絶好調のセールスを記録中の新型ノア/ヴォクシー。この2台はご存じの通り兄弟車であるが、先代モデルは3兄弟であった。そう、エスクァイアという名のモデルが存在したのだ。
コンセプトはコンパクトな高級ミニバンってなイメージで当時のクラウンを彷彿とさせるフロントグリルなど、かなり攻めたモデルであった。販売的には他の兄弟とはほど遠い記録であったために廃止となったのだが、このモデルは本当に必要だったのか?
文/永田恵一、写真/TOYOTA
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■納車は半年以上を覚悟!? 新型ノア/ヴォクシーは人気っぷりがスゴい
2022年1月にフルモデルチェンジされたノア&ヴォクシーはミドルハイトミニバンとしてまとまりにソツがないだけでなく、無人駐車機能など華のある装備を設定。そういった理由により、ハイブリッドモデルは納車まで半年以上かかってしまうほどの人気っぷりだ。
ノア&ヴォクシーはフルモデルチェンジを期にいずれかに統合されると見られていたが、フタを開けてみるとノア/標準ボディとエアロボディ、ヴォクシー/エアロボディという形で継続された。
しかし、先代ノア&ヴォクシー兄弟には2台の登場から少し遅れてエスクァイアも加わったのに、エスクアィアは一世代限りで絶版となってしまった。こうなると「エスクァイアは必要だったのか?」というのが気になるところで、ここではこのテーマをエスクァイアが歩んだ軌跡を振り返りながら考えてみた。
■1代限りで消滅したエスクァイア……兄弟車で一番高級な仕上がりだった
エスクァイアは先代ノア&ヴォクシーから9ヶ月遅れとなる2014年10月に登場。オーソドックスなノア、スポーティなヴォクシーに対し、エスクァイアは扱うディーラーが比較的高額車の多いトヨタ店とトヨペット店であった。
そのためかクラウンマジェスタのような大きなグリルを持ち、インテリアもシートやダッシュボードに合成皮革を使うなど、プチゴージャスというキャラクターを持っていた。
また、エスクァイアは先代ノア&ヴォクシーには標準ボディとエアロボディがあったのに対し、標準ボディだけというのも特徴であった。エスクァイアは先代ノア&ヴォクシー同様それほど大きな改良を受けることなく、2021年9月に生産終了がアナウンスされ、12月上旬をもって絶版となったのだった。
■廃止要因はトヨタの販売戦略にあった! 消滅するも必要だったワケとは
1代限りで消滅となったものの、エスクァイアは必要なモデルであったのか? 結論から書くと「それなりに必要だった」と言えると思う。
まず、2015年以降のノア三兄弟それぞれの販売台数を見てみるとエスクァイアは2019年まで登場時4000台、2017年のマイナーチェンジ時2300台という月間販売台数に対し、相応以上に売れていたが、2020年から販売台数は急降下している。
これは結局のところ、エスクァイアを扱うトヨタ店とトヨペット店との付き合いもありエスクァイアを買っていた人も、2020年5月からトヨタディーラーの原則全店全車種扱いが始まったことによりノア三兄弟から好きなものを買うようになったということだろう。
そうなるとエアロボディはなく、プチゴージャスな分ノア&ヴォクシーより少し価格の高いエスクァイアは立場が悪くなったのも無理もない。
そもそも兄弟車というのは日本メーカーに2020年5月までのトヨタのようにディーラー系列があった時代に、各ディーラー系列に商品を分配するのと、マークII三兄弟やノア三兄弟にように「売れているクルマはウチも欲しい」という声に応えるのが存在する理由のほとんどだ。
それだけにディーラー系列がなくなるか、その意味が薄れれば、兄弟車が必要なくなるのも当然ではある。
ただ、エスクァイアのプチゴージャスというキャラクターがユーザーの選択肢を広げたのは事実であり、その意味でもエスクァイアの必要性はそれなりにあったといえる。
■復活は絶望的! それでも残した功績は大きかった……ハズ
トヨタディーラーの原則全店全車種扱いが始まりながら、先代ノア三兄弟からノアとヴォクシーが残ったというのは異例なだけに、今後エスクァイアが復活するというのは絶望的である。
それでもエスクァイアのプチゴージャスというキャラクターはノア&ヴォクシーにあってもいいだけに、今後にノアにエスクァイアの意思を受け継いだプチゴージャスなグレードが追加されると、ユーザー絶版になったエスクァイアともに喜ぶのではないだろうか。
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