今年2月の長崎県知事選で初当選した大石賢吾氏の陣営の出納責任者と選挙コンサルタントの2人が公選法違反(買収)の疑いで、刑事告発状が長崎地検に提出されたことを巡り(関連記事)、告発人の郷原信郎弁護士と上脇博之神戸学院大教授が、大石知事に対し、問題の「電話代」の詳細について説明を求める文書を送っていたことが22日、明らかになった。
郷原氏と上脇氏はこの日までに大石知事宛に文章を送付。それによると、告発された選挙コンサルタントの大濱崎卓真氏が問題の402万円について毎日新聞の取材に対し、「オートコールなどの通信・通話料金で、報酬は含まれておらず公選法には抵触しない」と反論したことについて、
そうであるとすれば、個々の通信・通話料金の支払を収支報告書に記載し、それらの領収書を添付すべきだったのであり、なぜ、電話業務を行っていない(大濱崎氏経営の)ジャッグジャパンに対する「電話料金」と記載したのか、不明である。
と主張。さらに上脇氏が情報公開請求で取得した402万円の裏付けとなる領収書に「長崎県知事選挙通信費(電話料金、SMS送信費ほか)」と記載されていることについても
「オートコールなどの通信・通話料金」だけなら、なぜ「ほか」と記載されているのか、その理由は明らかではない。むしろ「ほか」には何が含まれるのか説明されるべきであるが、その説明は一切なされていない。
と断じた。さらに大石知事が14日の県議会で、402万円について尋ねられた際に「あくまでオートコールなどの通信費の支出で、コンサルタント料は含まれていない」と答弁したことについても、郷原氏・上脇氏サイドは
通信費の支出については、大濱崎氏の「反論」と同趣旨の説明をする一方で、同氏側に対して費用は発生しないなどと、矛盾する説明となっている。
と指摘している。これらの指摘した疑惑について、当事者の説明で解消された場合には「告発状を取り下げることもあり得る」と提示する一方で、大石知事に対しては、大濱崎氏と出納責任者に事実確認の上、402万円の通信費の内訳の詳細を公開するなど、「公選法違反の嫌疑の有無を明らかにして頂きたい」と要請している。
文書は当初長崎県庁に送付されたものの、大石氏の知事としての公務ではなく政治活動(政務)に関する問題であるため、対応の窓口は、知事の代理人を務める東京都内の弁護士に切り替わった。
この弁護士はSAKISIRUの取材に対し、文書を受け取ったことは認めた上で「郷原先生のご意見は承ったが、告発対象は知事ではない」と主張。刑事告発された大濱崎氏や出納責任者、両者の代理人弁護士が対応するのが筋であるとの見解を示した。
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