コロナ騒動も次のステージを迎えた感がある。高速バス路線も正常に戻りつつあり、旅行や出張も以前ほどではないにしろ、機会は増えているのではないだろうか。それでもオンラインミーティングやリモートワークは残り、ひざを突き合わせる会議とオンラインとのハイブリッドが日常になっている。今回はリモートワーク目的のエンタープライズ製品を使い倒してみたのでレビューする。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
エンタープライズ製品とは?
今回使用したのはJabraのエンタープライズ製品のうち、ヘッドセットと会議用WEBカメラだ。エンタープライズ製品とは要するに業務用なので、民生品とは造りが違う。民生品よりも頑丈に作られており、少々のことでは壊れたりしない。業務用にはどんな場合にも確実に仕事をこなすことが求められるからだ。
よって基本的には企業で購入して業務用に個人に支給する形態がほとんどであろうが、同社のエンタープライズ製品は個人でも購入できるので、使用スタイルに合えば業務用の選択もアリだ。
ただし業務用は値段が高いので、使い倒さなければ個人で購入するには敷居が高い。そのための参考になればということでレビューする。
ワイヤレスヘッドセット「Evolve2 75」は、マイクを伸ばせばヘッドセットになり、オンライン会議に使用できるがマイク軸を閉じれば見た目はヘッドフォンだ。そして業務用らしく両耳のドライバー部分をつなぐ軸は金属製だ。少々落としても、ぶつけても折れることはない。
電源はUSB-Cケーブルの他に専用の置台も充電器になっているので、どちらでも充電は可能。置台も金属製で重い。これはヘッドセットを乗せた時に確実に電気接点が接続されるように重量バランスを考えてのことだ。また業務用PCにはBluetoothが付いていない機種もある。
そのためキャリングケースにはBluetooth機能が追加できるUSBトグルが付属していて専用ポケットに入っている。そして万が一、Bluetoothでの接続状況が悪く会議が続行できない場合に備えて、給電用のUSBケーブルをPCに接続すれば有線ヘッドセットとして使用できるのが業務用たるゆえんだ。
バスや新幹線の車中では?
出張で高速バスに乗車する際に会議をすることはないので、普通にヘッドフォンとして音楽を聴けばよい。インナーイヤータイプに比べて長時間使用しても耳が痛くなることはない。
乗車中に電話がかかってきたときには、サッとマイクを降ろして「バス乗車中」であることを小声でしゃべると同社のアルゴリズムにより周囲の雑音を遮断しクリアに相手に声が届く。
またノイズキャンセリング機能も内蔵しており、静かな環境で音楽を楽しめる他、ヒアスルーモードでマイクから周囲の音を拾い増幅してヘッドセットに流す機能もあるのは個人向けのヘッドフォンと同様だ。
さて、新幹線ではビジネスシート等のリモートワークに対応した車両やスペースでは会議ができるが、それ以外ではバスと同様に音楽を聴きながら突然の受電に備えることができる。新幹線の場合は席で受話して、そのままデッキに出ることができるので高速バスよりは自由度は高い。
出張先のホテルでは専用カメラも!
また出張先のホテルでは「PanaCast 20」が活躍する。これはWEBカメラで、ノートPC画面の上に挟み込む形で装着する。ノートPCにはカメラは付いてるので、わざわざ別途カメラを付けなくても会議はできる。このカメラをわざわざ使用する理由は2つある。
PCのカメラはオマケ程度なので特にホワイトバランスの調整ができないと、部屋の照明によっては非常に暗く映るし、そもそも明るいレンズを装着していないのでやはり暗い。本品はAIにより自動でしかも積極的に光を解析し最適なホワイトバランスに調整してくれるので、人物が明るくクリアに映るメリットがある。
そしてもう一つ難しいのはフレームの決定だ。内装カメラでは広角に振っているケースが多く、映したくない部屋の内部が見切れてしまう。
本品はカメラの物理的な位置はそのままに、会議参加者である自分だけをフレームの中心にかつ拡大して映す。また自分が多少左右に動いても自動で追随してくれる機能があるので、会議に自分がフレームから切れてしまう心配がない。
実際の違いは画像ギャラリーにスクリーンショットを収録しているので比べていただきたい。また本品も業務用なので金属製で重い。PCとはUSB接続だ。
寝台列車では自由自在!
もはや日本で唯一の定期寝台列車となってしまったサンライズ瀬戸・出雲では、寝台は全室個室なので深夜に会議をすることはないにせよ、夕方から夜であればミーティング程度は十分に可能だ。ただし285系電車にはWIFIサービスはないので、通信回線は自前で用意する必要がある。
「Evolve2 75」と「PanaCast 20」は同時に使用可能で、ZOOMで試したところ接続すれば、いずれのデバイスも自動認識されて設定画面で内蔵カメラやマイク、スピーカーとの選択が可能だ。
業務用だからこその品質は本物志向
どんなアイテムでも民生品と業務用があれば、たいていは民生品の方が機能は豊富でデザインも洗練されている。しかし業務用は前述した通り、デザインや機能よりも確実に動作し少々手荒に扱っても故障しない頑丈さが求められる。
この違いと品質に価値を見いだせれば選択しても損はないと思われる。業務用や本物を求めるのはマニア本能のひとつなのだろうから、どんなものか手に取ってみるのもいいのではないだろうか。
投稿 プロ仕様のタフさがヤバい! 移動中に超絶クールなヘッドセット爆誕 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。