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いよいよレクサスIS F復活!? から考える唯一無二のスポーツセダン5選

 レクサスIS Fが8年ぶりに日本で販売される公算が大きくなってきた。今年9月のマイナーチェンジ時に北米のIS500Fを日本仕様にモディファイして復活するらしいのだ。

 IS FはFRスポーツセダンのISをベースにV型8気筒5L自然吸気エンジンを搭載し、走行性能・空力性能を高めたハイパフォーマンスモデルになる。

 今回は、ちょっと気が早いがこのIS Fの復活? をお祝いして、筆者が選んだこんなクルマは二度と出てこないであろう唯一無二の魅力を持つハイパフォーマンススポーツセダン5選をお届けする。

文/渡辺敏史、写真/レクサス、アストンマーチン、キャデラック、ホンダ、マツダ、日産、ベストカー編集部

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■北米のIS500FスポーツがIS Fとして日本導入!?

2021年3月に北米で発売開始されたレクサスIS500Fスポーツ。最新情報では、日本でも2022年9月のマイナーチェンジと同時にIS500Fスポーツが追加設定される予定

 今年の秋冬くらいに、レクサスISにハイパワーバージョンが追加されるのでは? という噂、ボクも耳にしたことがあります。が、真偽のほどはまったくわかりません。

 おそらくその噂の根拠になっているのは、北米市場向けに輸出されているIS500 Fスポーツの存在でしょう。LC500やRC Fが積む5LV8自然吸気ユニット、2UR-GSEをノーズに収め、2速以降がフルロックアップとなる8速ATを介して後輪駆動でドライブするそれは、0~60マイルを4.4秒で駆け抜ける俊足の持ち主です。

 これが日本市場にもIS Fの後継やGS Fの代替的位置づけとして導入されるのではないかという憶測は登場当初から囁かれていました。

 もっとも、今や同級の車格でそれより速いスポーツセダンはたくさんあります。ISのライバルといえばメルセデスAMGのC63シリーズやBMWのM3ということになりますが、いずれもターボ化によって500ps超の700Nmという凄まじい火力を有しており、IS500はヨーイドンでは敵いっこありません。

 でも、もはやポルシェ911をも食い散らかさんという彼らの速さは、公道で云々する領域ではないのも確かです。スポーツセダンというコンセプトと、それを求める最大の理由でもある日常性との親和を鑑みた時に、もはや性能の数値的な優劣は物差しにならないくらいの領域に達しているのかなとも思います。

 その喧嘩、サーキットでやれば? の話ではなく、普段乗りでも時折なにかいいもの、特別なものに乗っていると感じさせてくれる。そういう満足度こそがスポーツセダンの勘どころではないでしょうか。そういう視点でみれば、大排気量マルチシリンダーを7000rpmオーバーまで回せる絶滅種の2UR-GSEを積んだIS500は見逃せない存在となります。日本でも発売されるといいですね。

 というわけで、お値段的にも納得できる範疇にありながら唯一無二の魅力をもつスポーツセダン、こういう選択肢もありますよ。

■アストンマーチン・ラピード

アストンマーチン・ラピード最後のモデル「ラピードAMR」。2018年から210台限定で販売された世界で最も美しい4ドアスポーツカー

 かつては日本のお家芸だった4ドアハードトップ的なコンセプトのクルマは、2000年代になってメルセデスベンツCLSやポルシェパナメーラの登場でリバイバルするわけですが、そのコンセプトをとりわけ先鋭化させた形で作られたのがラピードでしょう。

 純然たる2ドアスポーツクーペとして設計されたDB9系の車台をストレッチして4ドア・4座化した、かぎりなくクーペの側に近いスポーツセダン。全長5m超えながらそのパッケージは成人男子4人が座るにもタイトなわけですが、そのぶん、エンジンは6LV12自然吸気のAM12系を搭載、ミッションは後軸直下のトランスアクスルレイアウトとメカニカルな面での妥協はまったくありません。

 恐らくここまで極端にスポーツカーの側からアプローチしたスポーツセダンというのは今後二度と現れることはないと思います。もちろん程度やグレードにもよりますが、中古車の流通価格は700万円〜というところ。

 もちろん維持は相応に大変だと思います。が、内燃機の頂点である12気筒の体験も込みで考えれば値頃感はなかなかだと思います。

■キャデラックCTS-V

キャデラックCTS-Vはベース車のCTSにコルベットのエンジンを搭載したハイパフォーマンスモデルになる。写真は2009年のモデルでコルベットC6 ZR1のエンジンを搭載している

