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人気がある=完全無欠ではない!? ヤリスクロス ロッキー/ライズ ヴェゼル… 今大人気の最新国産SUV5台を〇×採点!!

 人気がある=完全無欠ではない……と思う。

 それをチェックするために、販売台数が好調な人気車や話題車のSUVを5台取り上げた。

 EVのクロスオーバーSUVとして注目度抜群のアリア、スバルの名門ブランドとして支持を誇るフォレスター、ヤリスのSUVバージョンとして都会的な雰囲気が魅力のヤリスクロス、小柄で活発、そして手頃な価格が魅力のロッキーとライズ、洗練された内外装とe:HEVの走りで人気を得たヴェゼル。

 これら計5台の人気SUVを自動車評論家がチェックし「良い点」「悪い点」をで評価!

※本稿は2022年5月のものです
文/松田秀士、写真/NISSAN、SUBARU、TOYOTA、DAIHATSU、HONDA、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年6月10日号

【画像ギャラリー】イイところも悪いところも!? 全部わかる!! 人気&話題のSUV5台をギャラリーでクイックチェック!(20枚)画像ギャラリー


■走りのコンセプトは「乗る人すべてが感動する上質な走り」だが 日産 アリア

2019年東京モーターショーで発表されてから時間が経過したが、ようやくデリバリーが始まった日産本気の「SUEV」。WLTCモードで470kmの航続距離を誇る

●どんなクルマか?

 日産渾身のBEVのSUVで、バッテリー容量はB6が66kWh、B9が91kWh。それぞれに2WDと4WDが設定される。

●〇の部分

 〇の部分は内外装のデザインと静粛性の高さ。外装は大きくふくよかなノートという印象だが先進性は高め。

 どこか懐かしさも感じるデザインで「車内をラウンジに変える」というコンセプトにウソ偽りなし。BEV専用プラットフォームを活かした居住空間はボディサイズ以上に広々。

 静粛性の高さは他のBEVと比べても圧倒的で、ドアを閉めた瞬間からわかるレベル。一般道での走行は、風切り音やタイヤのロードノイズなどはほぼ気にならず。プレミアムブランドのモデルと比べても決して負けていないレベルだ。

●×の部分

 ×はフットワーク。具体的には重い車体を無理やりクイックに動かそうとしているハンドリング特性や、乗り心地は決して悪くないが速度域問わずピッチングが収まらないバネ上の動きなど見た目と走りが一致していない点。

 走りのコンセプトは「乗る人すべてが感動する上質な走り」だが、もう少し頑張ってほしい。

 パワートレーンは2t近い車体を軽々走らせるが、電動車の主張は少なめと感じる。筆者は自然でいいと思うが、どう評価するかはユーザー次第だ。

(TEXT/松田秀士)

●日産 アリア B6リミテッドエディション・2WD主要諸元
・ボディサイズ:全長4595×全幅1850×全高1665mm
・車重:1960kg
・最小回転半径:5.4m
・パワーユニット:モーター(218ps/30.6kgm)
・バッテリー容量:66kWh
・航続距離:470km
・価格:720万600円
・人気No.1グレード:B6リミテッドエディション
・値引き:15万円

■スバル フォレスター

●どんなクルマか?

 スバルのミドルクラスSUVで、2L+モーターのe-BOXERと1.8Lターボを設定。オン/オフともに走りの評価が高い。

●〇の部分

 まさに「SUVハンドリングカー」。水平対向で縦置きエンジンゆえの前後荷重配分のバランスがいい。

 加えてシンメトリカルAWDによる前後輪の左右ドライブシャフトが等長なので、雪道やオフロード走行時にもトルク変動による不安定を起こさない。

●×の部分

 やはり…燃費が悪い。最近は改善されてきてはいるが……。コーナリングでのロールは少ないのだが、サスペンションのリバウンド(伸び側)のストロークに余裕が充分ではなく、欧州モデルのようなしなやかなストローク感のある乗り心地ではない。

(TEXT/松田秀士)

スバル フォレスターAdvance主要諸元
・ボディサイズ:全長4640×全幅1815×全高1715mm
・車重:1640kg
・最小回転半径:5.4m
・エンジン:2L、水平対向4(145ps/19.2kgm)+モーター(13.6ps/6.6kgm)
・燃費:14.0km/L
・価格:317万9000円
・人気No.1グレード:Advance
・値引き:27万円

■トヨタ ヤリスクロス

先に登場したヤリスを今や販売面で上回り、今年3月の販売数は5位の9720台という人気。サイズ感も手頃でいいSUVだが、顔のデザインは好みが分かれる

●どんなクルマか?

