もっと詳しく

 2022年F1第12戦フランスGPの決勝が行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が優勝した。2位はルイス・ハミルトン(メルセデス)、3位はジョージ・ラッセル(メルセデス)となっている。角田裕毅(アルファタウリ)はリタイアだった。

 フランスGP決勝レース当日、ポール・リカール・サーキットは雲ひとつない快晴に恵まれた。レースがスタートする現地時間午後3時の時点で気温30.4度、路面温度は60度を超えた。前日の予選時同様、2本のストレートでは横風になる強風が吹いている。

 予選ではシャルル・ルクレール(フェラーリ)が、グリッドペナルティを受けたカルロス・サインツ(フェラーリ)のサポートもあって、今季7回目のポールポジションを獲得。しかしサインツが19番手スタートなだけに、2、3番グリッドのフェルスタッペン、セルジオ・ペレス(レッドブル)を相手に、孤高の戦いを強いられる。

 注目のスタートタイヤ。大部分のドライバーがミディアムタイヤを履くなか、11番グリッドのバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)、14番手ピエール・ガスリー(アルファタウリ)、19番手サインツがハードタイヤで順位挽回を狙う。

 ルクレールがホールショットを決めるなか、ハミルトンがペレスをかわして3番手に上がる。後方では角田も順位を上げていたが、エステバン・オコン(アルピーヌ)と接触。最後尾まで順位を落としてしまった。オコンにはその後、5秒のタイムペナルティが科された。

 序盤のトップ10は、首位ルクレール、2番手フェルスタッペン、3番手ハミルトン、4番手ペレス、5番手ラッセル、6番手フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)、7番手ランド・ノリス(マクラーレン)、8番手ダニエル・リカルド(マクラーレン)、9番手オコン、10番手ランス・ストロール(アストンマーティン)の順番だ。

 フェルスタッペンが1秒以内の間隔でルクレールを追う展開。3番手ハミルトン以下は、すでに5秒以上離されている。4番手ペレスのペースは明らかにハミルトンに優っているものの、なかなか抜くことができない。

 DRS圏内をキープして、抜く機会を狙うフェルスタッペン。高速区間のセクター2で差を詰めるが、ルクレールも隙を見せない。一方ペレスは、ハミルトンから離され始めている。サインツは、12周目にはセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)をかわして、10番手まで順位を上げた。

 16周目、レッドブル陣営が先に動いた。フェルスタッペンがピットイン。ハードに履き替え、ノリスの後ろ、7番手でコースに復帰したが、すぐに抜いてペースを上げる。アンダーカットで、首位を奪う作戦だ。

 ところが17周目、ルクレールがターン11でスピン、バリアに突っ込んでリタイアを喫してしまう。これでセーフティカー(SC)が導入され、ハミルトン、ペレス、ラッセルらが次々にピットに向かった。一方、最下位でペースが伸びなかった角田は、マシン左に大きなダメージを受けており、ピットに戻ってリタイアとなった。

 20周目にレース再開。首位フェルスタッペン、2番手ハミルトン、3番手ペレス、4番手ラッセルと、まさかのレッドブルVSメルセデスの構図となった。ただしペース的にはハミルトンはフェルスタッペンに追いつけず、フェルスタッペンがタイヤをいたわりながらレースをコントロールする展開だ。サインツは22周目にはアロンソを抜いて、5番手まで上がってきた。しかしSC時のピットアウトの際、ニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)を邪魔したために5秒ペナルティを科されている。

 サインツは29周目に、ラッセルをターン19でかわして4番手。後方では12番手のガスリーが、先行するアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)をターン8のブレーキングで抜こうとして直進、15番手に後退した。

 後半40周目、首位フェルスタッペンとハミルトンの差は、8秒まで広がった。「みんな、左フロントタイヤに苦しんでいるはず」と無線で言うものの、本人はこのままチェッカーまで走り続けるつもりだ。一方ミディアムのサインツは、ハード勢以上にタイヤに苦しいはずだが、チーム側は「ステイアウト」を指示。5秒ペナルティをコース上で消化するはずだった。

 ところがサインツがペレスをかわして3番手に上がった直後、「ボックス」と不可解な新たな指示が飛んだ。これでサインツは、9番手まで後退してしまう。直後には3番手争いを繰り広げていたペレスとラッセルが、ターン8で接触。ペレスは3番手をキープしたが、ラッセルが再び1秒以内に迫る。

 サインツはその後、オコン、ノリス、アロンソを抜いて5番手まで順位を戻した。しかし盛んに、「なぜピットインしたの」と、依然としてチーム戦略が理解できないようだ。

 49周目、周冠宇(アルファロメオ)がターン6で止まり、バーチャルセーフティカー(VSC)が導入される。フェルスタッペンは最速タイム狙いでピットインの選択肢もあったが、リスクが高すぎると見送られた。すると50周目のレース再開で、ペレスが減速しすぎたところをラッセルがかわして3番手に。ペレスも必死に追いすがるが、抜き返せず。

 首位のルクレールがリタイアで消えるというまさかの展開のなか、フェルスタッペンがハミルトンに10秒587差をつけて、今季7勝目を挙げた。しかしハミルトンは今季初の2位、さらに3位に入ったラッセルとのダブル表彰台を素直に喜んだ。4位ペレス、5位サインツ、6位アロンソ、7位ノリス、8位オコン、9位リカルド、10位ストロール。ガスリーは12位に終わり、アルファタウリは今回もポイントを獲得できなかった。