中絶の合憲性を認めていた判例を覆した最高裁判決を喜ぶ人たち(24日、米ワシントン)
米連邦最高裁が24日、アメリカで長年、女性の中絶権を合憲としてきた1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆したことを受けて、一部の州では中絶手術を提供してきたいわゆる「中絶クリニック」の閉鎖が始まった。最高裁判決を受けて、アメリカでは女性の中絶権が合衆国憲法で保障されなくなった。
13の州ではすでに、連邦最高裁が「ロー対ウェイド」判決を覆せば自動的に中絶を禁止する、いわゆるトリガー法が成立していた。このうち、ケンタッキー、ルイジアナ、アーカンソー、サウスダコタ、ミズーリ、オクラホマ、アラバマの各州では、最高裁判決を受けて中絶禁止法が施行された。ほかの多くの州でもこうした法律が成立するとみられる。
ジョー・バイデン米大統領は判決を受けて、「最高裁にとって、そしてこの国にとって悲しい日だ」と述べ、最高裁は「多くの国民にとってあまりに基本的な憲法上の権利」を「制限するのではなく、あっさり奪い取った」と批判した。アメリカ各地で、抗議デモが起きている。
その一方で、用意していたトリガー法が施行されたアーカンソー州のリトルロックでは、最高裁判決がオンラインに掲載されると、中絶クリニックが待合室のドアを閉ざした。中では、人の泣き声が聞こえた。スタッフは次々と女性患者たちに、予約キャンセルを電話で伝えた。
アシュリー・ハント看護師はBBCの取材に対して、「悪い知らせにそなえてどれだけ準備をしても、ついにそれがやってくると、ショックは大きい。患者の皆さんに電話をかけて、『ロー対ウェイド』が覆されたと伝えなくてはならないのは、胸が張り裂けそうだ」と話した。
クリニックの前で中絶反対と抗議し続ける集団から患者を守りながら、その出入りに付き添い続けてきた人たちは、厳しい暑さの中、まとまって抱き合った。「この国はまだ人間のことを、女性のことを大事にしてくれるかと思っていた」と、付き添い係のリーダー、キャレンさんは話した。
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予約キャンセルを患者に伝える中絶クリニックのスタッフ(24日、アーカンソー州リトルロック)
クリニックの外では、中絶反対派が祝った。
「警告する!」。最高裁判決について知らないままクリニックの駐車場に車を止める人たちに、反対派の1人がこう怒鳴った。
「この罪深い場所、この不正の場所、この悪の場所から立ち去りなさい」
アーカンソー州と同様に、用意していたトリガー法を直ちに施行したルイジアナ州のニューオーリーンズでも、中絶手術を提供する女性健康ケアセンターが判決を受けて診療を中止し、スタッフは帰宅した。ルイジアナ州ではこのケアセンターを含め、中絶手術が受けられる場所は3カ所しかなかった。
訪れる女性たちの付添人を続けてきたボランティアのリンダ・コッカーさんはクリニックの外でBBCに対して、裕福な女性は今後も別の州で中絶手術を受けられるが、それができない貧しい女性たちが「裏道の」違法な中絶手段に頼らざるを得なくなるのだと話した。他方、中絶反対の活動を続けてきたビル・シャンクス牧師はクリニックの前で、「お祝いの日」だと話した。
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アメリカで女性に中絶手術を提供してきた医療団体「プランド・ペアレントフッド」の調査によると、妊娠可能年齢の女性約3600万人が、今回の最高裁判決によって、中絶手術を受けられなくなるという。
・ケンタッキー、ルイジアナ、アーカンソー、サウスダコタ、ミズーリ、オクラホマ、アラバマの各州では、最高裁判決を受けて中絶禁止法が施行された
・ミシシッピー、ノースダコタ両州では、州司法長官の承認を経て中絶禁止法が施行される
・ワイオミング州では5日後に施行。ユタ州では州議会の承認を経て施行される
・アイダホ、テネシー、テキサス各州では30日後に施行される
首都ワシントンの最高裁前では、判決の内容が明らかになると、集まっていた中絶反対派から歓声が上がった。しかし、判決に抗議するデモがアメリカ各地50以上の都市で予定されている。
※以下省略。記事全文はソース元にて
引用元: ・アメリカの一部で中絶クリニックの閉鎖始まる 中絶権の合憲性覆す最高裁判断受け [oops★]
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