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待ちに待ってたこの日がやってきた!! スーパーフォーミュラ笹原右京初優勝インタビュー:前編

 2022年7月16〜17日に富士スピードウェイで行われたスーパーフォーミュラ第6選。今シーズンよりチーム無限よりフル参戦中の笹原右京選手が待望の初優勝を果たした。

 まだ喜びと興奮の冷めやらぬ笹原選手のインタビューをお届けする。

インタビュー・文/段純恵、写真/HONDA、TOYOTA GAZOO Racing

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■チェッカーを受けた瞬間に「勝ったんだ!」と

今シーズンよりチーム無限よりフル参戦中の笹原右京。6戦目にしてとうとう初優勝を手にした!

――スーパーフォーミュラ初優勝おめでとうございます。周囲の反応はいかがでしたか。

「メッセージや電話で本当にありがたいお祝いコメントをたくさんいただきました」

――ご自身、優勝を実感したのは?

「チェッカーを受けた瞬間に、勝ったんだ! と。勝利をたぐり寄せたというか最後に流れがこっちに向いてくれたと実感しました」

――土曜日はとても悩んでましたよね。

「午前のフリー走行はとても順調で、予選でもトップ5に入れる手応えもありました。午後は雨を想定してそんなに外していないであろうセットアップで挑んだんですが、アウトラップからタイヤが接地してないような状態で、周りについていくだけで精一杯でした」

――なぜそうなったのでしょう。

「まだ検証できてませんが、マシンをよくするために細かくやったことの影響が想定以上に難しく出てしまったというか。フリー走行では見切れなかった部分で、後でこれが原因じゃないかと聞いた時は『ホントに? それだけ?』って思うくらい些細なことでした」

――タイヤとの兼ね合いでしょうか。

「ドライのセットからウェットっぽいセットに継続していく人もいれば、完全に切り分けて考える人もいてそれぞれだと思います。

 ただ僕の場合、第3戦鈴鹿がSFで初めての雨でつかみきれない要素が多すぎた。2度目の今回は鈴鹿での反省点もふまえましたが、クルマも大きく変わっていてアジャストがうまくいかなかった。

 マシンを知るのにいまのテスト回数、日数でいくと、前年末のルーキーテストから乗り始めて開幕戦を迎えないと、けっこう難しいと率直に感じます。

 僕は3月に参戦が決まり開幕直前のテストから合流できましたが、ただでさえテスト時間の少なかった自分がこうして走れているのはチームの力が本当に大きいと思ってます」

――そこからセッティングを修正し、決勝ではすごくいい感じになった。

「自分がコントロールできる範疇のゾーンに日曜朝のフリー走行で入り、そこから微調整を重ねていって良い組み立てができました」

■笹原選手自身が感じた「優勝への4つのポイント」

開幕戦の予選ポールポジションから決勝でまさかのストールなど話題に事欠かなかったが、自身も周囲も待ちに待った優勝に喜びを爆発させた

――今回のレースで優勝できたポイントは?

「レース中にターニングポイントが4つありました。

 まずスタート。出だしは良かったけれど行き場がなくて引くしかなく、イン側で粘るしかないという感じで1コーナーに入ったら接触が起きていて、目の前を横切ってきた平川亮選手をギリッギリ避けられたんです。アクセル全開に踏んだ瞬間にすぐブレーキ! みたいな感じで本当にギリギリで」

――生き残った。

「はい。第2のポイントはフェネストラズ選手クラッシュ後のレース再開時に山本尚貴選手をオーバーテイクできたことです。山本選手はその後ペナルティで後退しましたが、あそこで数周ひっかかるとひっかからないではその後の展開が大きく変わったと思います」

――3つ目は?

「山本選手を抜いた後の戦略をどうするか、チームとずっとコミュニケーションをとってました。前にいて優先権のある野尻智紀選手を含めた戦略です。

 目立たなかったかもしれませんが僕のペースが速かったこと、野尻さんをふくめた上位選手が予想より早くピットに入ったことを受けて、臨機応変に対応したことが3つ目のポイントでした」

――最後4つ目のポイントは。

「最後のセーフティカー(SC)です。オーバーカットが成立しそうなことは確認できていましたが、すぐ前を走る坪井翔選手をどう抜くかが問題でした。

 あの時点で自分のタイヤも限界だったので、本当は自分も坪井選手と同じ周にピットに入りたかった。でも狙っている相手と同時に入るのは絶対ダメじゃないですか。1周でも後にと思っていたら坪井選手が先に入ったんです」

――その周回の走りがすごかった。

「それが最大のポイントだったと思います。この1周が結果を左右するとわかっていたので、攻めに攻めてフルに出し切りました」

――チームのタイヤ交換作業も的確でした。

「それでさらに勝利を引き寄せられました」

――ピットアウトした坪井選手に勘違いがあったようですが。

「スーパーGTではSCが表示された瞬間にフルクローズドになり、結果的に全車が隊列を整えて走りましょうという状態になるんですが、SFではSCに追いつくまでレーシングスピードで行かなければなりません。チームも無線でしっかり伝えてきました」

――チームは規則も状況も完全に把握していた。

「僕がピットアウトすると周りに誰もいなくて、タイヤを温めながら全速力でSCに追いついたのがヘアピンを抜けた300Rでした。

 もし坪井選手が勘違いしていなくてもトップに出られた可能性は大いにあったなと、後でチームに言われました。『SCで一発大逆転!』と見る人もいるかもしれませんが、仮にあのSCがなくても3番以内に入れたなという手応えがありました。

 ペースとしても流れとしても、すべてを引き寄せられる準備ができていたと自分たちは思ってます。あと、オーバーテイクしやすく地力でペースがあれば上がれる富士のコース特性をちゃんと利用できたことが良かった。

 ですが何より、土曜から日曜にかけてチームが一生懸命マシンを見直して頑張ってくれたおかげなので、本当にそこに感謝しかないです」(後編に続く)

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