今回は、「LED」についての説明です。
LEDとは?
pn接合ダイオードに順方向電圧を印加すると発光するダイオードのことを発光ダイオード、通称LED(Light Emitting Diode、直訳で光を放っているダイオード)と呼びます。
LED登場時は赤色や緑色などの光は作れましたが白色を作ることができませんでした。
その為、電球や蛍光灯のような照明器具の代わりになることはなく、あまり実用的ではありませんでした。
ですが、1993年に青色LEDが実用化、1996年に青色LEDに黄色蛍光体を組み合わせることで白色LEDが完成しました。
それを機にLEDは市場に出回るようになり、今となっては普通に照明器具に使われるようになりました。
ちなみに、白色光の作り方やそもそもなぜ白色に見えるのかは別途まとめてありますので、気になる方は以下の記事をご覧ください。
LEDの回路記号
回路記号は以下の通りです。
参考としてフォトダイオードの回路記号も記載します。
矢印が光の向きになっているので、光を照射するLEDの場合は図1左のようになっているわけです。
フォトダイオードの場合、矢印の向きが逆になります。
LEDの構造と原理
LEDの原理の説明に当たりダイオードの構造と原理を知っておく必要があるので、ダイオードについてあまり詳しくない方は先に以下の記事に目を通してください。
最初に述べたように、LEDはpn接合ダイオードです。
p型半導体とn型半導体の接合部付近では電子と正孔が結合する為、キャリアの存在しない空乏層ができています。
pn接合ダイオードに順方向電圧を印加すると、回路内をキャリアが循環します。
その時、空乏層があった接合部付近では電子と正孔が結合するのですが、結合すると電子と正孔が元々保持していたエネルギーよりもエネルギー量が減ります。
この結合時の余剰エネルギーを光エネルギーに変換して放出しているのがLEDです。
LEDの特徴
LEDの特徴は以下のようなものがあります。
①比較的寿命が長い。
物理的接触があるわけでもないので、寿命が短くなるような要素が無いです。
②高効率・省エネ。
電気エネルギーを光エネルギーに直接変換しているので、損失が少なく、変換効率が良好です。
白熱電球の1/6~1/10の電力で同等の明るさを得られると言われています。
③省スペース化。
ミリサイズのチップの大きさになったLEDもあります。
④低温環境下でも使用可能。
低温環境下でも発光効率が変わらないので、環境に左右されずに安定した使用が可能です。
⑤赤外線・紫外線をあまり含まない。
紫外線や赤外線は対象にダメージを与えるので、その含有量が少ないということは単純にそのダメージを抑えることができます。
⑥環境に配慮している。
水銀や鉛などの環境負荷物質を使用していない。
⑦コストが高い。
色々と優れている分、他の発光物に比べて若干コストがかかります。
⑧交換が難しい。
電球の場合は電球部分のみ交換すれば良かったのですが、LEDの場合電源と一体化しているので容易に交換ができないです。
それでも電球型LEDなどの登場により使い勝手は良くなってきています。
LEDの種類
LEDはリードタイプのものと表面実装タイプ(チップ型)のものがあります。
リードタイプと表面実装タイプについては以下の記事にまとめてあるので、概要はそちらをご覧ください。
ここでは補足説明をしていきます。
LEDの色
LEDの色は半導体を構成する材料に依存します。
まとめておこうかとも思ったのですが、あまり重要ではない上に『この材料ならこの色になる』という一対一の関係になっているわけでも無いので控えておきます。
例を少しだけ挙げると、青色LEDならGaNやInGaNなどを使用しています。
基本的にGa(ガリウム)が使用されています。
なので、ガリウムを含む化合物を使用し、化合物によって波長の異なる光を放つから色が違って見えるという部分だけ覚えておけば良いんじゃないかと思います。
どうしても気になる方は別途調べてみてください。
以上、「LED」についての説明でした。
【基礎から学ぶ光電素子】
◎光電効果 ~物質に光を照射すると電子が飛び出す現象
◎暗電流 ~光が照射されていないにも関わらず流れる電流
◎LED ~発光ダイオードの基本
◎LEDと白熱電球の違い
◎蛍光灯の発行原理
◎フォトダイオード ~LEDとの違いについて
◎フォトトランジスタ ~フォトダイオードの電流を増幅する素子
◎フォトカプラ ~接地電位の異なる絶縁された回路間を光で繋ぐ素子
◎フォトボルカプラ ~起電力を生み出すフォトカプラ
◎フォトリレー ~フォトボルカプラとMOSFETをワンパッケージ化した製品