自動車の購入は決して安い買い物ではない。それだけに車種の選定やオプション選びには悩んでしまう。今回は、クルマ購入や売却における悩みと、解決のヒントを紹介していくことにしたい。自分にとってお得になるのはどんな場合なのか? オプションや下取り、カテゴリーチョイスなど、多方面のお悩みを考えてみる!
文/長谷川 敦、写真/日産、トヨタ、マツダ、ホンダ、スズキ、スバル、Newspress UK、写真AC
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値引きあり、納期短縮などを考慮すると…「メーカーオプションvsディーラーオプション」
新車を購入する際に“素”のままで注文するよりも、いくつかのオプションを最初から装着してしまったほうが、使い勝手が良くなり、結果的に得になるケースは多い。しかし、ここで迷ってしまうのが、メーカーオプションとディーラーオプションのどちらがいいのかということ。
まずはそれぞれの違いを見てみよう。メーカーオプションとは、自動車メーカーが設定しているオプションであり、クルマによってジャンルはさまざま。ナビやエアロパーツ、安全装置をはじめ、走りを重視する人のためのLSD(リミテッドスリップデフ)などがある。そんなメーカーオプションの特徴は、納車の前に工場で装着されるということだ。
ディーラーオプションはディーラー(販売店)が用意しているオプションを指す。こちらはメーカーから入荷した新車にディーラーが取り付けを行うものだ。フロアマットやサイドバイザーがディーラーオプションの代表だが、ナビやエアロに関してはディーラーオプションとして用意されていることも多い。
では、同じジャンルのオプションを装着する場合、メーカーオプションとディーラーオプションのどちらがお得なのか? それぞれメリット・デメリットはあるものの、ここはズバリ、ディーラーオプションを推したい。
メーカーオプションはメーカー(工場)出荷時に装着されるため、そのぶん納車の時間が延びたり、パーツの装着によって車重が増え、取得税額が上がってしまったりする。また、ナビなどのように、ある程度時間が経過するとアップデートが必要なアイテムでは、ディーラーより融通が利かない場合も多い。メーカー純正ナビはHDDタイプがほとんどで、このタイプは更新するのに工賃が必要なうえに、作業に時間がかかることもある。
その点ディーラーオプションは“後付け”なので、納車後に追加で装着することができ、メンテナンス依頼も容易だ。さらにディーラーオプションはディーラー側で値づけするため、購入の際に値引き交渉がしやすいという利点もある。支払い額を下げるのではなく、ディーラーオプションをサービスしてもらうといったケースも考えられる。いっぽうメーカーオプションはディーラーで価格を決められないため、契約交渉時の値引きはほぼ期待できない。
メーカーオプションでないと装着不可なアイテムを除くと、ディーラーオプションのほうが金額以外にも多くのメリットがあることが多い。
金額をとるか、ラクさをとるか? 「買い取りvs下取り」
新規にクルマを購入する場合、考えなくてはならないのは現在乗っているクルマをどうするか。クルマを増やすのではなく買い替える際には、現用車を処分する必要がある。よほどボロボロで廃車寸前でないかぎり、中古車として売却するのが一般的だ。
この場合、中古車を扱う業者に買い取ってもらう方法と、新たに購入するクルマの販売業者(ディーラー)に下取りしてもらう方法のふたつがある。
買い取りのメリットは、なるべく高い価格で売れること。複数の業者に見積もってもらい、もっとも高い買値を提示してくれた業者に売却すれば、たいていは下取りに出すより高額で売れる。しかし、査定の依頼や販売に必要な手続きなどをすべて自分でやらなくてはいけないのがデメリット。
これに対して下取りの場合、査定や下取りの手続きをディーラー側でやってくれるのが魅力。もちろん、そのディーラーから新規にクルマを購入するのが条件にはなるが、とにかくラクなのは間違いない。反面、下取り価格は買い取りより低くなることが多く、下取り代金はそのまま新車の支払いに充てられる。
買い取りの場合、売買契約が成立したら、相手側の指定日にクルマを引き渡さなくてはいけない。つまり、次にクルマを購入するにしても、状況によっては手元にクルマがない期間ができてしまう。その点下取りならば、新車の納入が遅れている場合などに引き渡しを待ってくれることが多い。
このように互いに一長一短がある買い取りと下取り。どちらがいいとは一概に言えないが、メーカー系のディーラーで新車を購入するのであれば、何かと融通の利く下取りのほうが便利。わずらわしい手続きが少なく済むのも、金額には代えられないメリットと言える。
維持費とパワーのせめぎ合い!? 「軽自動車vsコンパクトカー」
以前のようなチープなイメージはすでに払拭され、使い勝手を含めた総合的な性能の向上もあって大人気カテゴリーのひとつに成長した軽自動車。日本の道路事情にマッチし、動力性能も日常使用なら申し分ないレベルに達している。
これに対するのがコンパクトカーと呼ばれるカテゴリーのクルマだ。普通乗用車規格ながら必要最小限のサイズでデザインされ、車体やエンジンは呼称どおりにコンパクトにまとめられている。
実際、小さめのクルマを購入しようと考えると、軽自動車とコンパクトカーのどちらを選べばいいのか悩みどころだ。好きな車種があるならともかく、実用目的が最優先の場合、軽とコンパクトにはどんな違いがあるのか?
