アルファタウリがこのF1第12戦フランスGPにアップデートしたマシンを投入してきた。アルファタウリのアップデートは、第4戦エミリア・ロマーニャGPに新しいフロアを投入して以来、8戦ぶり。角田裕毅にどれくらい期待を抱いているかを木曜日の囲み会見時に尋ねると、「トップ3」と言った後、笑って「これは冗談ですが、トップ6とかトップ7は狙えると信じています」と語った。
じつは同じ質問は同じ日のFIA会見でチームメイトのピエール・ガスリーにも行われており、ガスリーはなんと「ポールポジション」と言って会場を笑わせていた。
そんななかで開幕したフランスGP。じつはフリー走行1回目で、このアップデートパーツを使用したのはガスリーだけだった。ただし、これはアルファタウリがアップデートパーツを1台分しか用意できなかったからではない。
「フリー走行1回目は従来スペックと新しいスペックを比較するためにチームメートと別々の空力仕様で走りました」(角田)
フリー走行1回目でガスリーが5番手だったのに対して、角田が18番手に終わったのには、そんな理由があった。
このフリー走行1回目でのガスリーの自己ベストは1分34秒979で、角田は1分36秒127だった。つまり、ふたりの差である1.148秒が新旧のスペックの違いと考えていいだろう。
では、アルファタウリのマシンはどこがアップデートしたのか。最も大きな違いはサイドポンツーン前のディフレクターだ。
アップデートする前のアルファタウリのディフレクターは、一番外側に大きなディフレクターが1枚設けられ、その内側の下面に2枚装着されていた。
それがこのフランスGPでは一番外側のディフレクターが小さくなり、その内側の2枚とほとんど同じ大きさに変わっていた。
このディフレクターは今年導入された新世代マシンになってから採用されたものだが、ここが全体の空力を考える上でポイントになっており、チームによって微妙に違う。たとえば、チャンピオンシップ争いでトップに立つレッドブルは、どのチームとも異なるユニークな形状で注目を集めている。
このアップデートで角田は土曜日の予選でどこまで行けるか。
「もちろん、チャレンジングですが、クルマとしてのパフォーマンスはかなり上がっているので、Q3に進出できる速さはあると思います。ただ、フリー走行で得たデータを元に予選までに調整しなければなりません」
第8戦アゼルバイジャンGP以来のQ3進出を目指してほしい。