仕事場の壁に、「東京一目瞭然新図」がある。明治39年（1906年）発行の地図だ。そこに、14枚の付箋が貼られている。4年前のちょうど7月、私が初の評伝小説を連載し始めた際に、担当編集者たちが調べて貼りつけてくれたものだ。(1)から順に、主人公となる伊藤野枝と夫の大杉栄が転々と引っ越ししては居…
仕事場の壁に、「東京一目瞭然新図」がある。明治39年（1906年）発行の地図だ。そこに、14枚の付箋が貼られている。4年前のちょうど7月、私が初の評伝小説を連載し始めた際に、担当編集者たちが調べて貼りつけてくれたものだ。(1)から順に、主人公となる伊藤野枝と夫の大杉栄が転々と引っ越ししては居…