7月29日(金)発売のauto sport 2022年9月号(No.1575)はスーパーGTを特集。2カ月のインターバルを挟み8月6~7日に2022年の第4戦『FUJIMAKI GROUP FUJI GT 100Lap RACE』を迎える直前ということもあり、シリーズ中間レビュー&プレビューを展開している。
それと同時に、今シーズンデビューしたニッサンZ GT500の開発について取材を実施。その最重要ファクターである空力開発については、空力開発責任者であるニスモの山本義隆氏に、Zの開発について初めて直接話を伺うことができた。
スケーリングを前提としたベース車両としてニッサンGT-RとZを比較すると、メリットになる点とデメリットになる点があり、デメリットとして挙げられるのが、Cピラーが絞り込まれておらず、トランク部のデッキ部分がないところとのこと。逆にリヤハッチ自体はZの方が緩やかに直線的に落ち込んでいるためきれいに空気が流れるようだ。
一般論として、リヤウイングの効率を決めるのはウイング下面を流れる空気のスピード。乱れのない空気をいかに多く導くかが重要で、その効率が高ければ、結果的にディフューザーから抜ける空気の流れも助けることになりフロアの効率も上がる。フロア自体はGT500全車共通なので、わずかであっても上面の効率アップは有効なのだろう。しかしながら、デザインライン上の形状変更はスケーリングによる調整以外大幅に規制されている。
そこで……なのか、直接山本氏からあえて聞くことはしなかったが、ミラーステーはそこへのこだわりが凝縮されているように感じた。造形を工夫できる余地が少ないだけに着目すべきポイントだったのかもしれない。ミラー自体が明確な空力効果を発揮することは許されていないはずなので(だからあえて聞かず? 聞けず?)、機能のための必然性があれば、形状として工夫する余地は規定上もある……ということだろうと想像する。
写真を見ていただければ分かるが、カーボン製のミラーステーは薄くウイング状でわずかにリヤ下がりになっている。車両側面を流れる空気を少しでもリヤウイングの下に導こうと努力しているように見える。Cピラーの絞り込みが弱い分、側面からの気流も弱く、そこをほんのわずかでも補っていそうだ。ここからも“チリツモ”の努力を見て取ることができる。
このほかGT500クラス3ワークスの開発状況、無線内容公開も含んだ予選日GT500チーム密着、パフォーマンスのカギを握るGT500タイヤテスト密着、GT300の来季以降に向けた開発話などマニアックな企画満載のauto sport 2022年9月号(No.1575)。富士、鈴鹿という450kmレース2連戦以降を楽しむためにもぜひご購読を。詳細と購入については三栄オフィシャルサイトまで。