 2020年8月にデビューしたヤリスベースのSUVだがヤリスより大型化されている。1.5Lガソリン&ハイブリッドを設定。

●〇の部分

 ヤリスとはまったく別モデルといえるほどコンパクトSUVとしての完成度が高い。全幅1765mmはまさにジャストなサイズ感。

 ボディの作りがとてもしっかりとしていて、室内の二次振動がよく抑えられている。このため走行中のノイズ等の不快感が少なく、長距離移動にも運転疲労が少なく高速道路移動も苦にならない。

 また堅剛なボディゆえサスペンションのコントロールも正確で、路面の凸凹に対する突き上げ感が少なく乗り心地もいい。全車速追従機能のACCと車線内中央維持のLTAを備えるのもいい。

●×の部分

 1.5Lのハイブリッドゆえに加速に関してはそれほど速くない。またエンジン回転の上昇と速度の乗りが一致せず、トヨタハイブリッド特有のまったり感がある。

 インテリアの質感(特にパネル類)が安っぽくて少し寒い。ガソリン車でもかなりの燃費を叩き出すので価格差的にハイブリッド車のメリットが薄い。

 さらにオプションをいくつか設定するとハイブリッド車では乗り出し300万円くらいになるので割高感がある。

(TEXT/松田秀士)

トヨタ ヤリスクロスハイブリッドZ・2WD主要諸元
・ボディサイズ:全長4180×全幅1765×全高1590mm
・車重:1190kg
・最小回転半径:5.3m
・エンジン:1.5L、直4(91ps/12.2kgm)+モーター(80ps/14.4kgm)
・燃費:27.8km/L
・価格:258万4000円
・人気No.1グレード:ハイブリッドZ(2WD)
・値引き:18万円

■ダイハツロッキー/トヨタライズ

●どんなクルマか?

 2019年11月に登場したコンパクトSUVで、1Lターボに加え、2021年11月に1.2L、NA&シリーズハイブリッドを追加。

●〇の部分

 なんといっても価格。170万円台からという手軽さ。追加されたシリーズハイブリッドモデルはコンパクトなシステムで106ps/17.3kgmというこのクラスとしては充分なパワー。しかも、モーターのスムーズな発進。身の丈サイズのハイブリッド感がイイ!

●×の部分

 確かにハイブリッドモデルはいいが一気に約30万円高となり、よーく考えるとワンランク上のモデルでもいいのでは? となる。ベースの価格設定が低いから、そこにハイブリッドの価格がONされると、割高感は否めない。ネガはこの部分だろう。

(TEXT/松田秀士)

ダイハツ ロッキーZハイブリッド・2WD主要諸元
・ボディサイズ:全長3995×全幅1695×全高1620mm
・車重:1070kg
・最小回転半径:5.0m
・エンジン:1.5L、直3(82ps/10.7kgm)+モーター(106ps/17.3kgm)
・燃費:28.0km/L
・価格:232万8000円
・人気No.1グレード:ハイブリッドZ(2WD)
・値引き:23万円

■ホンダ ヴェゼル

●どんなクルマか?

 2021年4月デビューのコンパクトSUV。1.5Lハイブリッドのe:HEVがメインで、1.5Lガソリンは1グレードのみ。

●〇の部分

 e:HEVによる発進時からのスムーズな加速感がいい。モーターの効率が落ちる高速域でエンジン直結駆動が可能なので高速燃費がいいのも〇な部分。安全性能では、停止まで行うACCと、個別起動するレーンキープが装備されているのも好印象。

●×の部分

 四輪駆動はリアモーターではなくプロペラシャフトでフロントエンジン&モーターから駆動するタイプ。AWDとしての制御は高性能だが、高速域でエンジンパワー&モーターパワーが足りないため、特に上り坂では加速性能が落ち、燃費も悪化する。

(TEXT/松田秀士)

ホンダ ヴェゼル e:HEV Z・2WD主要諸元
・ボディサイズ:全長4330×全幅1790×全高1590mm
・車重:1380kg
・最小回転半径:5.5m
・エンジン:1.5L、直4(106ps/13.0kgm)+モーター(131ps/25.8kgm)
・燃費:24.8km/L
・価格:289万8500円
・人気No.1グレード:e:HEV Z(2WD)
・値引き:18万円


【番外コラム】まだまだあります! 私が推す日本車2台(TEXT/松田秀士)

松田氏は電動車2台を推し車として挙げた。両車ともに価値あるモデルだ

 まずは日産リーフeプラス。60kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、218ps/34.7kgmのモーターパワー。しかし市街地レベルの中低速域ではこのスペック以上のレスポンスと加速力を秘めている。

 市街地雑踏での積極的な安全を確保するための瞬時の加減速にとても優れている。BEVなので走行ノイズも静かで、ある程度の長距離走行も可能なので計画的な遠出もこなしてくれる。また何より購入時に補助金があるのも嬉しい。

 またアウトランダーPHEVも推し! このサイズのSUVでありながらAWDの後輪駆動モーターが強力で、スポーティでアジリティのあるハンドリングが魅力。PHEVながら急速充電も可能な利便性も兼ね備えている。

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