もっと詳しく
水深10cmでも走行不能に! 頻発するゲリラ豪雨から命を守るために知っておきたい6つのこと

 すでに全国的に猛暑となり30度を超える日が続いている2022年だが、こんな夏に注意したいのがゲリラ豪雨だ。ウェザーニュースの発表によると、2021年のゲリラ豪雨は全国でおよそ6万回、7月中旬~8月上旬に約半数が発生していたそうだ。

 毎年、冠水路に突っ込み、クルマが浮いている映像がニュースで流れるが、2022年もすでに冠水被害が多数報告されている。

 そこで、ゲリラ豪雨に遭遇した際に気を付けたいこと、冠水路がありそうな時に気を付けたいこと、知っておきたい6つのことをお届けしたい。命を守るためにぜひ知っておいてもらいたい。

文/高根英幸
写真/AdobeStock(トップ画像=lightmemorystock@AdobeStock)

【画像ギャラリー】全国で頻発する危険なゲリラ豪雨!! 猛暑の夏こそ覚えておきたい「命を守る6つのポイント」(6枚)画像ギャラリー


■車高の高いSUVだからと過信は禁物!! 全国で頻発するゲリラ豪雨

2021年のゲリラ豪雨は全国でおよそ6万回、7月中旬~8月上旬に約半数が発生していたそうだ(Paylessimages@AdobeStock)

 これも気候変動の影響なのだろう、ゲリラ豪雨という言葉を聞いても驚きなど感じないほど、日常に馴染んでしまっているように思える。それもそのはず、2021年のこの時期は全国で1日に平均1000回前後もゲリラ豪雨が発生していたそうだ。

 そんなに多ければ最早ゲリラ豪雨とは言えないような気もするが、その降り方はやはりゲリラ豪雨と呼ぶに相応しいもので、突発的かつ局所的に激しく振って短時間で止んでしまう、もしくは雨の範囲が広がらずに移動していく。

 ちなみにゲリラ豪雨は気象庁が正式に使う用語ではないらしく、気象学会でも定義はハッキリと決まっていない。それは「数十分間で数十mmの積算雨量が観測された場合」なのだとか。実際には10分程度の豪雨でピタッと止んでしまう場合も多く、その場合は10分間で相当な降水があることになるのだ。

 最近はゲリラ豪雨が起こりそうな気象条件から予測されたり、雨雲レーダーが高性能になったことで、近辺でゲリラ豪雨が起こりそうな情報は掴みやすくなっている。

 それでもゲリラ豪雨によるクルマの被害はなかなかなくならない。それはドライバーがクルマの能力を過信していることも原因のひとつとして大きい。「豪雨でもクルマなら移動できる」と思い、土砂降りの中でも出掛けたり、帰るのを早める努力を怠ってしまうのだ。

 しかし、このような安易な判断が、被害を生んでしまうことになる。冠水している地点に遭遇しても、浅いようだからクルマで通り抜けられるだろうと、そのまま突っ切ってしまうドライバーがいるようだが、こうした甘い考えがクルマを傷め、ドライバー自身も危険に晒すのである。

 運よく通り抜けられればいいが、それは意外と難しい。クルマの走行圧力でバンパーの上まで水を被っている状態のクルマも報道の映像などで見かけるけれど、これは完全な危険水域。

 それどころか、クルマが安全に走行できるのはせいぜい水深10cmくらいまでで、その程度の水深でも速度を落とさずに冠水路に突入してしまうとバンパーやランプ類、エアコンのコンデンサーなどが破壊される可能性がある。

 クルマの修理代がかさむ程度ならまだいい。冠水路で立ち往生し。そのまま水没してしまって亡くなってしまうケースだってあるのだ。イメージでは窓の高さまで水深がなければ、ドアを開けて下りることができそうだが、実際には水深50cmでも水圧でドアは開けられなくなるのである。

 車高が高いSUVなら、少しは冠水に強い気もするが、それは10cm程度の差でしかなく、タイヤの大きいSUVだから大丈夫と、冠水路を通過しようとするのは絶対に止めるべきだ。その時点でも雨が降っていたり、再び豪雨がやってきて、一気に水かさが増すことだってある。

■ゲリラ豪雨から身を守るには、まず情報収集

天気予報は複数の情報源から入手し、より正確な情報を手に入れる。天気アプリによってはゲリラ豪雨の発生リスクがわかるメニューも(northsan@AdobeStock)

