新型クラウンが2022年7月15日に世界初公開された。これまでのクラウンのイメージから大きく飛躍したデザインやコンセプトを持つことから、SNS上では賛否両論が巻き起こっている。新型クラウンにはクロスオーバー、スポーツ(SUV)、エステート(ワゴン)そしてセダンといった4つの異なる仕様が用意されるが、当編集部はその中でもセダン、それも「クラウン」というブランドを語る上では欠かせない(?)パトカー仕様について、思いを馳せてみた。馳せながら、勢い余って新型クラウンセダンパトカー仕様のCGを作成してしまいました。
文/ベストカーWeb編集部、写真/TOYOTA、ベストカー編集部(スクープ班)、三橋仁明/N-RAK PHOTO AGENCY
■パトカー用車両にも型式と仕様書が存在する
クラウンは「日本の代表的セダン」として長く認識されてきた。それと同時に「日本の代表的なパトカー」でもあり、「パトカー仕様」のカタログが存在していて、何度となく国費で一括購入されていることもまた、パトカー好きのあいだでは共通認識であった。
以下、パトカー好きには常識ではあるが、普通のクルマ好きにはよくわからないパトカー界の概要をすこし説明したい。
一般的に「パトカー」と言われて思い浮かぶのは、パトロールや事件、事故発生時に現場に駆けつける「無線警ら車」と、交通機動隊や高速隊に配備されて速度超過などの道交法違反を取り締まる「交通取締用四輪車」に分けられる。
このどちらにも、都道府県警の独自予算で購入される「県費モノ」と、警察庁が一般入札によって購入し全国の警察本部に配分する「国費モノ」が存在する。
この「国費モノ」は年度ごとに500~1000台と購入台数が多い。この需要に対応するため、(圧倒的多数を占める)クラウンにはパトカー専用のグレードが設定され、型式指定を受けている。
そして「国費モノ」のパトカーは一括購入のための一般入札なので、提示される仕様書が存在する。そこには「4ドアセダンであること」、「排気量は2500cc級以上であること」、「乗車定員は5名以上」、「トランクルームは床面が概ねフラットであり、容量が450Lであること」など細かい仕様が書かれているわけだ(とはいえこの「仕様書」も現状に合わせて案外柔軟に変更・運用されているようだが)。
話がだいぶドリフトしたが戻ってきた気がするので続けよう。
一昨年(2020年)末、某新聞が「次期型クラウンはSUVになる」と報じた際、本誌ベストカー編集部もビックリしたが、パトカー好きの間にも激震が走った。
「クラウンがパトカーでなくなるのか、パトカーがセダンではなくなるのか、どっちだ」
そうした心配(?)を抱えたまま1年半の月日が流れ、今年(2022年)7月15日に新型クラウンが世界初公開。フタを開けてみると、「たしかに新型クラウンはSUV(クロスオーバー)になったが、セダンもラインアップされる」という、非常にトヨタらしい「全部どり」の解答だった。
もちろん、だからといって次世代の「国費モノ」パトカーが「新型クラウンのセダン」であると決まったわけではない。カムリになるかもしれないし、新型クラウン「クロスオーバー」が採用されるかもしれない。
それでも、トヨタが新型クラウンにセダン仕様を用意したことで、伝統的な「セダンのパトカー」が生き残る可能性は高まったといえるだろう。
■新型クラウンセダンの白黒パトカー仕様も案外似合っている
現在、世の中ではこれまで主流だったS210型クラウン(14代目)に代わり、2021年末頃からS220系クラウン(15代目)が本格稼働を始めている。そうなると次の「国費モノ」の新型車大規模導入は5~8年後になるだろう。最近はベースモデルのマイナーチェンジ後(市販モデルが市場での不具合を出しきって改良を重ねたあとに採用ということか)に登場することが多いから、もうすこし先になるかもしれない。
もうすこし先の将来、新型クラウンセダンの市販車が街中を走り回っているのだろうか(トヨタ公式サイトによると新型クラウンセダンは「Coming in 2023」とある)。そしてパトカーとして無事採用され、今回作成したCGのような姿で、我が国の街と道の治安維持のため活躍するのだろうか。
楽しみなような、不安なような。ひとまずCGを作成してみたら、「案外似合っているじゃないか」という不思議な安心感はありました。
ちょっと気になるのは、価格。新型クラウンセダンの車両詳細はまだまったく不明ながら、安全装備やパワーユニットが進化したぶん車両本体価格が従来型より高額になる可能性が高い。パトカー仕様も同様に値上がりするのであろうから、そうなると購入総額(もちろん国費)も上昇する。それを警察庁は許容するのだろうか。許容してほしいな、ほらこんなにカッコいいし、と、勝手に作ったCGを眺めながら思いました。
なお新型クラウンセダン仕様のボディサイズ(開発目標値)と開発コンセプトは以下のとおり。
【 CROWN SEDAN(セダン)】
Coming in 2023(登場時期:2023年)
「新たなフォーマル表現でショーファーニーズにも応える正統派セダン」
全長5030mm×全幅1890mm×全高1470mm、ホイールベース3000mm
(※開発目標値)
投稿 おおおぉ…カッコいい…新型クラウン話題のセダンで「パトカー仕様」を出来心で作ったら… は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。