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燃料高騰?このメルセデスのダッシュエイトがあれば、お得だ。一見矛盾しているようだが、この長年メンテナンスされたメルセデス280/8があれば、燃料費が高騰している時代にもコストを抑えることができる。なぜかといえば、このベンツはLPGで走るからだ!

燃料価格は、政府が課す価格抑制政策にもかかわらず、日々上昇中で恐ろしいほど高い。すでに、e-car充電用の電気料金も上昇するとの観測もある。2022年、4輪で節約の可能性を探すには、工夫が必要だ。

現在eBayで売りに出されているこの「メルセデス280/8」は、思わぬ節約術のきっかけになるかもしれない。クラシックカーは最高の状態であると説明され、LPG仕様に変換されている。LPGもガソリンや軽油の価格動向に連動してはいるものの、一般的にはLPGの方が優遇された税制となっている。現在、1kgのLPGは1ユーロ(約140円)を大幅に下回る価格で購入できる。

売主は、ダイムラーの状態が非常に良好であることを証明している。情報によれば、このクルマは最初の人生をカリフォルニアで過ごし、中欧の冬とは無縁だったと言う。さらに、ガレージ保管され、ワックスで保存されていた。このメルセデスはすでに「H(クラシックカー)登録」にも合格していて、車検も通っている。

提供される280/8は、フェイスリフト前のモデルだ。ドイツでは今や超レアな存在だ。

280型6気筒エンジンは、160馬力のフルパワーを発揮する。サプライヤーによれば、米国市場向けのオリジナルエンジンはもはやボンネットの下にはなく、より高圧縮の「ドイツ製」エンジンが搭載されているとのことだ。なぜかは説明されていない。しかし、購入者から質問があれば、売り手はこの質問に答えることができるはずだ。

ボンネットの下にある280は、欧州製のLPGで動くエンジンであり、160馬力のフルパワーとされている。

説明書によれば、LPGガスシステムは登録されており、完全に機能している。消費量は100kmあたり14~15kgのLPGガスだ。売りに出されている「メルセデス・ベンツ280/8」の価格は12,900ユーロ(約180万円)だ。

カリフォルニアでの過去の生活から、「280/8」はしっかりとしたメンテナンスが確保されていると言われている。

購入前に知っておきたいこと

「メルセデス・ベンツ280/8」は、古き良き時代のダイムラーである。当時は、必要なものだけが標準装備され、贅沢品は別料金で手に入るという時代だった。ステアリングの左にある足踏み式パーキングブレーキや、ウインカー、ワイパー、ハイビームを操作する「ステアリングコラムコンビネーションスイッチ」は、メルセデスらしい装備といえるだろう。

「W114/115」はヘッドルームに余裕があるのが魅力だが、背もたれやレッグレストが比較的短いのが気になる。280の6気筒エンジンはパワーがあり、1400kg近いメルセデスの重量によく耐えている。時速100km時からのフルブレーキングでは、約45mで停止する。

市場には十分な数の個体が出回っている。しかし、その中には、失礼な言い方をすれば、コンディションの評価でつじつまが合わないものがある。ニセモノが出るリスクは確かにある。あれもこれもレストアされずに生き残ったクルマは、ほとんどない。

良い「W114/115 メルセデス・ベンツ」のためには、5桁の金額を投資する必要があるのだ。平均的な車両は1万ユーロ(約140万円)以下で購入できることもある。しかし、その場合には、細部までしっかり見てチェックする必要がある。弱点その1は、言うまでもなく錆の存在だ。さらにクラシックメルセデス・ベンツファンは板金だけでなく、オリジナリティや内装の状態も見ることも大切だという。

【ABJのコメント】
まごうかたなきメルセデス・ベンツというのは、どういう車なのだろうか?と聞かれたときに、「W201」、「W124」と「W126」、「R129」あたりを答えておけば、まあ間違いではないだろうが、例えば「W124」だったら、そのひとつ前の「W123」のほうが、まごうかたなき感(?)が上だろうし、とにかくメルセデス・ベンツの歴史というのは、昔に戻っていくたびに、重厚さとか、つくりの良さのようなものは増していくことになっているのではないか。そういう意味から考えると「W124」より「W123」、そしてその前の「W114/W115」のほうが、まごうかたなく、メルセデス・ベンツな雰囲気は高いと言えよう。

もちろん、テクノロジーは進化するし、いかにその重厚差を失わないままモデルチェンジしていくかも、メルセデス・ベンツの歴史上で追求されてきたポイントではあるのだが、うまくカモフラージュされているからこそ目立たないだけで、メルセデス・ベンツの歴史はコストダウンの歴史でもある。そう考えるとこの「W114」は、今のメルセデス・ベンツよりもはるかにまごうかたなきメルセデス・ベンツ感は高い。おそらくドアを開閉しただけでも伝わるだろうし、シートの出来ひとつとっても、実に肉厚で座っただけで現代っ子との差は明らかに感じることができるだろう。エレクトロニクスデバイスもほとんどないし、メカニカルな部分を直していけば(交換パーツの問題は大きな問題ではあるのだが)一生ものな自動車だろう。

ただしLPGだから安心かというと、昨今の情勢を考えると、決して安泰な供給を臨めるかどうかはわからないし、修理の場合、かえって手こずる可能性もある。また今回の「280/8」という記載は、6気筒なのだから「280/6」かなとも思うが、もとのままの記載が「8だったため」、そのままにさせていただいたのでご理解よろしくお願いします。(KO)

Text: Lars Hänsch-Petersen
加筆: 大林晃平
Photo: Ebay.de/vtmshamburg