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 東京-福岡間は多くの交通機関があるが、夜行となると高速バスかフェリーか新幹線+サンライズかの3択になる。今回は西鉄の「はかた号」と山陽新幹線+サンライズ瀬戸という組み合わせで往復したので夜行という観点で比較してみた。決着をつけるというよりも選択の参考にしていただければ幸いである。

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)


早くて安いのは飛行機も結局は同じか!?

 東京-福岡間で最も安くて早いのはズバリ航空機だ。それもLCCは運賃も時間も他を圧倒していて勝負にならない。ただし成田空港まで行かなくてはならないので東京駅-博多駅間とした場合は、のぞみ号の約5時間と大して変わらなくなる。

 ちなみに現在では新幹線もスピードアップを果たしているので、対東京で航空機と新幹線が張れるのは広島とされている。

 フェリーはもちろん夜行で、東京側は東京港フェリーターミナルからなら徳島港経由で北九州市の新門司港まで2泊、横須賀港からなら1泊で到着する。巨大な船舶なので居住性はかなりいいが、基本的にトラック輸送を基準にダイヤが設定されているために、徒歩客には使いにくい側面がある。

往路は約14時間! はかた号の豪華シートを選択

 今回は往路を「はかた号」とした。所要時間は14時間17分だ。運賃はダイナミックプライシング制が導入されているので定価はない。記者が乗車した時にはプレミアムシート(個室)で19000円だった。

西日本鉄道「はかた号」はスーパーハイデッカーのエアロクイーン

 バスタ新宿を21時に出発して、博多バスターミナルに到着するのが翌11時17分。もうお昼前なのでお世辞にも寝ている時間を有効にとは言わないが、乗り換えなしで都心から地方都市へダイレクトで結ぶのはバスならではだ。

 プレミアムシートはさほど大きくリクライニングするわけではないが、座席が個室2列で大きいのと、座面とほぼ同じ大きさのレッグレスト装備なので、疲労感はまったく感じなかった。「はかた号」については別稿に詳細をレポートしているので関連記事からご覧いただきたい。

復路は「サンライズ瀬戸」

 復路は山陽新幹線から岡山乗り換えでサンライズ瀬戸とした。岡山からなのでサンライズ出雲でも構わないが、瀬戸の方が先着するので若干ながら早く乗りこめるメリットがある。

 山陽新幹線はのぞみ号でも良いのだが、「はかた号」と所要時間を近くするためと、なるべく安くてグレードの高い座席にするために500系こだま号の6号車普通車指定席を選択した。

JR西日本500系電車V編成

 500系の6号車は16両編成時代のグリーン車がほぼそのまま使用されているので、指定席料金で実質的にグリーン車に乗車しているのと変わらない。

 700系7000番台(レールスター)やN700系7000/8000番台(みずほ・さくら号)でも指定席は4列シートだが、あくまでも普通車のアップグレードシートなので、元グリーン車のシートにはかなわない。

所要時間は11時間49分!

 博多を19時19分に発車する「こだま868号」新大阪行きは500系で運転されていて、岡山に22時13分に到着し、21分の乗り継ぎ時間でサンライズに接続する。サンライズは22時34分に岡山を発車し、東京には翌7時8分に到着する。乗り継ぎ時間を含めた所要時間は11時間49分だ。

JR西日本285系電車

 285系電車のサンライズ瀬戸(出雲でも同じ)の寝台はB寝台個室シングルとした。サンライズには特急券だけで乗れるノビノビ座席や、シングルよりも少し安いB寝台個室ソロ、A寝台のシングルDXなどがあるが、最も標準的で室数が多いシングルを選択した。

運賃・料金比較

 さて新幹線+サンライズの運賃・料金の内訳は次の通りだ。運賃は福岡市内から東京都区内まで14080円、新幹線特急料金が博多から岡山まで4950円、サンライズの特急料金が新幹線との乗継割引で半額になり1650円、寝台料金が7700円。総額で28380円だった。

新幹線特急料金は高いがサンライズに乗継割引が適用されるのは大きい

 もっとも、新幹線を自由席にしたり、サンライズをソロやノビノビ座席にすれば安くすることは可能だ。これは「はかた号」も同じで、3列のビジネスシートにすれば安くなる。

 「はかた号」の個室運賃の上限は23000円なので、サンライズをノビノビ座席にすればバスと大差はなくなる。所要時間は新幹線を後続の「さくら号」にすれば約1時間短縮できるが接続に上手いダイヤではなく、上りについては大幅な時間短縮は望めないので「こだま号」でもいいだろう。

 ただしサンライズを岡山ではなく姫路乗り継ぎとすると、約2時間の短縮が可能なので福岡の滞在時間を増やしたい場合は考慮すると良い。

快適性はどっち?

 快適性については単純比較が難しい。「はかた号」は本革電動マッサージシートで、あくまでも座席だが寝ることは十分にできる。一方で、500系6号車はグリーン車のシートなので快適そのものだが、フットレストはなく寝たとしても基本的に座っているだけだ。

500系V編成6号車の座席

 また岡山での乗り継ぎがあるので、いずれにせよ寝続けるわけにはいかないが、その後のサンライズは完全に「個室寝台(ベッド)」なので、寝るための設備というところが有利だ。またACコンセントもあるし、1両は喫煙車になっている。

285系シングルの室内

 はかた号にはUSB-Aが2基付いているがACコンセントはない。喫煙は降車休憩の2回のみだ。 記者の感覚では夜行で「寝る」ということについては、どちらも不満はなく快適だった。「はかた号」の有利な点は前述の通り、乗り換えがないことだろう。

「はかた号」個室を頭上から足元にかけて撮影

 あとは価格とダイヤ設定と個人の好みだ。あえて決着は付けないが、普通は航空機やのぞみ号の選択だろうから、それぞれの価値観で「面白そうな方」を選択しての旅も良いのではないだろうか。どちらを選んでも疲労感は少ないので大丈夫だ!

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