観客動員が200万人を突破した「シン・ウルトラマン」は空想特撮映画を名乗っている。特撮映画の見どころは怪獣(この作品では禍威獣)が大暴れするシーンだが、最先端の映像技術を駆使しながらも、初期の特撮映画のような手作り感を残しているのが印象的だった▼特撮映画の元祖といえば1954年公開の名作「ゴジラ」だろう。特撮の神様と称された円谷英二が特殊効果を手がけた。ミニチュアセットの風景の中で怪獣の着ぐるみを着た俳優が動き回るという手法は後のウルトラシリーズに引き継がれていく▼今回の最新作でウルトラマンが登場するシーンはフルCGで作られたという。しかし、ウルトラマンの姿は無機質ではなく、昔のように誰かが着ぐるみを着て演じているといわれても違和感がない映像だった▼CGなどのデジタル技術の進化により、再現が不可能な映像はなくなったといわれる。ただ、見る側が感動する理由はリアルであることだけではないはず。そこで問われるのは何を表現するのかという制作者の問題意識なのかもしれない▼60年代生まれのウルトラマン世代にとって、オリジナルへの尊敬の念が感じられて共感するところが多かった作品だった。海外の映画祭に出品される予定だが、日本発の特撮映画がどのような評価を受けるのか興味深い。(22・6・24)
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