1992年のF1チャンピオンであるナイジェル・マンセルは、6月23〜26日に開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードに参加し、『FW14B』や『フェラーリ640』、『ロータス25』などのマシンをドライブした。
ウイリアムズ時代のレーシングスーツに身を包んだマンセルは、1992年に9勝を挙げてタイトルを獲得したFW14Bに乗り込んだ。パトリック・ヘッドとエイドリアン・ニューウェイがデザインしたこの複雑かつ完璧なマシンは、ルノーのV10 3.5リッターエンジンを搭載しており、リッチモンド公爵の屋敷を駆け抜け、大音響を響かせたのである。
マンセルは、「記念の年にここグッドウッドに来て、このマシンに再会しただけでなく、この丘を登り切ったことは、ウイリアムズと私自身にとって信じられないほどに光栄なことだ」と語った。
「チームと一緒にここにいられることに興奮しているし、この特別なレーシングカーのステアリングを再び握ることができたのは素晴らしいことだ。世界中のファンの前でドライブするのはとても感動的な瞬間だったし、大切な思い出になった」
マンセルのファンはFW14Bの姿と音に魅了されたが、その前日に68歳のマンセルがフェラーリ640に乗って登場した際も、彼らは熱狂に包まれた。マンセルは、フェラーリでの初戦となった1989年のブラジルGPで優勝し、シーズン後半のハンガリーGPでも勝利を挙げている。
ジョン・バーナードが設計したエレガントなスカーレットレッドのフェラーリ640は、マンセルが怒りの走りを見せた33年前と同様に野心的だった。
マンセルはこれまで数々のF1マシンをドライブしてきたが、1962年にジム・クラークがドライブした『ロータス25』で走行した際には、言葉を失ってしまったという。
「私の心は吹っ飛んだ。完全に、間違いなく吹っ飛んだ」
「このマシンは、私の人生で運転したF1マシンのなかで一番だと言わなければならない。ギヤボックスはスムーズだし、エンジンもスムーズで、サスペンションも……信じられない!」