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「今の時代、おっさんはどんなクルマに乗るべきか?」

 いやもちろん、どんなクルマに乗ったっていいのだが、アナタ(おっさん)が仮にクルマ好きなら、周囲のクルマ好きからどう見られるかを意識するはずだ。そして少なくとも、「シブイなぁ!」とか、「わかってるね~」と思われたい、と願うのではないだろうか? そういう選択を、ワタクシ清水草一が独断で展開いたします!

文/清水草一
写真/トヨタ

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■国産車にこだわるおっさんが選ぶべきブランド

 おっさんは、歳を重ねるほどに冒険ができなくなる。人間だもの、当たり前のことである。長年ドイツ車にあこがれを抱いていたとしても、「ガイシャなんて分不相応だ」とか、「ガイシャは故障が怖い」とか、「ガイシャなんて近所に何を言われるかわからない」とか、あるいは「国産車がこれほど優れているのに、なぜわざわざガイシャに乗る必要があるのか!」くらい、強い意志を持って国産車にこだわるおっさんも少なくないことだろう。

 ドイツ車はダメ! もちろんフランス車やイタリア車やアメリカ車なんて論外! というおっさんが、満を持して乗るべきブランドは何か。

 レクサスである。「である」というより、それしかあるまい。鉄壁の信頼性を誇るトヨタ車の、さらに上位に位置する高級ブランド、それがレクサスだ。

 鉄壁の信頼性を誇るトヨタ車の「上」なのだから、その信頼性はまさにテッパン。この世にこれ以上信頼できるブランドがあるだろうか? レクサスが信頼できない人は、おそらくこの世に信頼できるものなど何もない。せいぜい金(ゴールド)の価値くらいだろう。

 まあとにかく、レクサスはこれ以上ない手堅い選択だ。武将で言えば徳川家康である。信長のように高転びにあおのけに転ぶことはないし、秀吉のように朝鮮に出兵して大損害を出すこともない。石橋を叩いて渡り、ついには260年の太平の世を作り上げるのだ(家康は生涯何度も大バクチを打った生粋の戦国武将ですが、イメージ的にはそうなります)!

 どんなに信長がカッコよく、いかに秀吉が滝昇りに出世しようとも、最終的には家康の勝利。それがレクサスというブランドの立ち位置である。

満を持して日本でブランドを開設すると、じっくり時間をかけながら現在の立場を築き上げたレクサス。まるで最後の最後に天下を手中に収めた徳川家康のようだ

 レクサスはブランドとして十分魅力的だ。若い女性にも非常に人気がある。ガイシャに乗っている男はチャラチャラしているけれど、レクサスは堅実で安心安全でお金もある。つまり家康のようにテッパンなのである。おっさんにはモテるとかモテないとか、もはや関係ない話だが、とにかくレクサスのブランドイメージはテッパンなのだ。

 レクサスはディーラーも素晴らしい。建物も素晴らしいが、なによりもサービスが素晴らしい。レクサスのディーラーは、トヨタディーラーとはまったくの別世界。民宿と高級ホテルくらいの差がある。

 そのサービスは、ドイツ車のディーラーなんかよりもはるかに上だ。ドイツ車のディーラーに行くと、営業マンに値踏みされるような被害妄想を感じるが、レクサスでは絶対そんなことはない。誰でももれなくお殿様・お姫様気分にしてくれる。まさに竜宮城である。

■ドイツ御三家に対する激しい情念!

 では、おっさんはレクサスの何に乗るべきか。

 もちろん何に乗ってもいいのだが、家康の中の家康、定番中の定番と言えば、ミドルセダンのISだ。サイズが手ごろで使い勝手は万能。レクサスはISを買っておけば間違いない!

