初日の路面温度は最高で56度。今年のF1第12戦フランスGPは昨年より約1カ月遅れということに加え、今年ヨーロッパを襲っている熱波の影響も手伝って、例年よりも暑いコンディションとなっている。
そのフランスGP初日、レッドブルは興味深いタイヤの使い方を行った。フリー走行1回目にソフトタイヤを2セット投入した。
2022年のF1は、スプリントの開催がない通常の週末では、供給されるドライタイヤは13セットと定められている。ただし、この13セットのうち、決勝用のタイヤとして、ハードとミディアムが各1セット保管され、予選のQ3専用タイヤとしてソフトが1セットの合計3セットが強制的に保管される。そのため、チームが自由に使用できるドライタイヤのセット数は、ハード1セット、ミディアム2セット、ソフト7セットの合計10セットとなる。
通常のグランプリでは、路面がまだできていない状態でソフトタイヤを投入するメリットが少ないことと、予選までにできるだけソフトは温存したいため、その前に行われるフリー走行ではミディアムやハードを使用するケースが多い。
ところが、レッドブルはフランスGP初日のフリー走行1回目にソフトタイヤのみ2セットを投入して走り込みを行っていた。
その理由をチームは明かしていないが、前戦オーストリアGPでの逆転負けを反省した措置ではないかと考えられる。オーストリアGPでレッドブルはスプリントが開催されるため、やや予選重視になっていたようだ。そのため、日曜日のロングランでタイヤがひどくデグラデーション(劣化)を起こした。
マックス・フェルスタッペンもフランスGP前日の会見で「レッドブルリンクでは予選までのフリー走行が限られていて、クルマのセットアップが理想的ではなかった」と認めている。つまり、フランスGPではその反省を踏まえ、レースに向けたセットアップを優先して行っていると考えられる。
ただし、今回の高温下でのレースではタイヤのデグラデーションが大きいことが予想されるので、路面温度が高いコンディションにも強い、硬めのハードやミディアムタイヤはできるだけ温存したい。それがフリー走行1回目のでのソフト2セット使用だったと考えられる。
じつはフリー走行1回目をソフトタイヤだけで走行していたのはレッドブルだけでなく、フェラーリ2台、アルピーヌ2台、ハース1台(ケビン・マグヌッセン)も同じだった。
フリー走行2回目ではレースに向けてロングランのデータも取りたいため、ソフト以外のタイヤも使用したが、ダニエル・リカルド(マクラーレン)とランス・ストロール(アストンマーティン)、そしてニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)を除く17人のドライバーはハードを使用しなかった。
日曜日のポール・リカールは気温39度と予報され、路面温度は金曜日以上に上がると予想されている。
「今週末はタイヤに厳しいので、ロングランでのデータが必要だったため、今日は精力的に周回を重ねたけど、まだ足りない。だから、ロングランでいま自分たちがどのポジションにいるのか判断が難しい」(フェルスタッペン)
今週のフランスGPは土曜日の予選ポジションだけでなく、日曜日のロングランでのタイヤの使い方も重要となることは間違いない。