もっと詳しく

メルセデスは、さらに世界で最も価値のある高級車ブランドになりたいと考えている。メルセデスは、今後ポジショニングを変え、モデルポートフォリオのローエンドでコスト削減を図っている。シュヴァーベン人は、3つの製品を軸に、世界で最も価値のある高級車ブランドになりたいと考えている。最新情報!

価格アップ、生産台数ダウン、これがメルセデスのモデルレンジの新しい戦略のようだ。南仏でのイベントで、メルセデスのボス、オラ ケレニウスがブランドの新しい方向性を発表したが、それはラグジュアリーモデルへの方向性を強く打ち出している。製品ポートフォリオは、エントリーラグジュアリー、コアラグジュアリー、トップエンドラグジュアリーという3つのカテゴリーに分類される予定だ。そして、投資の75%以上は、上位2セグメント向け車輛のものとなる。

より収益性の高いセグメントへの方向転換に伴い、高級車クラスに加え、AMG、マイバッハモデル、Gクラスにも注力する。また、電動化を再び加速させ、2030年からはほぼプラグ付きモデルのみとする予定だ。

モデル数は少ないが、より優れた技術と個性がある

エントリーラグジュアリーセグメントで、メルセデスは将来的にラグジュアリーの世界へ参入したいと考えている。ボディバリエーションを7種類から4種類に減らすと同時に、技術も向上させる予定だ。つまり、具体的には、新しいMB.OS(メルセデス・ベンツ オペレーティングシステム)が、次期コンパクト「MMA」プラットフォームに標準搭載されることになる。さらに、エントリーラグジュアリーから個性化オプションを増やしていく予定だ。

しかし、今後の投資の大部分は、より高いラインの「コア ラグジュアリー(Core Luxury)」と「トップエンド ラグジュアリー」のために使用される。アッパーレンジである「トップエンド ラグジュアリー」には、主にAMGやマイバッハの全モデル、EQSやその派生SUVなどのEQ車、SクラスやGクラスが含まれる。

たくさんのクロームメッキ、赤い塗装、マイバッハのロゴが入った黒いボンネット。SLの高級バージョンはこんな感じになるかもしれない。

新しいラグジュアリー志向に合わせ、メルセデスのチーフデザイナー、ゴードン ワグネルは、インスタグラムでSLのマイバッハバージョンを予告している。しかし、写真にはマイバッハのロゴが入った黒いボンネットしか写っていない。そのため車全体がどのような姿になるかは、まだわからない。

限定コレクターズコピー付きの「神話」シリーズが新登場

特にエクスクルーシブなものが好きな人には、限定生産のスペシャルなシリーズ、「ミトス」シリーズや限定コラボモデルが用意されている。例えば、ヴァージル アルボー(Virgil Abloh)とメルセデス・マイバッハによる究極のコラボEV、「マイバッハ Sクラス」などがそうだ。また、「ミトス」シリーズのSLのスピードスター版が作られる可能性もある。

ヴァージル アルボーとメルセデス・マイバッハによる究極のコラボEV、マイバッハ Sクラス

メルセデスは、「Cクラス」や「Eクラス」といった特に売れ筋のモデルや、「コア ラグジュアリー」セグメントに属する派生モデルで、コアな層を取り込みたいと考えている。ここでも、シュトゥットガルトに本拠を置くメーカーは、「EVA2」プラットフォーム(EQEおよびEQE SUV)、さらには「MB.EA」アーキテクチャーをベースに、電動化を推し進めたいと考えている。2023年に発表される次世代「Eクラス」の新型は、その道筋を示しているはずだ。

【ABJのコメント】
以前にも記したが、今回のメルセデス・ベンツの話題はいろいろな意味で考えさせられる話題である。「Aクラス」や「Bクラス」といった、おそらくあまりもうからないモデルを切り捨て、収益性の高い(もうかる)モデルに注力する、簡単に言ってしまえば、そういう身もふたもない話ではあるが、そもそも昔はメルセデス・ベンツといえば(W123とかW116時代は)、そういうメーカーで、高品質の自動車を高価格で売っていたメーカーであったはずである。それがいつのまにか数えきれないほどのラインナップを持ち、「安い」モデルも売るようになって、早やウン十年。それがこのラインナップの整理を期に、昔のようなメーカーに再びなるかどうかは怪しいが、まあ「A」、「B」あたりのラインナップが減ることは個人的にはそんなに寂しくない話題である。

その一方で、もうかるモデルからはがっちり稼ぎまっせ、という表明は、より高価格に、よりオプションなんかも高価格で、さらに「マイバッハ」も「Gクラス」も収益のために厚化粧になってしまうのは、複雑な気持ちではあるのだが、まあこういうご時世だしヨーロッパのブランドというものは昔っからそういうもんよ、とあきらめるしかない。

ハイエンドの「ミトス」に関しては、そもそも私のような者には売ってくださらないハナシだし、数億円の世界だから無関係ではあるが、どんなモデルが限定生産されて、お得意様のもとに納車されるのか、ニュースは楽しみにしておこうと思う。その場合も、やはり全車BEVで内燃機関はまったくないのだろうか?? その辺も気になる部分ではあるが・・・。(KO)

Text: Sebastian Friemel
加筆: 大林晃平
Photo: Mercedes Benz AG / Instagram/gorden.wagener