フォルクスワーゲンのステーションワゴン、パサート ヴァリアントのPHEVモデル「GTE」に、自動車評論家 松田秀士氏が試乗。
大人のステーションワゴンに仕上がった本モデルをじっくりレポート!
※本稿は2022年5月のものです
文/松田秀士、写真/VW、ベストカー編集部、撮影/平野 学
初出:『ベストカー』2022年6月26日号
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■パサートGTEはどんなクルマ?
現行パサートは2015年に登場。2021年4月に日本仕様がマイナーチェンジされ内外装やパワートレーン、各種先進機能が搭載された。
今回紹介するPHEVの「GTE」はすでに2016年に初導入されたモデルだが、今回PHEVのバッテリー容量が9.9kWhから13.0kWhに増強され、「EVモード」での走行距離が57km(WLTPモード)に延びた。
充電システムはチャデモなどの急速充電には非対応でいわゆる普通充電のみ。自宅に充電設備を備えていれば5時間でフル充電が可能で、燃料が高騰する昨今、買い物や通勤にもほぼモーターだけで走行できそうだ。
ドライブモードはほかに「ハイブリッドモード」とスポーツに相当する「GTEモード」の計3種類が設定されていて、シフトセレクターレバー横のボタンで切り替えられる。VWに広く採用されている減衰力可変ダンパーと走りを協調制御するDCCも装備する。
そのパワースペックは、まずガソリンエンジンが直4、1.4Lインタークーラーターボで156ps/25.5kgm。電気モーターが116ps/33.6kgmとかなり強力。電気モーターのみで走行するEVモードでもかなりパワフルだ。トランスミッションは6速DSG。
■走りもエコも パサートGTEはかなりの優れもの!
まずEVモードで走行すると33.6kgmのトルクで力強く1770kgの車体を加速させる。シフトセレクターをD→Bにすればモーター回生による減速を強め、いわゆるワンペダルに近いアクセルコントロールが可能。
ただ、アクセルを全開にするとエンジンが始動したので完全なEVモードではない。
感動するのはGTEモードだ。
エンジンとトランスミッションはスポーツモードのマップに切り替わる。全開にすればエンジン+モーターの同時加速。
しかもモーターパワーはより強力になり野獣っぽいふるまいに変化する。いわゆるモーターブースト。これがかなり楽しめる。試乗中、何度となくこのGTEボタンに指先が!
さて残るモードはハイブリッドモード。これはバッテリーの残量レベルや運転スタイルに応じてパワーソースを選択する。
バッテリーレベルが半分くらいでもストップ&ゴーではほとんどEVモード。アクセルを踏み込むにつれエンジンが取って代わる。
新型ゴルフのマイルドハイブリッドと比較しても明らかにモーター主導のプログラミングだ。
DCT(6速DSG)とモーターの組み合わせは、ここまでのどのモードにおいてもスムーズで、やはり電気モーターの駆動プログラミングの細かさがこの心地よさの一番の要因と思われる。
このハイブリッドモードは回生も重視していてバッテリーレベルが低下すると回生充電も行う。
センターディスプレイからバッテリーの残量レベルの下限を5段階にセットでき、例えば1/5の20%に設定すると2.6kWhまでに抑えて走行できるのだ。
エンジン駆動による充電ロスを最小限に抑えるメカニズムとなっている。
走りもエコも同時に手に入れることができるパサートGTEはかなりの優れものだ。
■Passart GTE Variant Advance主要諸元
・全長:4785mm
・全幅:1830mm
・全高:1510mm
・ホイールベース:2790mm
・車重:1770kg
・パワーユニット:1394cc、直4ターボ+モーター
・エンジン最高出力:156ps/5000-6000rpm
・エンジン最大トルク:25.5kgm/1550-3500rpm
・モーター:116ps/33.6kgm
・バッテリー容量:13.0kWh
・EV航続距離:57km(WLTP)
・価格:665万1000円
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