 しかもISは、2020年のビッグマイナーチェンジによって、ほとんどフルモデルチェンジ級の変更を受け、別物のクルマに生まれ変わった。見た目もぐっとカッコ良くなったが、走りの進化には心底驚かされた。その質感の高さは、「ついにレクサスがドイツ御三家に勝った!」と言えるほどのものだ。

2013年に発売された現行型レクサスISは日本では2代目(初代モデルは日本ではトヨタ アルテッツァとして販売された)。レクサスのブランドアイコンとなるスピンドルグリルが採用された

 レクサスの看板パワートレインは、トヨタ得意のハイブリッドだ。トヨタのハイブリッドというと、燃費はいいが走りはイマイチという印象もあるが、2.5Lハイブリッドシステムを積むIS300hに乗ると、パワートレインのことを忘れるほどシャシーが素晴らしく、それだけで十分ヨロコビに浸ることができる。

 つまり、やっぱりハイブリッドにはダイレクト感が全然なくて、スポーティに走るには物足りないのだが、シャシーがあまりにもイイ! しなやかに路面をいなして乗り心地抜群なのに、ハンドリングがスポーティで思い通りのラインをトレースできるので、それだけで「ああ、いいクルマだなぁ」と満足してしまうのだ。

 これがIS300の2Lターボ(245馬力)になると、いいエンジンを回すヨロコビも加わる。”たかが”2L 4気筒ターボだが、今や2L 4気筒ターボこそが、全世界のプレミアムブランドで主役を張っている。ISのエンジンは、トルクフルなのは言うまでもないが、高回転までブチ回した時の回転フィールもスムーズかつ適度に官能的。レクサスのエンジンもここまで来たか……と唸るしかない。燃費はあまり良くないですが。

 3L V6自然吸気エンジン(318馬力)搭載のIS350ともなれば、贅沢の極み。今やこのクラスで、大排気量マルチリシンダー自然吸気エンジンを積むモデルは希少だ。それは、とろけるようなフィーリングの、古き良き余裕のパワー/トルクである。燃費は相当悪いですが。

 レクサスのセダンには、ドイツ御三家に追いつき追い越せという激しい情念を感じる。ISは、その情念のカタマリとも言うべきスポーツセダンなのである! おっさんはレクサスISに乗れ!

■初期モデルが狙い目な理由

「んなこと言われても、高すぎるだろ!」

 たしかに高い。レクサス車は全部高いので、ISも当然高い。一番安い素の「IS300」で480万円。一番高い「IS350Fスポーツ」の特別仕様車だと700万円に達する。おっさんは、レクサスに老後の貯えを投入してもいいのだろうか?

 そう思ったら中古車だ。

 レクサスISの登場は2013年。その当時試乗した私は、まったく魅力を感じなかった。サスペンションは妙に固すぎて路面からの突き上げが激しく、パワートレインもドイツ車に比べると明らかに退屈だった。当時はまだ、レクサスの「ドイツ御三家に追いつき追い越せ」という気持ちが空回りしていた。

8速ATが搭載されたIS350の初期モデルは、滑らかな加速と高い応答性を実現していた

 がしかし、あれから9年を経たレクサスISの初期モデルは、固すぎたサスペンションがちょうどよくこなれて、今まさにスポーティで乗り心地抜群になっているのだ!

 家康様のおっさんは、「9年落ちの中古車なんて大丈夫?」と思うかもしれない。しかしこれはレクサスだ。レクサスが信じられない者は、金(ゴールド)でも買うしかない。9年くらいでレクサスが故障しまくるはずがなかろう! レクサスを信じずに何を信じるのか!

 現行型レクサスISの中古車を買うなら、中途半端に新しいタマよりも、むしろ古めのタマを狙うのが吉だろう。そのほうが、当時の固すぎたサスペンションがいい具合になじんでいる。家康の「最後まで生き残った者が勝つ!」という戦略である。レクサス車は大事に乗られた個体が多く、距離もあまり伸びていないから安心だ。

 当初のISのパワーユニットは、4気筒2.5LとV6 3.5Lのガソリン、そして2.5Lのハイブリッドの三本立てだった。もちろんどれを選んでもいいが、相場的にはハイブリッドが一番高く、一番お安いのは最上級のIS350だ。大排気量で自動車税が高く、燃費も一番悪いが故の安値だが、それこそ中古車の醍醐味。9年落ちのIS350なら、200万円強で買うことができる。ハイブリッドだと300万円前後。この差は大きい。

 安いお金で贅沢ができるのだから、狙いはIS350でキマリだ! おっさんは9年落ちのIS350に乗れ!

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