軽自動車最大の魅力は維持費が抑えられること。排気量1.5リッター以下のコンパクトカーの自動車税が3万4500円/年であるのに対し、軽自動車は1万800円/年と安く、高速道路料金も軽自動車のほうが低額だ。排気量が小さいことにより、一般道メインであれば軽自動車のガソリン代はコンパクトカーのそれよりも少なくなる。
コスト面では軽自動車に後れをとるコンパクトカーだが、もちろんメリットはある。まずは車体サイズに余裕があることで、軽自動車よりも室内スペースが広く、走行安定性も軽自動車を上回る。エンジンパワーにも余裕があるため、大人数での移動や高速道路走行はコンパクトカーのほうがラクなのも事実。
では、実際どちらがお得なのか? 街中の走行が主で、あまり距離を走らないというのであれば、車体や保険、そして維持費などのコストが低い軽自動車がベストだろう。しかし、高速道路を走る機会が比較的多い、遠出をする機会が多い、そしてファーストカーとして家族で使用するなら、やはりコンパクトカーが無難な選択と言える。
シンプルさをとるか、圧倒的なトラクションをとるか?「2WD vs 4WD」
一般的な乗用車は、前後4つあるタイヤのうち、前輪のみ、あるいは後輪のみにエンジンの動力が伝達される。これがいわゆる2WD。すべてのタイヤが駆動するのがAWD(All Wheel Drive)、または4WDと呼ばれている。
2WDに対する4WDの強みはトラクションに優れていることで、滑りやすい路面や不整地でも、4輪のうちどこかのタイヤが路面をとらえていればクルマは前に進める。この点2WDは不安定になりやすい。
2WDの利点はシンプルな構造にある。このため車体が軽量になり、部品の少なさからトラブル発生の可能性も減る。部品点数が抑えられるということは、キャビンや荷室のスペース拡大にもつながる。
さて、では迷った時にどちらを選ぶべきか? 乗用車に2WDモデルのほうが多いのは、基本的には2WDで十分だということを意味している。降雪量の多い地域では4WDが有利で、絶対的な走行性能も4WDのほうが高いが、降雪路面を走る機会が少なく、舗装された道路しか走行しないのであれば2WDでも不足は感じないはず。4WDより燃費も良く、維持費も抑えられる。
当然ながら、同じ車種の場合4WDは2WDよりも高額になる。走りの質を求めた結果4WDがいいという人は、燃費や維持費などのデメリットも考慮したうえで購入するとよいだろう。
実用性重視ならFFが圧倒的に有利「FF vs FR」
最後はFF(前輪駆動)とFR(後輪駆動)の二者択一。
かつては、コンパクトカーはFF、4ドアセダン、スポーツカー、ハイパワーカーはFRという棲み分けができていたが、今やセダンでもFF車が増え、FRは希少車になりつつある。これは主にコストとスペースが理由で、部品点数を減らせるFFは低コストで乗車&荷室のスペースを広くとれる。つまり、乗用車として使うには最適なのだ。
対するFR車の魅力は操縦性にある。加速の際にリア側から押される感覚は独特で、コーナーでのキビキビ感もFFに勝る。そのぶん滑りやすい路面でのコントロールは難しくなるが、それがまた魅力にもなる。小回りが利くというのもメリットのひとつ。
しかし、リアタイヤに駆動力を伝達する機構が必要なFRは、必然的に重くなり、トランクも広くできない、悪路走破性が低いなど、乗用車目線では難点も多い。このため現在では、FFに比べて劣勢となってしまった。
実用性と操縦安定性重視ならFFを選ぶのが王道で、現在はFFでも十分スポーティな走りを味わえるモデルも多い。だが、FRだからこそ体験できる“ドライブする喜び”があるのもまた真実。現在でもFR車に根強い人気があるはこれが理由だ。
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