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実はクラウンも? 「トヨタでも売れないかも」と思ったら意外にも売れたクルマ 5選

 ユーザーはもちろんだと思うが、ディーラーに勤める営業マンも、取り扱い車種のフルモデルチェンジは楽しみだ。しかし、期待に胸を膨らませながら出てきた新型車が、色々な意味で「売れないかも」と思ってしまうことは多々ある。

 そうしたなかで、前評判はそれほど良くなかったが、下馬評を覆し販売を好転させたクルマは意外と多い。トヨタ販売店の予想を大きく裏切った、名(迷)車たちを紹介していこう。

文/佐々木亘、写真/TOYOTA

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アルファード(3代目)

2017年のマイナーチェンジでより押し出しの強い顔立ちになったアルファード。このマイナーチェンジを機に、ヴェルファイアの登録台数を追い抜いた

 現在では、トップ・オブ・ミニバンの名をほしいままにし、コンパクトカーが大挙する販売ランキングのトップ5の常連だ。超人気車のアルファードだが、発表当初の評価は低かった。

 2015年1月に行われたフルモデルチェンジで、アルファード・ヴェルファイアが同時にフェイスチェンジを行う。2代目モデルまでは、派手なヴェルファイア、落ち着きのあるアルファードというイメージだった。しかし、ヴェルファイアが販売を大きく伸ばしていたため、3代目ではアルファードにも派手さが加わることとなる。

 高級車の路線にあったアルファードに、ギラついたフロントマスクはいかがなものかと、当初は敬遠する反応が大きかった。だが、2017年にマイナーチェンジを行い、アルファード人気は爆発する。

 ヴェルファイアがマイナーチェンジで、より派手になった。これにより購入ユーザー層が大きく狭まる。結果として、ヴェルファイアユーザーがアルファードに流れた。トヨタ全チャネル全車種扱いとなったのも、背中を押した形だ。

 今やトヨタ国内販売の柱といっても過言ではないアルファード。今の売れ方をデビュー当時に想像できた人は、ごくわずかだろう。

クラウン(14代目)

「CROWN Re BORN」を掲げ、大きく姿を変えた14代目クラウンも、デザイン面で不安のあったクルマの一つだ。

 上質さや落ち着きが大前提となるトヨタのフラッグシップセダンが、フロントグリルに王冠をかたどり、ド派手なマスクで登場する。特に人気シリーズであったアスリートの見た目は衝撃的で、先行して案内をしていた歴代のクラウンオーナーたちの反応は芳しくなかった。

 歴代クラウンからの買い替え需要はロイヤルに集中していたが、発表会の話題性や、ドラえもんを使ったCMが話題を呼んだ。段々と、敬遠されると思われていたアスリートに注目が集まり始める。

 そしてアスリートの注文が、全体の7割以上を占めるようになり、前評判は大きく覆された。ディーラー内では絶対に売れないといわれていたピンククラウンも登場し、650台も注文が入っている。

 高級車では、キープコンセプトが主流だった時代、クラウンは大きなイメージチェンジをして、予想を裏切り売れていったクルマだ。

bB(初代・2代目)

若年層をターゲットとしていたが、中高年層から思わぬ支持を集めたbB

「クルマをカスタマイズして楽しむ」文化を取り戻すために登場したbB。カスタマイズのベース車として若年層をターゲットにし、bBの初動は好調に推移している。

 若年層からの需要は一時的、ひと段落すると販売は下降線をたどると誰もが思っていたが、bBの本当の人気を支えたのは、意外にも中高年層のユーザーだったのだ。

 その理由は「見切りが良い」から。角張った箱のデザインが、運転するには車両感覚をつかみやすく好都合なのだ。一時的なブームで終わると思われていたbBだが、2代目まで作られるロングセラーとなった。

 ちなみに2代目も、オーディオに凝ったり、マッタリモードという特別なシートアレンジを試したりするなど、若年層向けのギミックが多く仕掛けられた。しかし、こちらも販売台数を支えたのは、中高年層である。

 メーカーや販売店の思惑と、購入していくユーザー層が、ここまですれ違いながら売れていくクルマも珍しい。

プリウス(4代目)

 2代目、3代目と絶好調の販売を記録していたプリウスが、2015年にフルモデルチェンジした。先進のハイブリッドカーであり、手頃なファミリーカーでもあったプリウスが、どのような進化を遂げるのか、世界中が注目していただろう。

 登場したのは特徴的なランプデザインに、先代よりも全高を20mm下げたクルマ。居住性や機能性ではなく、走行性能の向上に大きく舵を切った4代目プリウスには、販売店でも否定的な意見が多かった。

 しかし、その悩みも杞憂に終わる。販売の軸となるユーザー層は少し変わったものの、新しさが際立つプリウスは、多くの支持を集めた。

 一部に否定的な意見もあったエクステリアデザインは、マイナーチェンジで手が加えられる。販売現場の意見を集約し、販売改善のため、早めに変更を施すあたりがトヨタの強みだろう。

シエンタ(2代目)

 初代シエンタは、可愛らしいデザインに3列シートのスライドドアミニバンとして、一定の需要があったクルマだ。

 2015年に登場した2代目は、箱のカタチを捨てて、流線形のミニバンへと変化させた。7名乗車、スライドドアは先代のとおりだが、デザインが大きく変わったことで、売れるのかどうか不安が残るクルマであったのを覚えている。

 ライバルのフリードは絶好調。さらにシエンタには7人乗りしか設定されず、人気のキャプテンシートがない。販売面では大きな苦境に立たされるものと思っていた。

 しかしながら、ベンチシートのミニバンはしっかりと売れ、滑らかなエクステリアデザインも好評となる。ポルテなどのコンパクトカーは、あまり成績が芳しくなかったため、シエンタにも期待は大きくなかったが、今もなお残る、コンパクトミニバンとして、実績を積み上げている。

 2015年あたりで、トヨタは販売店スタッフを驚かせるようなクルマを多く作っていることが分かる。デザインの大きな変更、時代を先取りした機能性や見た目は、当時「売れないかも」と不安になるほど独創的なものだった。

 それでも、販売店側の予想を覆し、売れていくのがトヨタ車だ。新しい価値をいち早く取り入れ、クルマ造りに反映する。最先端を進み、ニーズを掘り起こすという意味では、販売店の反応が芳しくないクルマの方が、のちの販売は好調なのかもしれない。

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