ロシアのウクライナ侵攻の影響で、F1シートを失ったロシア人ドライバーのニキータ・マゼピンは、F1復帰は困難と分かっているものの、「奇跡は起こるものだ」としてチャンスを待っていると語った。
2022年、マゼピンにとってF1での2シーズン目が始まろうとしていた矢先、母国ロシアがウクライナ侵攻を開始したことを受けて、ハースは彼の解雇を決めた。
チームは、肥料大手企業ウラルカリとのタイトルスポンサー契約も解除。同社はマゼピンの父親で後援者でもある、ドミトリー・マゼピンが所有する企業だ。
ハースは、マゼピンの後任として、2020年までレギュラードライバーを務めたケビン・マグヌッセンの起用を決めた。F1を追われたマゼピンは、現時点では、政治的理由や制裁により各種の競技から締め出されているロシア人アスリートたちを支援するための、財団設立に奔走している。
一方でマゼピンにとって、将来に向けた主要な計画は、いつかF1グリッドに復帰することだという。FIAが、F1を含む世界各地のモータースポーツイベントに参加するためにロシア人に対して署名を求めている「平和と政治的中立の原則」に、署名をする意向をマゼピンは持っている。
「奇跡は起こるものだ。チャンスさえ訪れれば、僕はすぐにステアリングを握るよ」と、彼はロシアの『Match TV』に語った。
しかし、ロシア人ドライバーを走らせる意志や関心を持つF1チームが現れるのかどうかすら不透明だ。
「なんとも言えないね」とマゼピンは認めた。「4カ月前、すべてがこれほど変わってしまうなどとは想像もできなかった」
「そして今、あと4カ月ですべてがうまくいくようになるなんて想像できない。けれど、そうなることを願っているよ」
今は部外者としてF1パドックを見ているマゼピンは、これまでのところ、元の所属チームであるハースの誰からも連絡をもらっていないと語った。
「なぜ誰も僕に接触してこないのか。それは分からない」とマゼピン。
「仮に、密接に協力し合って仕事をしていたメカニックか誰かが解雇されたら、僕ならWhatsAppか何かでメッセージを送るけどね。その人やマネジメントに対して、どういう意識を持っているかに関わらず」
「その方が気持ちが楽になるはずだから。でも、現実は現実だ」
ハースの元チームメイトで、今シーズンこれまで強力なパフォーマンスを見せていないミック・シューマッハーについて聞かれた際に、マゼピンはあまり多くを語ろうとしなかった。
「結果がすべてを表している、ということかな」とマゼピン。「僕からそれ以上付け加えることはない」
マゼピンは、最近、ロシアメディアに対し、ハースF1には彼に対するサラリー未払いがあると主張、法的手続きを取ると明かした。