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ホンダ エレメントの中古相場がじわじわ上昇中! 大人気ラシーンに続く?

 新車時にはメーカーが思っているほど売れなかったにもかかわらず、中古になってしばらくしてから人気が燃え上がるクルマは時折あらわれる。

 最近では日産 ラシーンの価格が高騰している。ほどよいサイズとカワイらしいデザイン。そして人気アニメなどに登場したことから大人気となっているのだ。専門店まで存在するほどなのである。

 そんなラシーンにつづくモデルとして注目したいのが、ホンダ・エレメントである。はたして、どんなプロフィールのクルマなのだろうか。

文/山本晋也、写真/HONDA、NISSAN

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■ラシーン&エレメントが高騰中! さほど売れてないクルマがなぜ!?

1994~2000年にかけて生産された日産 ラシーン

 日産 ラシーンは、1994~2000年にかけて生産されたモデル。テールゲートにスペアタイヤを背負っていることからもわかるように当時の典型的なSUVスタイルとなっているが、メカニズムとしてはサニーそのものといえるものだった。ある意味で、ファッションSUVの先駆けといえるのがラシーンだ。

 新車時には爆発的に売れたわけではなかったが、適度なレア感と、一周回ったことで洒落たルックスと評価され、ここ10年ほど中古車相場は高値安定している。おおよそ25年も前のクルマなのに150万円前後の価格をつけているくらいだ。

 新車時価格が180万円あたりだったことを思えば、驚くほどの価値を残しているといえる。

 そんなラシーンにつづくといえるのが、ホンダ エレメントだ。このところじわじわと中古相場を高めている。相場の中心は100万円前後となるが、モノによっては250万円を超える個体も存在している。

 このようにカスタムされた個体が高値をつけて相場を引っ張り上げている点でもラシーンのムーブメントが盛り上がった頃を思わせる。というわけで、ホンダ・エレメントとはどういったクルマだったのか、あらためて解説してみよう。

■エレメントはまさにアメリカを体現! フラットフロアなど使い勝手もバツグンだった

2003年に登場したホンダ エレメント。Bピラーレスの観音開きドアが特徴のクロスオーバーSUVで、企画は北米。各所の機能にアメリカンな空気が漂う

 そのデューは2003年。北米で企画されたクロスオーバーSUVで、Bピラーレスの観音開きドアが特徴。丸目風の異形ヘッドライトや樹脂むき出しのパーツを多用するなど、非常に道具感のあるスタイリングとなっているのもエレメントの個性となっている。

 こうしたスタイリングはライフガードステーションをモチーフにしている。ライフガードステーションというのは、海の安全を守るライフガードが待機する場所で、砂浜に建てられた少し高い建物のこと。

 遠くからも一目で存在がわかるという部分では、まさにライフガードステーション的なルックスといえる。同時に海が似合う、自由の象徴といったイメージもエレメントのスタイリングには込められている。

 またパッケージングとしてはサーフィンで使われるロングボードがそのまま積めるということも重視されており、そのためにフラットフロア化にこだわっているのも特徴だ。

 広いラゲッジは休息スペースとしての活用の意識されているもので、広々とした空間を生み出すために跳ね上げ式のリアシートを採用しているのもユニークなところだ。

 テールゲートが上下分割式となっているのも休息スペースを最大化するための工夫だ。

 こうした設計としたのは、アメリカではピックアップトラックのテールゲートに腰かけて食事を楽しむ「テールゲートパーティ」という文化があり、そうした使い方ができるよう考慮したものだという。まさに北米におけるカルチャーをリサーチして生まれたのがエレメントといえる。

■車幅がネックだったが、いまやフツーのサイズに! 不満点もあるが走破性は申し分なし

新車販売当時、国内では1815mmという全幅がネックとなったが、2020年代の基準でいえば幅広すぎるというほどでもない

 ちなみに、開発時のメインターゲットとなったのは「ジェネレーションY」と呼ばれた世代で、当時でいうと20代前半の男性に選ばれることを目指していたという。

 キャビンの広さ感でいうとミニバンに近い部分もあるが、ミニバンに乗っていると子育て世代に見えてしまうことを嫌うのがジェネレーションYの男性だったという。ミニバンの使い勝手とSUVの走破性を両立したスタイリッシュなモデルは、そうした背景から生まれたのだ。

 そのためフラットフロアや跳ね上げシートというメカニズムからはステップワゴンのようなミニバンに近い印象もあるが、基本的には当時のCR-Vに似たメカニズムで構成されている。

 つまりエンジンは2.4L・DOHCであり、駆動方式は4WD。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアはダブルウィッシュボーンとなっている。4速ATとなっているのは、今どきの目線では不満も覚えるが、SUVとしての実力も非常に高い一台となっている。

 そんなエレメントはアメリカで生産された輸入車として日本で売られていた。

 2003年のデビュー当時は1815mmという全幅が、一般ユーザーにはネックとなっていたが、2020年代の基準でいえばけっして幅広ではないし、むしろ2575mmのホイールベースは短いといえるほどで、市街地での取り回しもスタイリングから想像するほど悪くはない。

■今見ても古くない! エレメント買うなら今が最後のチャンスかも

 こうしてエレメントの機能や開発時の狙いを振り返ると、デビューから20年近くを経て、再評価されているのも理解できる。とくにミニバン的なフラットフロアとSUV的なメカニズムのクロスオーバーという点は、現在のトレンドにおいても最先端であるといえそうだ。

 さらにいえば、ホンダから後継モデルが出なかったことで、エレメントの独自性はまったく古くならない。それも中古車における価値を高めているのだろう。日本での発売開始が2003年4月だったことを思うと、デビュー20周年となる来年には、ますます注目度を高めることだろう。

 まだまだ中古車市場では50万円台の個体も見つけられるエレメント、気になるならば早めに手を付けておくのがオススメだ。

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