50年以上に渡り自動車市場で独自のポジションを築いてきたレンジローバーがフルモデルチェンジ、第5世代へとバトンタッチされた。完全新設計となるアーキテクチャーをはじめ、全身まるごと最新技術のショーケースという趣だが、当のレンジローバーはどこ吹く風。「SUVなんて軽々しく呼んでくれるな」。そもそもレンジローバーとは、そういう“乗り物”なのである。
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レンジローバーの哲学が全身に貫かれる
クルマのデザインに関しては、余程のことがない限り意識的に言及しないことにしている。デザインに関する印象は個人の嗜好が大きく支配する。自分なら見たくもないと思うようなデザインでも、それが月に1万台も売れたりするものだから、自分ごときの戯言など意味がないと悟ったからだ。
しかし新型レンジローバーの内外装のデザインについては、ひと言いわずにいられない。これほど「上品」とか「品がある」という表現がピッタリなデザインは稀ではなかろうか。特に昨今の高額なモデルには過度な装飾や誇張が散見される。ひるがえってレンジローバーは、極限までシンプルさを追求したようなデザインである。テールライトをブラックアウトして存在感を消すなんて、そのアイディアと潔さには感服する。
たとえば自分は、エクステリアから「シンプル&クリーンな品のよさ」という印象を受けた。すると、ドアを開けて目に飛び込んでくるインテリアの雰囲気、そしてステアリングを握ってドライブしている時に五臓六腑に染み渡ってくる乗り味まで、ずっと同じ印象で繋がっている。ずいぶんとスポーティな格好をしている割に乗ると普通とか、大人しいスタイルのくせに過剰に反応するとか、デザインと乗り味が微妙にズレているクルマが少なくない中にあって、このクルマの入口から細部に至るまでの統一感は見事だと思った。
新型レンジローバーは標準とロングのふたつのホイールベースと、マイルドハイブリッドの直6ディーゼル、直6ガソリンエンジンをベースにしたPHEV、そしてV8ツインターボの3種類のパワーユニットが日本仕様として用意されている。試乗車はロングホイールベースのボディとV8を組み合わせたモデルだった。
ボディはモノコックを踏襲しているものの、従来型のアルミ主体からいくつかの金属を適材適所に配置する”MLA-Flex”と呼ばれる新しいアーキテクチャーに生まれ変わった。たしかにボディの剛性感は高いが、前後軸重の差はわずか10kgとほぼイーヴンで、おそらくパワートレインの搭載位置なども吟味したアーキテクチャーだと思われる。サスペンションはエアサスが標準装備となる。
乗り心地は速度や路面を問わず極上である。ランドローバーのエアサスは出来がよく、ディフェンダーも快適な乗り心地を提供するので大方の予想はついていたものの、レンジローバーのほうがより上質だ。路面からの入力を空気ばねが可能な限り吸収し、電制ダンパーが”ゆっくり急いで”減衰させる。ばね上の動きを積極的に抑え込みにいくほど縮み側の所作は早くないけれど、残像が残るほど遅くないという絶妙なセッティングにより、ゆったりかつしっかりした乗り心地になっている。
高級車がマルチシリンダーのエンジンを搭載するのはパワーだけでなく、動的質感の高い回転フィールが欲しいからで、このV8は上質な乗り心地との馴染みが抜群にいい。エンジンとサスが併せてレンジローバー全体の雰囲気を作り上げているに違いない。
標準装備の後輪操舵のサポートもあって想像以上によく曲がるし、前後のロールも見事に制御されている。総じて新型レンジローバーは雑味がどこにもなく、ドライバーの意図通りに動くシンプル&クリーンな乗り味に帰結していた。
【Specification】ランドローバー・レンジローバー・オートバイオグラフィーP530 LWD
■車両本体価格(税込)= ¥22,240,000
■全長×全幅×全高=5265×2005×1870mm
■ホイールベース=3195mm
■トレッド(前/後)=1700/1705mm
■車両重量=2750mm
■エンジン型式/種類=B44/V8DOHC32V+ツインターボ
■内径×行程=89.0×88.3mm
■総排気量=4394cc
■圧縮比=10.5
■最高出力=530ps(390kW)/5500-6000rpm
■最大トルク=750Nm(76.5kg-m)/1850-4600rpm
■燃料タンク容量=90L(プレミアム)
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前:ダブルウィッシュボーン/エア、後:マルチリンク/エア
■ブレーキ(前/後)= Vディスク/Vディスク
■タイヤ=前 285/40R23(9.5J)、後 285/40R23(9.5J)
■問い合わせ先=ジャガー・ランドローバー・ジャパン 0120-18-5568
投稿 もはやこれはSUVを超えた存在だ! 新型レンジローバーは最新技術と優れたデザインで爆売れ間違いナシの1台 は CARSMEET WEB に最初に表示されました。