 ドイツ勢でいえばEクラスや5シリーズ相当の車格にあたるCTS。ちなみに現在その役割は、日本でも販売されているCT5が担っています。

 スポーツカー出自の高性能エンジンを押し込んで……というのは、時代は変われどスポーツセダン作りの常套です。古くはプリンスR380由来のスカイラインGT-R(ハコスカ)とか、フェラーリ328由来のランチアテーマ8.32とか、例を挙げればきりがありません。それはCTS-Vも然り。搭載されるのは代々のコルベットが搭載していた6.2LV8スーパーチャージャーユニットです。

 注目すべきは649psに達するバカバカしいまでの火力のみならず。OHVならではのドロッとした低中速域での鼓動感、そこからスーパーチャージャーならではの作動音を伴って、ドバドバと湧き上がるパワーとともに芯を揃えるように高回転域へと突き進むその回転フィール、そういったアメリカンスポーツならではのエンジンの味わいにあります。

 現在の流通価格は直近まで販売されていた3代目で800万円前後、556psの2代目で400万円前後と、パフォーマンス比でみればこちらもまずまず値頃ではないでしょうか。

■ホンダシビックタイプR(FD2型)

2007年に登場した3代目シビックタイプR(FD2型)。限定300台で販売されたシビック無限RRは特に人気がある

 6代続くシビックタイプRの歴史において唯一の4ドアセダンがFD2型。その生活臭とは裏腹に、筑波スペシャルとも称されたパツパツに固められたアシは同乗者にとっては厳しい修行だったことを思い出します。

 搭載するエンジンは2L4気筒のK20A型。225psを8000rpmで絞り出し、レッドゾーンは8400rpm……と、もうこんな超高回転型自然吸気ユニット自体がスーパーカーカテゴリーでさえ絶滅危惧種です。

 この珠玉の内燃機をホンダらしく節度感の高いMTで操りつつ、バイクの如き吹け上がりのレスポンスとそのメカニカルサウンドを、日々セダンのユーティリティとともに味わうことができる。この1点だけでみてもFD2は比類のないクルマだと断言できます。

 昨今の国産旧車人気に引っ張られて相場は高め、走行3万km台のピンものは400万円級の話になっていますが、この先、味わえないものの対価と考えれば納得できる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

■マツダRX-8

2003年から2012年まで生産されたマツダRX-8、写真は2000台限定販売された最終モデルの「スピリットR」。2008年にマイナーチェンジされ改良されたが、中古車流通台数は圧倒的に前期型が多い

 中に収まるエンジンは言わずとしれたロータリー。ミッションハウジングと同化するようなエンジン本体のコンパクトさを活かして、それを極限まで中央側に押し込みつつ、観音開きの変則ドアを用いて、4470mmのコンパクトな車体で4ドア・4人乗りのパッケージをみごとに実現したクルマです。

 ふたつのローターが回っているのはフットレストのすぐ側あたりと知れば、テンションも一段と高まるのではないでしょうか。

 RX-8の魅力はもちろんロータリーエンジンならではの頭打ち感のない滑らかな吹け上がりにもみてとれます。でも、それ以上に特筆すべきは、この特有のパッケージが生み出す動的な素性のよさ、そして乗り心地とハンドリングを高次元で両建てしたシャシーの仕上がりのみごとさにあるかもしれません。

 イマ的水準でみれば速くはありませんし、燃費もきつい。それでもロータリーがあり続けるべき理由が詰まった1台といえます。相場は程度によってピンキリですが、筋のいい個体がギリギリふた桁で狙える範疇という感じでしょうか。

■日産スカイライン400R

2019年9月のマイナーチェンジで追加されたV37型スカイライン400R。400Rの由来は日産初の400ps超えの象徴とあるが、1996年発売のR33型スカイラインGT-R ニスモ400Rのリバイバルともいえる

 最後は日本のスポーツセダンの雄、スカイラインを。1psあたりナンボの話をすれば、あのスイフトスポーツに迫るお値打ちぶりの400Rですが、搭載するVR30DDTTはすでに多くのチューナーたちによって解析や開発も進み、現実的なコストで500ps級のパフォーマンスを得ることも夢ではないという環境が整いつつあります。

 そのうえ、微妙に仕様は違えど新型Zにも同じ形式のエンジンが搭載されるということで、400Rはさらにチューニング関係の方から注目を集めることになりそうです。

 もちろん、ノーマルでもその速さは十二分。快適性とのバランスもしっかり取られています。6気筒ツインターボは輸入車なら今や4桁万円級のモデルに積まれるプレミアムユニットです。

 それを新車で560万円余、まだ数少ない中古車なら400万円台から味わえるというのは、日本は電動化先進国がゆえの恩恵ともいえるでしょう。

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