全て」としました。 自治体に連絡してデータ収集 普段はデジタルデータを扱わない職員も多いため「シェープファイルを提供して欲しい」と伝えてもなかなか理解してもらえないケースや、提供されても必要なファイルが揃っていないケースもありました(GISソフトで描画するには、.shp/.shx/.prj/.dbfのファイルがセットで必要なところを.shpだけを抽出して提供されたために描画できず再度提供を依頼することも)。 自治体では紙やPDFのデータしか持っていないため、シミュレーションを実施したコンサルタント会社に問い合わせてもらい、会社から直接データを提供してもらうこともありました。</p>