もっと詳しく

<p>【ホンダ シビックタイプR 新型】「タイプRをサステナブルにしたかった」開発責任者が語る進化の核心[後編] | レスポンス(Response.jp)</p><p>【ホンダ シビックタイプR 新型】「タイプRをサステナブルにしたかった」開発責任者が語る進化の核心[後編] #新型車 #ホンダ #シビック #ハッチバック</p><p>◆タイプRを「サステナブル」にしたかった ◆見た目から「タイプRの世界観」に入りやすくするために ◆より良いものを生み出すための「モータースポーツ的なアプローチ」 ◆効率だけの追求ではなく、マインドとしての遊びゴコロ</p><p>先代の2017年モデルはグローバル販売台数で約4万7200台という歴代1位、2015年モデルのじつに6.3倍も売れた車だった。が、以前のような「カミソリスポーツ・ルック」を脱し切れていなかった外観の分、多少なりとも損をしている部分があったというのだ。 「乗っていただくと、こんなにフツーにも走れるんだ、乗り心地がいいんだ、絶対的な安心感の上で楽しめるといった印象が、意外性として後からついて来ていたんです。ですから今回は、見た目と乗り味を一体化させたかった。見た感じ・乗った感じの親しみやすさをデザイン上で一体にして、ギャップを飛び越えさせるのではなく、タイプRの世界観に見た目から入って行っていただく。そのためにリアスポイラーや空力デバイスはブラックアウトして、クルマ全体のプロポーション、シルエットとしてスリークに、広い部分だけすっと目に入ってくるような工夫をしています」 より良いものを生み出すための「モータースポーツ的なアプローチ」 柿沼氏のいう「Ultimate SPORT 2.0」そして「本質と官能」というキーワードを受け止めて、タイプRのエクステリアデザインを担当した原大氏は、その方向性をこう説明する。 「外観の上でベースモデルと共通のボディパネルは、フロントドアとルーフしかないんですね。というのも、トレッドを拡大して動的性能を向上させる開発の方向性と、オーバーフェンダーで4輪を包んでロー&ワイドのフォルムにすることは、機能とスタイリングを美しく一体化させること、つまり本質と官能を、デザイン的に一体感をもたせることに、まるで矛盾しませんでした。だからこそ先代以上のものを求めた時に、リアドアも専用でおこしてリアフェンダーとの繋ぎ・一体感を高めるという流れも、自然に生まれたんだと思います」 機能美と質感に、こだわりつつもやり過ぎないため、気をつけるために、スーパーGTのレースエンジニアに意見を聞きにいったこともあったとか。 「スーパーGTあるいはスーパー耐久といったモータースポーツ車両になった時のことを、強く意識しました。ノーマルモデルには付いていた空力デバイスや要素が、レース用に“エボって”最適化された別モノになるのは仕方ないですけど、取り払われてまったく無くなっていたりすると機能の無いものだった、機能的にゼロ、ということになりますから、それは避けたかった。リアフェンダーの手前、サイドシルスポイラーなどは実際、風切り音の低減にも貢献していますし、フロントフェンダーダクトも同じく機能パーツです。あとリアディフューザーを、フロアのかなり前方まで伸びる長い形状にできたので、高速域でのスタビリティにも機能的にかなり効いています」 他にも、グリル開口部からボンネット上のスクープにエアを抜きつつ、ヘッドライトから左右に分けるフロントフェイスの処理も、無駄なく見事。リアに目を移しても、ルーフ高より低い位置でありつつも前端を上方にベントさせることでエアの取り込み量を稼いだリアスポイラー、あるいはアルミダイキャストを採用し、前面投影面積も重量も削ぎ落としたそのステーも、際立った空力デバイス、つまり機能ディティールだ。 「乾いた雑巾をさらに絞るように進化させていかないと、シーズン当初は勝てても段々と勝てなくなるのがモータースポーツじゃないですか。だからより良いものを作ろうと、何がより良いものかと想像しながら作っていくのは、モータースポーツ的なアプローチでもあるんです」 と、柿沼氏は当たり前のように述べる。 ホンダ シビックタイプR 新型 では、かくして本質を美しく突き詰めたデザインの中で、シャシーやジオメトリーといった機能面で、新しいシビックタイプRは、どのような進化を遂げているのか? 「元々、先代からロングホイールベースだったのですが、新しいシビックのベースモデルは+35mm、さらに伸びています。当然、タイプRもそのまま引き継ぎますから、ホイールベースだけ伸びていると、回頭性に影響しますよね。ですから、トレッドでまずは少し稼ぎたいところ。じゃあどうやったら広げられるんだ? という話ですね。そこでフロントタイヤは20mm太くして、外側に出しています。するとセンターオフセットが、転舵軸というかキングピンに対して外に動いてしまうので、トルクステアなど悪影響が出てきます。だからセンターオフセット値だけは、大きくするなよ、と(笑)。きみたち、ぐうの音も出ないほど先代のタイプRでやり切ったのか? 掘れるところはないのか? そういう風に要求して、あと何ミリ、ここが掘れるといったポイントを見つけ出して、結果的にセンターオフセットはキープ。でもボディ全幅は、フェンダーの折り返しなどを使って、タイヤは外に出ているけどボディはほとんど大きくなっていません。細かなせめぎ合いでしたね(笑)」 ツライチは目指すものでなく、結果論という話なのだ。重心高については、今回のシビック・シリーズは先代より全体的に下げられており、リアねじり剛性をはじめ、ボディ剛性自体が進化している。そこへさらに、タイプRはロアアームやナックル、ダンパーフォークの肉抜きや構造を見直すことで、フロントのキャンバー剛性を16%向上、つまり前車軸の横方向剛性を先代よりも、さらに高めているという。 そしてもうひとつ、新型シビックタイプRにはトピックがある。 「『Honda LogR』というデータロガーアプリを充実させたことです。パフォーマンスモニター機能として、4輪の荷重と接地の変化、つまりタイヤの摩擦円を見られるんです。これはリアルタイムでどのぐらい攻め切れているか確認できるので、まったくもって個人的な趣味で実現させた機能でもあります(笑)。他にもドライビングを採点化したり、他のオーナーと連携する機能も搭載されていますので、タイプRでとにかく楽しんで遊んでいただければ」 効率だけの追求ではなく、洒落でいう遊びゴコロですらない、マインドやスピリットとしての遊びゴコロ。それが新たに進化したシビックタイプRで核心となる部分のようだ。</p>