 ゲリラ豪雨を避けることが自身やクルマを守る、まず最初の手段だ。天気予報は気象庁の情報と民間の気象予報会社の情報ではかなり異なることもあるので、2種類以上の情報源から入手して、より正確な情報を手に入れる習慣をつけておこう。

 スマホの天気アプリによってはゲリラ豪雨の発生リスクを教えてくれるメニューも用意されているので、外出時は定期的にチェックすることで、ゲリラ豪雨の発生と止むまでの時間を把握できる。

 2つめは大雨の際には、そもそも冠水しそうな場所は通過を避けるべきだ。通常であれば便利なアンダーパスやアップダウンの続く道の谷部分は、冠水しやすく水深も深くなりやすいので、危険性が高い。

 行ってみてダメだったらほかのルートを使うというより、大雨であればそもそもそのルートは使わないようにするべきだ。

 ここ数年でアンダーパスの冠水具合がわかるようなペイントがアンダーパス底部に施されてきている。これがある場所は、冠水しやすことを示しているのだから、大雨の際にはそもそも利用しないようにすべきだろう。

 カーナビは天候によってルート案内を変更することはないから、うっかり冠水している地点をルート上に選んでしまうことがある。低い地点を通過するということはその前後に坂道があるので、例えば自転車用のナビアプリであれば、高低差を抑えたルート検索にすることで冠水路を避けられる可能性がある。

 ただし一方通行などクルマでは通過できないルートが含まれる場合もあるので、そういった情報にも注意が必要だ。

 3つめは、自宅や勤務先周辺のハザードマップを確認しておくことだ。地元自治体が用意しているハザードマップは、地形や排水施設などを含めて洪水が起きるリスクを示してくれるので、絶対にチェックしておきたい。

 国土交通省が提供している「重ねるハザードマップ」は災害の種類を選んでリスクの高さが確認できるので、自宅周辺や職場までのルートで冠水しやすい地点などをチェックできるから、こちらもチェックすることをオススメする。

 必ずしも地形の低い所が冠水するのではなく、その地域の排水や貯水の能力なども影響していくるから、地元はより詳しく自分で調べることで、大雨やゲリラ豪雨の時の対応策を確実にとることができるようにしたい。

■リスクを避ける危機意識の高い行動が身を守る

冠水路の途中で立ち往生してしまったら、クルマは諦めて窓を開けて脱出し、救援を待つ。車内にいるのは危険だ(kelly marken@AdobeStock)

 大雪の日なども同じだが、悪天候の日に外出するのはできる限り避けるべきだ。別の日に用事をズラすなど、出掛けずに済む工夫をすること(ただしゲリラ豪雨は前日には予測できない場合も多いが)もリスクを回避できる行動で、これが4つめの対策だ。

 5つめは、駐車場も冠水対策を考える必要がある、ということ。出掛けず、家にいれば安心とも言い切れない。

 駐車場が水没した場合、車両保険は保険金支払いの対象外となる(地震による津波は対象外となることが多い)から、半地下や地中に潜るタイプの機械式駐車場などを利用しているオーナーは、車両保険に加入しておくべきだろう。

 高台などに移動することもクルマを守るためには効果的だが、その場合はまず自分の安全を優先するようにしたい。

 そして最後は、もしどうしても冠水路を通らなければならない状況になってしまったら、とにかくゆっくりと通過することと、絶対にエンジンは止めないことだ。そして水深が20cm近くあってフロアまで到達しているようなら、諦めて引き返すこと。

 途中まで行ってしまったからと、そのまま強引に走り切っているドライバーを報道で見かけるが、運よく渡り切ったとしても、あとでエンジンに水が入ったり雑草などが絡みついて、トラブルを起こす可能性もある。

 スマホがあるから、もしダメなら警察やレスキュー、ロードサービスを呼べばいいと思うのは、すぐに救助してもらえるとは限らないので、非常に危険だ。

 もし冠水路の途中で立ち往生してしまったら、クルマは諦めて窓を開けてそこから脱出して救援を待つようにしよう。クルマの中で迷っている、単に救援を待っているのは危険だ。大雨が降っている時こそ、クルマの中で待つのは危険なのだ。

 以上6つのポイントで、ゲリラ豪雨など大雨災害からクルマと自分の身を守ってほしい。

【画像ギャラリー】全国で頻発する危険なゲリラ豪雨!! 猛暑の夏こそ覚えておきたい「命を守る6つのポイント」(6枚)画像ギャラリー

投稿 水深10cmでも走行不能に! 頻発するゲリラ豪雨から命を守るために知っておきたい6つのこと自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。