もっと詳しく

8月3日召集の臨時国会で、甘利明前幹事長が安倍晋三元首相に対する追悼演説を行う見通しであると報じられた。甘利前幹事長と言えば、2016年にURをめぐり1200万円の金銭を授受した疑惑を週刊文春に報じられ、経済再生担当大臣を辞任していた。

甘利明Official Webより

国会での追悼演説は、対立政党の議員が行うことが慣例となっていた。しかも甘利氏を巡っては、安倍政権の経済再生相だった2016年、現金授受疑惑が噴出して辞任。あっせん利得処罰法違反などの疑いでの刑事告発は東京地検特捜部が嫌疑不十分で受理しなかったものの、「説明責任を果たしていない」との批判が根強く、衆院選では自民党の現職幹事長として史上初めて小選挙区で落選した。渦中の人物に白羽の矢が立つニュースにネットではたちまち波紋が広がった。

「群馬維新の会」幹事長で元衆院議員の宮崎岳志氏は「本当に近年の自民党政権には『保守』ぽさがなくなった。保守の本質は先例尊重と漸進主義だが、先例無視で一足飛びに運びたがる。特別な理由もなく『野党』『元首相』の先例を両方覆し、身内の人間関係だけで事を進めるのはいかがなものか」と疑問を呈した。

ポリティカル・ライターの平河エリ氏は甘利氏の当選回数を挙げ「自民党の当選回数で考えると、最多の麻生さんは弔事をやられていたし、13回の甘利さん、衛藤征士郎さん、二階さん、船田さんが次点なんですよね。この中では甘利さんが一番関係は深い。それにしても、甘利さんか……(脱力)。」と起用された背景を説明した。

安倍氏の評価については賛否が大きく分かれており、野党側が落ち着いて追悼演説をできる状態ではないのかもしれない。立憲民主党西村智奈美幹事長は26日、「慣例から極めて逸脱する。再考してもらわなければならない」と述べたが、元自民党衆院議員の早川忠孝氏はこの日のブログで「追悼演説をお願い出来る適当な人がいないのかも知れないな」と題した記事を投稿。

安倍家葬の際の麻生元総理の心の籠った弔辞や、銃撃事件直後に病院に駆け付けた菅前総理の率直な言葉を超える追悼の言葉を発することが出来る人は、今の野党にも与党にもいないだろう。

と、政界での“人材不足”を指摘した。ネット民からは以下のようなツイートもあった。

税金でやるのに遺族の意向ってなんだ? 国家の行事としてやるなら慣例どおり野党第一党の党首に任せるべきだろ。遺族の意向に沿いたいなら私費でやればいい。もちろん私は国葬そのものに反対だが。

甘利氏が追悼演説って安倍さんが気の毒というか何というか。
菅さん麻生さんとかの盟友でもなく、岸田さん志位さん野田さんの同期組でもなく、何でこんな世論受けの悪い人が?

甘利氏が一番仲が良い議員という訳でもないだろうし、格としても微妙だし本当に何で…

この人に追悼演説される安倍晋三も気の毒になってきたわ

2021年衆院選で甘利氏は小選挙区で落選し、比例代表で復活当選した。当時、甘利氏の落選運動を展開していた郷原信郎弁護士は、こう語る。

甘利氏は疑惑だらけの人でした。安倍元首相も最後まで説明責任を果たすことなく、挑発的な言動や対立を煽るような態度が批判された。甘利氏は、安倍元首相の負の部分を象徴するような人物と言えるでしょう。説明責任を果たさないという点では、同類と言えます。

このままの流れで進んだ場合、甘利氏は追悼演説で何を語るのだろうか。色々な意味で注目されそうである。