水場を設けて涼しげな印象も演出した和ガレージは、四季の移り変わりも楽しめる庭園の美しさも楽しみのひとつ。
千葉県のとある住宅街に建築された和風のガレージハウス。この住宅街はかつて「積水ハウス」の建築条件付きで開発された区画で、電線が地中に埋められているなど美観地区に指定されている。道路から1mのセットバックのほか、色の使い方が制限されるなど、街全体で調和がとれた美しい街並みが自慢だ。
施主のTさんは「IVY TAMAI」という会社を設立し、空間デザイナーとしての庭園づくり、ガーデニングや花の教室を主宰している方だ。過去には「TVチャンピオン」で優勝するなど、そのデザインセンスが広く認められている。
和モダンのガレージハウス
Tさんはそれまで東京のマンションで暮らしていたが、実家との中間地点にガレージハウスを建築しようと土地を探し、この建築条件付きの土地100坪を購入した。ガレージはビルトインで2台収納することを希望。さすが本職、打ち合わせ時には思い描いていた理想のガレージを、30分でスケッチしたという。
かつてTさんはフロリダやロンドンに滞在中、日本の和の素晴らしさを実感。そのこともあって「京都の町屋」をイメージし、格子を使った和モダンのガレージハウスをしつらえた。ベースとなったのは積水ハウスが販売している商品「ビー・サイエ」。
鉄骨構造の2階建で耐力壁フレームや梁、独立壁による優れた耐震性が特徴で、Tさんが希望した、町屋スタイルを実現するため格子を玄関やガレージシャッターに採用している。
玄関まわりの和のスペースはTさんのコーディネイトによるもの。 室内の格子や、シャープにまとめたインテリアデザインもすべてオーダーで設計してもらったという。見ごたえのあるガーデンスペースは「IVY TAMAI」の展示場も兼ね、1年の四季が楽しめるとともに和と洋を融合した設計に。中央には水場を設けて涼しげなイメージも演出している。
2台のクラシックカーが並ぶガレージ
ガレージの顔となるシャッターは、造作による3枚の引き戸。木とアクリル板で構成されたものだ。ガレージに格納された愛車は、初期型の1954年式フォルクスワーゲン・タイプ1・コンバーチブルと1931年型フォード・モデルAと、建物にお似合いのクラシックカー2台だ。ほかにもインターメカニカ製ロードスターが東京のマンションにあり、現在「ワクイミュージアム」では1935年製モーリス8が、レストアを待っている状態という。
床はモルタル仕上げの上にホームセンターで購入したパンチカーペットを敷き、オイルで汚れた場所を交換するスタイル。将来、電気自動車になることを想定し、200Vの充電設備も完備されている。
Tさんの移動はクルマが中心。東京のマンションとの行き来や仕事用の足として、ザ・ビートルのカスタムも所有しているが、’54年式タイプ1・コンバーチブルに乗ることも多いという。このあたりは、イギリスに住んでいたころに英国紳士がさっそうとクラシックカーを乗りこなす姿を見て憧れたのだそうだ。
空間デザイナーがプランニングした和モダンなガレージハウス。その佇まいに似合うガレージ内のクラシックカーは、いつでもセル1発で出発できる抜群のコンディションだ。
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