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2008年に東京・秋葉原で7人を殺害し、10人に重軽傷を負わせた、いわゆる「秋葉原通り魔事件」を起こし、死刑判決が確定していた加藤智大(ともひろ)死刑囚の死刑が執行されたことが26日、明らかになった。

2008年6月8日、事件発生後の東京・秋葉原(写真:ロイター/アフロ)

「なぜこのタイミングで?」疑問も

死刑執行にあたっての記者会見で、加藤死刑囚の死刑が、きょう執行された理由を問われた古川禎久法務相は、一般論と断ったうえで、「死刑執行に関しては、特定の人数を定めて執行しているわけではなく、個々の事案につき、関係記録を十分に精査し、刑の執行の停止、再審請求の有無等について慎重に検討し、これらの事由がないと認めた場合に初めて、死刑執行命令をすることとしている」と述べた。

法律では、死刑の執行は「死刑が確定してから原則、6か月以内」と定められている。実際には、この通りに執行されているわけではない。死刑執行の事実と人数の公表が始められた2007年からのデータでは、死刑確定から死刑執行までの平均は、およそ5年。加藤死刑囚の死刑が確定したのは、2015年2月のことだから、死刑確定から7年半ほど経つことになる。

過去の死刑執行事例を考えると、きょう死刑が執行されたことは、取り立てて異例ということではなさそうだが、このタイミングでの死刑執行に疑問を持つ人も少なくない。

ジャーナリストの白坂和哉氏はツイッターで「なぜこのタイミングで加藤智大の死刑が執行されたのか?」と疑問を呈し、安倍元首相を暗殺した山上徹也容疑者との関連を指摘する。

なぜこのタイミングで加藤智大の死刑が執行されたのか?偶然だろうが、安倍氏を銃撃した『山上徹也を死刑にしろ!』との空気を醸成する意図が政権側にある、との見方も可能だ。なぜなら日本の司法に独立など期待できないからだ。僕は安倍晋三氏の「国葬」に反対!
山上徹也の「死刑」にも反対する。

「毒親じゃなくてほんと良かった」

そのほか、加藤死刑囚と山上容疑者の共通点を指摘するユーザーも少なくなかった。

安倍元総理を殺害した山上容疑者の一つ年下。超のつく就職氷河期世代。犯行は決して許さる事ではないが、彼をここまで追い詰めた時代背景ももっとしっかり考えてみたい。

加藤智大も山上徹也も親ガチャでN(編集部注・ノーマル、最も低いランク)を引いてしまったのが運の尽きだよ。そこそこ裕福でも親がマトモじゃないと貧乏家庭よりも不遇になる

毒親じゃなくてほんと良かったわと、加藤なり山上なり見て思うよなぁ…

加藤の時にしっかりと氷河期救済に向き合っていれば、安倍さんが死ぬことも、これほどの経済の停滞もなかっただろうな。山上容疑者の事件には、キチンと向き合ってほしい。

加藤死刑囚の事件も、山上容疑者の事件も一部の理もなく、まったく許すことのない事件だ。しかし、両者がこうした凶行に及ぶに至った理由に目を向けなければならないのではないか。もし、日本社会に責任の一端があるのだとしたら、第二の加藤死刑囚、山上容疑者を生み出さないためにも、そうした社会を是正していく必要はあるだろう。